大人のお風呂屋さんへの配達
今日の配達エリアは川崎駅周辺。世間一般的に治安がよろしくないイメージがあると思うが、それはマンションの張り紙からも窺い知れた。
公共スペースで嘔吐した際はちゃんと処理してくださいだの、非常階段で小便しないでくださいだの、夜中に奇声を上げないでくださいだの...
その地域の多様性に触れることができるので、配達中にマンションの張り紙を読むのは割と面白い。また治安が悪い地域はコンビニのトイレの張り紙も個性的だ。
お昼頃に時間が空いたのでコンビニで軽食を買うがてらにトイレを借りようとしたら、「注射器を捨てていかないでください。今度見つけたら、警察の指導により、トイレは使用禁止になります」との張り紙が。
おそらくヤバい方のクスリを摂取するのに使用したのだろうが、何故わざわざコンビニのトイレでキメるのか?何故自宅でないのか?そして何故痕跡を残していくのか?
様々な疑問や得体の知れぬ恐怖により、満足に用を足せなかった。
そんな愉快な街には当然、大人のお店もたくさんあるし、そういうお店へ配達に行くことも珍しくない。今日は謎の理由で未成年は入浴できないタイプのお風呂屋さんへの配達があり、受付の人に荷物を渡そうとしたら、「ちょっと、こちらで待ってください」と待合室に案内された。
「客じゃないんだけどな...」と思いながらも、何か理由があるのかもしれないと、言われるがままに待合室に行くと、そこには今にも爆発しそうな性欲を押し殺しながら、殺気を殺すかのように静かに待機するおじさん達の姿が。
こんなところからも、もうすでにパンデミックが下火になっているのが窺える。そんな性欲おじさんに囲まれながら、Amazonの箱を抱えている自分。
なんとも奇妙な光景だろうが、周りのおじさんたちはどこ吹く風で全く自分に関心を示さない。「とっとと配達を完了させて、この場から立ち去りたい...」そんなことを思っていると、1人の店員さんがその異変に気づき、「配達の人ですか?」と聞いてきた。
すかさず、「はい、〇〇さん宛のお荷物です」と答えると、「お客さんじゃなかったのですね、失礼しました」と店員さん。
運悪く忙しい時間帯に出くわしてしまったのだろうか、自分が訪れた時にAmazonの荷物が目に入ってなかったようだ。それにしても、Amazonの宛先を勤務先にする泡姫も泡姫だ。宛名はおそらく源氏名だったであろう。どんなコなのか、少し気になり今度指定してやろうかなんて思いながら、その場を去った。
配達の仕事は毎日、同じことの繰り返しなので、退屈に感じることがほとんどなのだが、今日はエリアがエリアだっただけになかなか刺激的な時間を過ごせた。ただ性欲にまみれ、殺気立ったおじさん達に囲まれるのはもう懲り懲りだ。