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ハンバーガーを食べながらリップグロスをプレゼントして、初めてクレカで割り勘した話

ニューヨークに行った時の話の続きを書いていく。前回、クラムチャウダーのことを書いた時たくさんお読みいただき、とても嬉しかったです!


無事到着したあと、期待していた以上に目眩く刺激的な毎日だった(初日から、空港からタイムズスクエアまでのバスの乗り換えを間違えて夜の誰もいないビル街をめちゃくちゃ寒い中で一人彷徨ったりとかしてた)。
で、時差ボケもあり疲れ切ってしまっていたのだろう。旅程の3日目にして…午後まで眠り込んでましまった。

よく寝たなぁ〜と目を覚ましたときの窓の外の光の高さを見たとき、やっべー!よりも前に「ああ、旅行中って朝しか起きたことなかったな…」と呑気なことを考えていた。部屋のドアの隙間に挟まれていた、「全然起きないからお掃除きょうはしないよ〜」という旨のメモを受け取り、時計を見てびっくりする。15時。やってしまった…勿体無いことをした。

しかし貴重な旅行時間と引き換えに体力と気力は完全に回復していた。覆水盆に返らず、寝坊朝に返らず!気持ちを切り替えて、タイムズスクエアに出かけた。その日はは友人と会う予定があったのだ。

高校の友人が、ニューヨークでミュージカルを学んでいたのだ。せっかくなら久しぶりに会おう、ニューヨークで!と事前に連絡しており、それがその日だったのだ。よかった、起きたのが18時じゃなくて…と思いながら連絡をするためにiPodを立ち上げる。当時私はスマホを持っておらず、iPod touchを連絡用に使っていた。今となっては信じられないけどニューヨークの街はどこにいても野良Wi-Fiを拾えて、連絡に困ることはなかった。

Facebookを開くと、なんと、彼女の誕生日が今日ではないか!ちょっと、言ってよ〜!!と思いつつ、せっかくだからささやかでもお祝いしたくなり、タイムズスクエアにあったMACに入った。スタイリッシュな店内にはたくさんの方がひしめき合ってコスメを探している。

海外旅行中に化粧品を買いに行くと、いつも、美しさって何だろう、と思わされる。誰しも美しく、彩りは目的も選び方も自由なのだ。美しさの理想を朧な輪郭で、しかし頑なに描いてしまったがゆえに過度なダイエットや無理に強いコスメで肌荒れしていた自分を守ってあげたくなるような気持ちになる。
友人にはラメのリップグロスを購入した。色は薄づきだが、可愛い。ハッピーホリデーと言われながら軽くラッピングしてもらい、お店を出た。ここは人種のるつぼ、ニューヨーク。メリークリスマス、とは一度も言われなかった。

待ち合わせ場所に行くと、変わらず元気いっぱいの友達がそこにいた。全てが見慣れない街で、親しみのかたまりみたいな友人と会うのは不思議な嬉しさがあった。レストランは決めていなかったが、友人おすすめのハンバーガー屋さんに連れて行ってもらえることになった。ナイフとフォークでいただくタイプのでっかいハンバーガーに目がない私はもう最高に心躍った。

席に着いて大きさも内容もよくわからぬままにハンバーガーを注文し、友人に買ったばかりのグロスを渡した。「これ塗って素敵な彼氏ができますように!」とかなんとか言って渡したら友人が「ちょっと待ってー!!!」と叫んだ。
「今日、クラスの友達から、全く同じことを言われながらMACのグロスもらった!!!」と大爆笑していた。わたしもめちゃくちゃ驚きながら大笑いしてしまった。どんな万国共通!?

運ばれてきたハンバーガーは予想通り大きくて、肉汁がうまいうまい。トマトもみずみずしくてベーコンはカリカリでチーズが弾力みなぎる分厚さで。玉ねぎの香ばしさが美味しかったことをなんとなく覚えている。シェアするように注文したポテトはこれまた大皿で笑ってしまったけど、ゆっくり話すにはちょうど良かった。わたしが飲み会でゆっくり話したいがためにポテトを頼むようになったのは、もしかしたらこのときがきっかけかもしれない。

いろんな話をした。演劇のこと、エンターテイメントのこと、将来のこと、学校のこと。
ミュージカルを見に行くと夜遅くなるから、人気のない道を通らないといけないときは大声出しながら叫んじゃったりするの!なんて話を聞きながら笑ったのは嬉しかったなぁ。束の間の旅行ですら自己を顧みる機会が普段より多いのに、ひとりで暮らして学びを続けている彼女はどれほどの思いを巡らせているのだろうと思った。

お会計の段になって現金を出そうとすると、あ、クレカでできるよ!と彼女に止められた。クレカで割り勘ができることを知らなかったわたしはびっくりしつつ興奮していた。わたしと彼女はクレカを差し出し、伝票に2枚挟んで、店員さんに渡す。しばらくすると店員さんが戻ってきて、わたしと彼女はそれぞれサインをし、何事もなく会計が済んでいた。初めてというのはいつだってドキドキだし、教えてくれた人をめちゃくちゃリスペクトする!たとえお会計であっても、だ。

夜の街は寒くてキラキラで、巨大バーガーと大盛りポテトでおなかいっぱいの私たちはご機嫌で歩いていた。ニュージーズという演目のミュージカルがおすすめだと聞いていたら、目の前にまさにニュージーズの大きな看板があった。友人がポーズを真似してY字バランスをし、写真を撮った。次は日本で!と別れたあと、なんとなく人気のない道を小走りで帰った。

ホテルに帰ってメールをチェックすると、なんと、会いたかったおばあちゃんのご家族からメールが届いていた。

この話の続きは、また次回。

ハンバーガー、大好き。

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