見せたPRIDE 正しい道 ただ、結果は遠く...
書き出し
12/16 準々決勝 vs クラブレオン 1-0 win
12/20 準決勝 vs マンチェスター・シティ 0-3 LOSE
12/22 3位決定戦 vs アル・アハリ 2-4 LOSE
浦和レッズのCWCへの挑戦は4位という結果で終わった。この"世界4位"という結果が悔しく思うのは、本気で優勝を狙っていたからこその事なんだろう。「アジアの制覇は通過点 本気で世界を獲りに行こう」というメッセージに恥じない応援をした現地組のサポーター、それに応えた選手達には敬意を表したい。
ただし、全力でやったからそれで満足という訳では無い。これを糧にいつか世界を獲りに行かなければならない。その為になにが必要になるかを考えたい。
試合内容
vsクラブレオン
CWC初戦となった北中米王者のクラブレオン戦、浦和レッズは前の試合が12/6のハノイ戦で、久々に試合間隔が空いた。サウジに前入りし、とにかくコンディションに気を使った。しかしそれでもシーズンで58試合目となる選手達の身体は限界ギリギリだった。
相手は2トップでコースを限定し、取りどころを定めてプレスにくる形だ。5バックで特別プレッシャーが強い訳ではないので、前線から落ちて来てギャップで受ける等、連動、連続したフリーランをすれば上手く前進出来たのだろう。しかし、複数回フリーランを入れる力はもう無いのか、前線に5枚が張る形になってしまい、後ろからの出し所がなく、無理な縦パスをカットされてショートカウンターを受けてしまうようなシーンが多かった。そこで失点しなかったのは今季の強さなのだろう。
後半に入り、シャルクと中島を入れてランニングと落ちてくる動きで相手に綻びが生まれてきた。結局ショルツが運び、カンテ→シャルクでゴール。この1点を守り切り勝利した。ただ、内容が良いとは言えず、単純なミスを減らさないとシティにそれを突かれる気がしていた。
vsマンチェスター・シティ
断言していいと思う。長く取り組んできた4-4ブロック×ミドルプレスは通用した。小泉佳穂は「サッカーの先が見えた」と表現した。取り組んできた事が間違いないという事だ。
ペナ手前20m辺りに最終ラインを設定しブロックを敷きつつ、MFもコンパクトにポジションを守って前進させない。2トップの形になる前線2枚は背中でコースを消しながら出し所を限定させていく。ハイクオリティだったと思う。
直前のクリスタルパレス戦では、5-3のブロックを敷くパレスを崩しきって点を取っていた。シティに崩す能力はあっただろうが、浦和のブロックが上回った。4年かけた守備が通用、それは希望であり、同時に絶望でもあるのだろう…。
最終的に全体を押し上げた時に入れ替わられる形で擬似カウンターをくらい、0-3で敗戦になった。相手は引き込みビルドも使用してきて、カンテや安居がプレスに体力を使ってしまい、攻撃の起点が作れないのも痛かった。jだとなんとかやれるハイラインハイプレスも、その程度の成熟度では欧州トップには通用しないのだ。
vsアル・アハリ
正直、この試合に内容等で考えられる事はない。あまりにも走れておらず、限界だったのだろう。選手を責められる訳は無いが、編成がもう少し上手くいっていれば…。というタラレバは言いたくなってしまう。
4年目のNew浦和レッズ
希望と絶望
シティ戦の内容の所にこんな事を書いた。
希望であり、絶望。
ミシャ式からの脱却に失敗し、騙し騙しやってアル・ヒラルに現実を見せられた2019シーズン。そこから浦和レッズは大きく生まれ変わった。2020シーズン開幕前、FB本部を設立し、3年計画を掲げた。
大槻監督が4バックの基礎を叩き込み種を蒔いた2020シーズン。リカルド新監督を招聘し、ビルドアップに拘った2021シーズン。そして3年計画最終年、リーグ優勝を目標に掲げた2022シーズン。リーグの結果は振るわなかったが、この期間に天皇杯優勝、ACL決勝進出を決めた。リカルド監督が種を芽吹かせた。
そして2023年、マチェイスコルジャ監督を迎え、ACL優勝をまずシーズンの大きな目標とした。20年から培ってきた4-4ブロックを力強く花咲かせ、見事にアル・ヒラルにリベンジした。リーグでも最小失点だった。4年かけたこの戦い方はアジアレベルを超えている。ただ、そのレベルまで4年かかったのだ。次のCWCまでは1年半、この期間で世界に勝てる程の力をつけられるかどうか。守っているだけでは勝てないし、ハイプレスの成熟度もあげなければならない。32クラブに増える次のCWCは、GSで3試合、そこからトーナメントとなり、優勝には7チームと対戦しなければならない。はっきりいって多くの戦略が採れるようにしないと優勝は厳しい。
1年半で出来るのか?それが絶望と表現した理由である。
本気で世界を獲る為に
25年CWCが優勝出来なかった場合、世界を獲る為に何をする必要があるか。まずは今後ずっとリーグで上位争いをし、定期的にACLに出るようにしなければならない。そうでないとまず挑戦権が得られない。結果を残していればブランド力もついて、野心的な若手や優秀な外国籍選手を獲得する上で大きなプラスになるだろう。
2024シーズンはペア=マティアスヘグモ監督の就任が決まっている。湘南の石原、G大の佐藤、京都の井上の獲得も決まっている(12/27時点)。攻撃的な試合を望む監督が、得点力不足の今のチームをどう改革していくのか。エースカンテの引退でセンターフォワードに絶対的な選手がいない。当然補強の必要もあるだろう。もしかしたら我慢の時間が長くなるかもしれない。それでもこのクラブが少しづつ前に進んでいることは間違いない。いつか世界を獲るために、強固な基盤を作って欲しいところだ。
今年のCWCの上位3チームは全て100年以上の歴史があるクラブだそうだ。浦和レッズは30年である。お荷物と呼ばれた時代からj2降格を乗り越えて、強力なアタッカーを揃えてタイトルを獲得した2000年代、そこから降格の危機を乗り越え、ミシャ式で黄金期を迎えた。また辛い時期がきて、それを乗り越えてACLを優勝した。伊藤敦樹や高橋利樹のように、歴史を体現する選手も出てきた。濃い歴史だが、世界的にはまだ新興チームのようなレベルなのだろう。ただ、それでも30年で3度、世界に挑戦する権利は得た。真っ向からぶつかって打ちのめされてきた。これが紡がれて歴史になるのだろう。
今この瞬間、我々の声は歴史の1部になり、いつか世界の頂点に立った時、美しく輝くのだろう。その日を夢見ている。何十年経とうが、諦めることは無い。もし夢見た"その時"にこの世に居なくても、歴史が我々の想いを代弁してくれるのだ。
終わり
URAWAのPRIDEを世界へ見せた。自分達の歩む先に道が繋がっている事を己自身の目で確認した。フェーズがひとつ終わったのだろう。しかしすぐに次のフェーズが始まる。何十年もかけて積み上げてきた歴史が重く聳えている。重圧にもなるし、自信にもなるだろう。24年シーズン、25年CWC、そしてその先の新たな景色への旅の第1歩を踏み出す時、重く苦しい足取りになろうと、そのサポートを少しでも出来たらこの上ない幸せだ。
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