大学の卒業式
ツイッターを見ていると、母校の大学の卒業式を祝うツイートが流れてきて「もうそんな時期か」と思いました。卒業生のみなさんおめでとうございます。山口大学での生活はどうだったでしょうか。
こんにちは。村谷由香里です。
noteをご覧いただきありがとうございます。
高校の卒業式はまだ冬の気配が抜け切らない、冷たい空気が満ちた体育館を思い出しますが、大学の卒業式はもう完璧な春の様相で、終わりより始まりが似合うような陽気の中で行われるイメージがあります。
今日もよく晴れていて、とても暖かかったですね。
大学時代が、村谷由香里というコンテンツを作り上げていると言っても過言ではありません。このエッセイでも再三言っていることですが、あの四年間で形成された人格、人間関係が今もわたしの生活を作っています。
わたしは山口県の生まれではあるけれど、大学のある山口市は地元から電車で1時間半以上かかる場所にあります。だからわたしはあの町を、故郷だとは思えない。
「帰る場所」にはなり得ない土地です。
第三舞台の「ピルグリム」という演劇が好きでした。大学の演劇サークルで、友達がやっていたのを見てからずっと忘れられないお芝居です。特に印象的なのが「オアシスに家を建ててはいけない」というセリフで、わたしは大学の卒業式のとき、ずっとあの脚本のことを考えていました。
「 住もうとすれば、そこはユートピアと呼ばれ、存在しない場所になる」
故郷にも定住地にもならなかったあの町、あの四年間は、たしかにわたしの人生にとってのオアシスだったのかもしれません。二度と戻れない安息の地。
大学生になるまでは、二度と戻れない場所なんてないと思っていました。中高の友達なんて下松に帰ればいつでも会えると思っていたし、どんなにブランクがあっても会ってしまえば元どおりになると思っていた。
大人になるにつれ、そんなことはないのだと実感することが多くなりました。今どこでどうしているのか、わからない人の方が増えてしまった。
帰ることのできる場所の方が少ない。わたしたちは大切な通過点にピンを立てながら進んでいくしかない。
それが人生だと納得するには、この季節はあまりに暖かく、あまりに明るすぎるよなと、毎年考えてしまうのです。