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徒然草 ヤングコーンを買って帰ってきた

彼が家に帰ってきた。
いつも通りご飯の支度だ。

「ヤングコーンを買ってきたから、茹でて食べよう」
と、彼は言った。
ヤングコーンを茹でてそのまま食べることがなかったので、内心(新鮮だなあ)と思いながら「いいよ〜」と答える私。

彼と暮らし始めて、野菜をたくさん食べるようになった。一人暮らしの頃は「野菜を買うお金があればビールを買う」との判断で、野菜は外で食べるようにしていた。
…といっても、結局は定食の付け合わせぐらい、受動的摂取だが。

野菜はえらい。栄養があるし色が華やかだし「野菜食べてるから大丈夫」と謎のお守り感もある。なにが大丈夫なのかいまいちわからないけれど、なんか大丈夫。

会社の同僚と「最近、野菜を食べるようになった」と話をしていたところ、「もやしは野菜ですかね?」と返された。

妙に納得した。もやしは野菜なのだろうか。野菜ではあるんだけど、野菜は「食べてるから大丈夫」の御守りは感は備わっていない気がする。 同僚に「なんでそう思うの?」と聞いたところ

「何というか、もやしって水風船みたいじゃないですか?薄い膜の中は水しかない、というか。」

確かにもやしは水風船。こりゃあ言い得て妙だ。
知り合いにラーメン二郎好きがいて体調が心配だったので「ちゃんと野菜食べなあかんよ」と言っても、「野菜マシマシだから大丈夫だよ」と返ってきたことがある。(うぅむ…)とモヤモヤした理由は、ラーメンの上には「ただの水風船」が乗ってるからだ!

…いや待てヨ。私も、もやしも野菜だと言い張ったことがあるじゃないか。
もやしを料理で使うことがあまり無いと言った彼に「もやしは楽だから摂取しやすい野菜だ」と言ったではないか、ワタシ。
立ち返れワタシ。もやしは水風船ではない。あいつは野菜だ。

さて。茹でたヤングコーンは、野菜なのだろうか?そもそもヤングではないアダルトコーン(つまりコーン)は野菜なのだろうか?もはやスイーツに近い糖度ではあるし、コーンを野菜として見たことはない。

というか、とうもろこしはどこに行った?とうもろこしと聞くと、突然、野菜感が出てきた気がする。夏野菜に並べられる。野菜や。
では、ヤングコーンは、子どもとうもろこし…

話を彼との食卓に戻そう。
「なんでヤングコーン買ってきてくれたの?」と聞いてみたら、「仕事の休憩中に売っているのを見つけて、一緒に食べたいと思って」と返ってきた。

たまらん。たまらなさすぎる。愛おしい過ぎる。
ヤングコーンを見て、私を思い出してくれたのか。ヤングコーンを見て、わたしとの暮らしを想像してくれたのか。堪らん堪らん堪らん。嬉しい過ぎる。

ヤングコーンはわたしの暮らしも彩る、ホンモノの野菜だ。

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