見出し画像

私の提唱する地下建築論について

地下建築論

私が提唱する建築論の一つに地下建築論というものがある。
工務店勤務時代に仕事の合間を縫って考えた建築論である。
この建築論は主に空間の表裏についての思考を軸としている。
建築というものはGL、即ちグランドレベル、地面から上に建てられることが前提とされているが、私の提唱する地下建築論についてはその限りではない。
地下にメインとなる居住スペース、或いは使用空間が埋設されている建築をさす。
住宅であれば玄関を入るとそこから地下へと通路、または階段が伸びているものである。
現存する地下建築は数少なく(そもそもがコストの面や条件面で少ない)例に挙げると
・安藤忠雄の地中美術館(直島)
・高松伸のアーステクチャー・サブワン(東京都渋谷区)
等である。

Back to the before1963.

私がこの地下建築を語る上で欠かせない対象となる芸術作品がある。
それは1963年に造られた赤瀬川原平の宇宙の缶詰である。
この作品はカニの缶詰の表側のラベルを内側に貼ることにより内外の概念が逆転し宇宙全体をそのカニの缶詰の中に閉じ込めるという思考芸術なるものである。
これを対象とし私の思う地下建築は
先ほど述べた通り地上に建つ建築には通常ファサード(正面)と呼ばれる主に外観を指すような概念が常に付きまとう。
それに対してこの地下建築は居住空間、或いは主となる使用空間が地下に埋設されており通常の建築がもっと外観という概念が半減或いは全減するのである。
そこから内へと広がる通称内部へとそのファサードの概念が傾れ込んでくる。
そうすると内部と外部が同じ座標にして共存状態となる。
先述した宇宙の缶詰は文字通りこの宇宙を内包してしまったがこのわたしの地下建築が成り立った暁にはそれらから切り離され確立された1963年以前の空間へと変化を遂げる。
これが私の提唱する主な地下建築論である。

先人達の理論提唱との関係について

ここからはこれらを提唱後に発覚した事実であるが、原広司、谷口吉生らが提唱している反転の類の建築論と同じ思考回路なことに気がついた。
しかしそれらと異なる点というのはいくつか存在する
その一つは内でありながら外を取り入れる彼らだが私はそもそも外という表層が限りなく抑えられており地下(GL)に潜っている点かと思われる。
今後要熟考しなければならないがひとまず私の提唱する地下建築論はこのような具合であろう。
生まれる時代を間違えたようだ。

Back to the before1963.

※以上の引用参照を如何なる場合であれ禁ずるものとする。2024.9.17 矢谷昂己

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?