『シン・ウルトラマン』から感じた挑発的なメッセージ 2022年5月17日
今日は休暇日だったので、今話題になっている『シン・ウルトラマン』を観て来た。
自分は正直、ウルトラマン自体をあまり観たことがない。なんとなく全身銀色のタイツを着た巨人が限られた時間内で怪獣を倒し、地球を救うということぐらい知っているだけだ。また普段はアメコミ映画くらいしか映画館で観ないので、映画に関してもニワカファンだと言える。
そんな自分が『シン・ウルトラマン』を観た率直な感想だが、最先端の映像技術がふんだんに詰め込まれているであろう『ドクター・ストレンジ2』を観たばかりだったこともあってか、タイトルに「シン」と付いているものの、それとは裏腹にノスタルジックな雰囲気を感じた。
ウルトラマンと怪獣が闘っているシーンからは幼い頃に観ていた特撮ヒーローを思い出したし、ちょくちょく映し出される団地や公園の遊具など、所々に昭和っぽい雰囲気が散りばめられていて、昭和生まれである自分はどこか懐かしさがあった。
また、ビジュアル面だけでなく、昨今のハリウッド基準ではアウト認定されそうな女性キャラの扱いやステレオタイプな偏見など、セリフやアクションからも節々に〝昭和感〟が感じられた。
SNS上ではそんな〝昭和感〟が非難されているようで、確かにポリコレ意識が強いアメコミ映画ばかり観てる自分も、それらのシーンには違和感があった。
ただ、作り手の価値観がアップデートされていないとか遅れているとか、ハラスメント問題に無自覚とかではなく、それらを理解した上で意図的に〝昭和感〟を取り入れていたのではないだろうか。
自分はそんな〝昭和感〟の数々が昨今、正義に寄り過ぎている世の中の風潮に対してのアンチテーゼ的な表現に感じて、なんとなくNetflixで配信されているリベラルにも保守にも全方位に喧嘩を売りまくっている『ドント・ルック・アップ』を思い出した。
『シン・ウルトラマン』は日本的なヒーロー映画の活路を見出すため、さらには欧米が作り出す新しい価値観に抗うために作られたのだろうか。そんな作り手側の強いメッセージを感じ、なかなか挑発的であり、挑戦的だと思った。
1回では理解し切れてないだろうし、全体の雰囲気がざっくりと分かった状態で、もう一度観てみたい。リピートするのは間違いない映画であった。