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2024年11月 九州温泉逍遥⑥【長湯温泉〜鉄輪温泉】

前回

11/24 大分県竹田市〜大分県別府市

6日目。「朝の散歩がわたしの旅のルーティンでしてね」と女将に言って外へ出た

靄のかかる生誕記念日の朝。1124(いいふよ)の日生まれなので微妙に惜しい

控えめな街灯の明かりが、なんとも趣深い

ネコチャン!

南へ進み、温泉街を流れる芹川の方へ

宿泊候補のひとつだった「紅葉館」の外観を確認。暫し正対していると、建屋がこちらに近づいてくるような感覚に陥る迫力がある

長湯温泉のシンボル「ガニ湯」。芹川沿いの混浴露天風呂なのだが、一帯は何も遮るものの無い河原。だいぶハードルは高い

そこそこの温泉フリークであることは自覚しているが、霜の降りた朝に人目も憚らず沈没するほど異常者ではない為、手を触れる程度に留めた

橋の下に設けられた脱衣所の看板。長湯の源泉は「バブ」の7倍のガス濃度だそうです

長湯温泉療養文化館と称される日帰り入浴施設「御前湯」。早朝から利用客が何人も出入りしている

宿に戻り、朝餉前にひとっ風呂。一番風呂のタイミングでしか見られないという湯の華が浮いていた。秋晴れの朝、やわらかな陽射しと程良い風を浴びながら新鮮な源泉に浸かる…喜悦を禁じ得ません。

朝餉。前日の夕餉では胃のキャパの関係で泣く泣く遠慮させていただいた「湯の香かけ干し新米」を、たらふく喰らうと決めていた。籾で保管し、使う分だけ精米するらしい

しっとり濃厚、"味の味"がする

豆乳・ザル豆腐・厚揚という豆腐の3点セットが嬉しい。女将の地元だという石垣島ラー油をかけていただいた。石垣島ラー油はかねてから気になっていた調味料なのだが、まさかここでお目にかかるとは。

食後の珈琲(ブラック)とデザート

結局米は大盛りで3杯喰らった。美味しいものを美味しく食べられるということは、とても幸せなことです

仕上げはぬるめの内風呂。「内風呂はぬるめですよ」とまた言われたが、ゴボゴボと大量に流しっ放しになっている優れたぬる湯に、入浴しない手はありませんよねえ

風采はいかついが優しい息子、形式ばらない接客が心地良い女将、快活で気風の良い旦那。「一客再来」の宿、そのリピーターの1人になりてえと思いました

久住高原展望台からのワイドビュー。初日からずっと天気に恵まれていたが、この日も本当に素晴らしい陽気

自分と同様に車を停め、写真を撮っている人間が居た

「寺尾野温泉 薬師湯」に向かうも、ちょうど浴槽の掃除が終わったばかりで湯が溜まっていないとのことで断念。数km離れた小国町「奴留湯温泉 共同浴場」へ

防犯カメラに100円硬貨2枚を必要以上に提示したのち、料金箱に投入

奴さんを留めた湯で「ぬるゆ」と読む。ひらひらと白い湯の花が舞う硫黄泉のぬる湯を暫し堪能。相当拙者好みの泉質で、文字通りまんまと留まってしまいました

なお、訪問時は加温用のボイラーがたまたまぶっ壊れていたらしく、上がり湯も不感温度状態。現在はおそらく修理が済んでいるはずです

「寒くなったのに」←すき

続いて訪問したのは九重町「壁湯天然洞窟温泉 福元屋」。足元自噴の洞窟風呂が有名

川の真横の窪みがそのまま自然の露天風呂になっている。高台の道路からも入浴客の姿は見えているものと思われます

荒々しい岩肌から39℃のぬる湯が自噴。じっとしているときめ細やかな泡が肌を覆う。如何せん露天風呂なので湯上がりは肌寒いが、服を着ると身体の内側からじんわりと温かさを感じる。良い湯です

狭霧台から湯布院の街を見降ろす

せっかくなので湯布院を見物しようと思い軽い気持ち温泉街へ車を走らせたのだが、新幹線かと思うくらい連なっている観光バスから大量の中国人観光軍団が出現したので離脱。ハイパーインバウンド観光温泉地の本気をみた

狭霧台から臨む由布岳が見事だったので、平静を取り戻すことに成功。昼餉を喰いそびれたので、予定より早めに目的地へと向かうことにした

日本一の温泉都市、別府に到着。まずは別府に来たら何よりも先に訪問したかったテナントビルの外観を確認(え?)

やよい天狗通りのアーケード周辺を軽く徘徊

ずっと訪問してえと思っていた別府市「駅前高等温泉」にてひとっ風呂。ネーミングと佇まいで心をグッと掴まれた温泉で、ついに念願の入浴と相なった

あつ湯とぬる湯があり、今回はぬる湯を利用。本来こちらの浴室はあつ湯らしいのだが、訪問時は何らかの事情でぬる湯が投入されていた

湯の良さも去ることながら、築90年を数える洋館建築がとても趣深い。宿泊も格安で可能とのこと。

別府市「資さんうどん 別府店」にて、投宿前の昼餉兼おやつを摂取

かしわごぼ天うどんを喰らった。図らずも九州3大うどんチェーン店のうち2つを訪問したので、最終日の昼餉はこの時点で決定した

今旅最後の宿、鉄輪温泉「旅館 みゆき屋」に投宿

帳場には早くもクリスマスツリーが生えていた

数多の陶磁器が所狭しと並ぶ館内。誤って接触して粉砕しないよう、荷物を身体の内側に抱えて廊下を進む

6畳間の「扇」に通され、行李を解いた

お部屋のキィー

館内御案内に軽く目を通し、館内を徘徊します。

自炊処。設備充実で素泊まりでも安心です。

館内は迷路のようで構造を理解するのに時間がかかったが、一貫して暖かい雰囲気が感じられるのがよい

全日食チェーン

湯けむりの鉄輪温泉をそぞろ歩く。求めていた景色が、そのまま脳内から出力されたかのような、温泉旅情の爆撃を受けた。ぐっと来ちゃう

なお、歩みを進めると旅情を感じるどころか、自分が蒸されるまであるレベルで湯けむりが発生していた。これもまた一興

「鉄輪むし湯」付近にて仲睦まじそうなカップルを一瞥。

いでゆ坂からみゆき坂にかけてゆっくりと坂を登っていったが、かまど地獄付近で再び大量の中国人観光客にエンカウントし踵を返した

黄昏が舞い降りるなか、力強い噴煙を間近で眺めていた。

一度宿に戻り体勢を整えたのち、夕餉を喰らいに再び街へ。適当に見つけた居酒屋「別府扇羽屋 鉄輪店」に突撃

6日連続で焼酎を飲むのは流石に初めて。おやつの余波もあり、少量の肴でじっくりと飲酒

びっくりするくらい「酒のつまみ」の味がする鶏ももの炭火焼き。柚子胡椒がとっても良いアクセントで美味でしたね

これまでの旅程を反芻し、心地良い酔いのなか宿へ戻る

宿の内湯と露天風呂にそれぞれ沈没。超高温の鉄輪の源泉を、湯量を調整して適温に保った上でかけ流し。宵々夢心地、温泉が好きでよかったとしみじみ思いながらの湯浴みでした

長かったような短かったような…万感交至るなか、蒲団に入り天井を見上げた

続く

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