個人事業主として開業してからの経験を書いておく33(個人事業主だからできることもある)
今回は、私のような後ろ盾のないフリーな個人事業主だからこそお客様先で思い切ってできる役回りがあるよ、というお話です。
1.見えてくるお客様の課題
お客様と一緒に仕事をしていると、当然契約したスコープに従って業務を遂行します。
例えば、特定のプロジェクトマネジメント支援であれば、そのプロジェクトを成功させるための仕事をします。
ネットワーク技術支援であれば、技術面のサポートを行います。
トレーニング提供であれば、トレーニングを実施します。
常駐というわけではありませんが、お客様先に席を用意頂いて仕事をしていると、おのずといろんなものが見えてきます。
それは、その会社の社風であったり、マインドであったりです。
この会社のカラーのようなものは、長い時間をかけて醸成されたもので、簡単には変わるものではありません。
その根底に根付くマインドは、良い面もあれば弊害となってしまうものもあります。
これは、中途入社したての人や、業務委託や派遣社員など、他の組織を経験している人達であれば少なからず感じ取ることだと思います。
2.従業員が会社の批判を行うことは難しい
会社に雇用されている従業員の人達は、組織が持つ根本に近いような問題点や課題を心の中で感じていても、
「それっておかしい。こうしていくべきじゃないか。」
と声を上げることはすごく難しいと感じています。
ひとつは、日々自分がこなさないといけない仕事が目の前にあるのに、そんな大きな話に時間を割けないということがあります。仮にそういった改善を「おまえがやれ」と担当になってしまうと、余計な仕事が増えてしまう、それはいやだということもありますかね。
次に、組織批判をすることで、自分の昇進や評価に影響が出るのではないか、という恐怖感があります。組織によるとは思いますが、やはり給料という個人生活の基盤になる部分を握られているので、自分の評価が落ちるほはいやだ、というものです。
最後に、社内改善なんて、できっこない、と最初からあきらめているということがあるかな。
このような理由から、なかなか社内から声が上がって改善につながっていくということは難しいものだと経験上感じています。
3.個人事業主の立場だから言えることもある
こういった会社がもつ課題や問題を社内で指摘できないのであれば、一緒に仕事をしている外部の人達が指摘すればいいのですが、これはますます難しいでですよね。
とりわけ会社員であれば、その組織を背負って対応しているわけですから、関係ない事に口をはさんで契約が解消されたりしてしまうと元も子もありません。
会社のプロセスを改善するためにコンサル会社に委託するようなケースもあります。ただ、彼らも会社の従業員です。その会社で評価が下がるような余計なことはしたくありません。
だから私がお会いしてきたコンサル会社の人達って、プレゼンはすごくきれいな資料を作りますし、かっこいいこといいますが、本質的な部分についてはオブラートに包んで伝えています。
「それじゃあ伝わらないよなぁ」
と思ったこと多々ありです。
ここで我々のような個人事業主の出番があったりするのです。
基本、後ろ盾になるような組織もなく、自分ひとりで自分の発言に責任をもてばいいので、私は何を言っても自由だと思っています。
ただし、大前提として、お客様との間に信頼関係が出来上がっていることが必要ですよ。
タイミングも大事です。
ただ立ち話で話しただけでは単なる井戸端会議と変わりません。
そして、それなりの覚悟も必要です。
舞台を準備してもらい、それを伝えることで、お客様とってものすごく価値のある結果を提供できることがあるのです。
4.プロジェクト振り返り会で思いのたけをぶつけた
具体的にそれってどういうこと?という方もおられるかもしれません。
私の経験をお話ししますね。
あるお客様で担当したプロジェクトの話です。
このお客様は新しいサービスを立ち上げることを企画し、私はそのサービスを提供するためのシステムを構築するプロマネとしてアサインされました。
私自身、本来のプロマネ部分のタスクをはるかに超えていろんな調整をし、ドキュメントを書き、説明をし、トラブルを解決し、進んでいきました。
ただ、このサービスはいろいろな理由があり、提供をしない、という最も残念な結果として幕を閉じました。
このプロジェクトはあしかけ2年にわたるものになったのですが、この間、様々な組織の問題点が浮かび上がりました。
このプロジェクトの間に見えた実に多くの学びと課題は、絶対にお客様に広く伝えないといけないと思いました。
改善しないと、また同じことの繰り返しになってしまうからです。
そこで、組織のかなり上の方と相談し、プロジェクト振り返り会をかなりの人数の前で実施することにしました。
そこでは、あえてかなりストレートな表現を使って問題点を伝えました。
責任者の方からは、「この振り返り資料は会社の資産になります」といってくださいました。
上の方も、こう言った問題を面と向かって伝える人はいないし、ストレートに伝えないとわからないと思われていたようです。
5.今回のまとめ
個人事業主は資本も砂粒のようなものですし、私のようなスタイルだ自分の背後に支えてくれる組織力はありません。
契約形態も下請けですから言われたことをやっていればいいのだと思います。
ただ、お客様の期待を超える仕事を誠実に、真摯に提供することでお客様は組織や規模ではなく、人として見てくれるようになります。
もちろん契約する内容にもよりますが、場合によっては社員さんが言いにくいようなことを代弁し、組織の中で一石を投じるといった役回りが個人事業主にもできるよ、というお話でした。
それではまた!
日々感謝 m(_ _)m