2022年4月26日 人に優しくが難しくなっている by宅配ドライバー
Twitterを眺めていて、これほどまでに何回も見惚れてしまう動画が流れてきたのは初めてかもしれない。
ヤマト運輸の宅配ドライバーが配送中の車を路肩に止めて、立ち往生している車椅子の人を助けている。自分も宅配便の仕事をしているのだが、もし同じ状況に遭遇した時、このような素晴らしい対応ができるだろうか。
残念ながら躊躇なくYESとは言えない。だからこそ余計に胸を打たれ、何回も動画を見てしまった。
ECサイトが急激に売上を伸ばしている昨今。それに比例して、宅配便の仕事はとてもハードになっている。いくら物量が増えても、その日に到着した荷物はその日のうちに配達しなければならない。
追跡サービスがあるので、配達予定日に配達されずにそのまま荷物を持ち戻るようなことがあれば、大変なクレームに発展することも珍しくない。
また忙しすぎて休憩をとることはおろか、トイレに行く暇さえない日もある。ちなみに上層部が荷物の状況に目を光らせているので、もし未配が出てしまえば、かなり問い詰められる。委託の場合だと、契約解除となってしまうこともある。
また理不尽な目に遭うこともしばしばあって、例えば今日あったのが、時間指定のない荷物を20時頃に配達したら、「何時だと思っているんだ!」と届け先のおじさんにキレられた。その荷物は営業所に到着したのが17時半頃で、自分が積み込みを終えて出発したのが18時頃。そこから4,50軒くらい回るので、配達場所次第ではそのような遅い時間になってしまう。
キレてきたおじさんには悪いが、1ミリも自分が悪いとは思わない。だからと言って、そのような考えが態度に出てしまえば、火に油を注ぐ形になる。とりあえずへり下りながらやんわりと説明したのだが、納得いかなかったのか、僕が持っている荷物を剥ぎ取るようにして、雑に取られた。
その時は言葉に出してはいけないワードが頭に浮かんでしまったが、おじさんの立場になって考えてみると、これだけ遅い時間になるのなら、明日でも良かったのかもしれない。その辺りは事業者側も〝なる早で配達することが正義〟みたいな考えを改めていく必要があるだろう。
そんな感じで、宅配便ドライバーの労働環境は年々、過酷になっている。昨年末までヤマト運輸で委託ドライバーをしていたのだが、(あくまで自分の観測範囲内だが)入る人よりも辞める人の方が多かったように思う。
そんな状況を見てきているので、余計にこの動画に胸打たれ、見惚れてしまったのだろう。宅配事業者の偉い人は、この動画を見て「素晴らしい!」と感じるだけでなく、もっとドライバーが心身ともにゆとりを持てるような仕組みを再構築していただきたいと思う。
このような素晴らしい行動が取れるドライバーを決して絶やさないためにも。