今更ながら「えんとつ町のプペル」を観た 2022年5月8日
今日は朝からのブロックが早く終わり、夕方からのブロックまでの間に時間が出来たので、今更ながら「えんとつ町のプペル」をAmazonプライムで観てみた。
noteを読んでいる方なら、SNSの話題にも詳しい方が多いと思うので、今更「えんとつ町のプペル」を説明する必要は無いと思うが、2021年頃にTwitterを中心に「プペる」という流行語を生み出した話題作である。
公開当時は芸人から起業家まで色んな著名人たち(原作、脚本、制作総指揮を務めた西野亮廣氏と近しい人たち)が「感動した!」「泣きました!」と絶賛する動画をYouTubeにアップしていた記憶がある。また西野氏のオンラインサロンメンバーによる布教活動のような危うさを感じる熱心なPR活動も何かと話題になっていた。(ちなみに監督も西野氏だと勘違いしていたが、監督を務めたのは廣田裕介氏という方らしい)
そんな色眼鏡無しで観るには割と大変な「えんとつ町のプペル」を軽バンという狭い空間の中で、しかもスマホという小さい画面で多少の窮屈さを感じながら観た。
率直な感想は面白いとかつまらないとか言うよりかは、なんとなく楽しい仕上がりにはなっていたように思う。少なくとも、もし映画館という最高の空間で鑑賞していたら、割と満足度は高かったかもしれない。
ただ自分は1プペで十分かなぁ...と。厳密には0.8プペあたりでお腹はいっぱいになっていた。
これはキングコングの漫才にも通じるが、1つ1つのパンチは軽いけど、見ているこちらが飽きないように次から次へとテンポ良くジャブを打ってくる。
そしてキングコングの漫才の場合だと、舞台に立っている西野氏と梶原氏の2人に華を感じることも相まって、見終わった後には、なんとなく満足感を得られる。
「えんとつ町のプペル」で言えば、工夫を感じるアクションシーンや幻想的なえんとつ町のビジュアルなど、なんとなく楽しいシーンは多い。あと声優陣も豪華なので、各々のキャラも立っている。ただ、それだけの映画だったことは否めない。
西野氏の盟友であるホリエモン氏が自身のYouTubeチャンネルで、えんとつ町のプペルを絶賛していて、その中で「多国籍感が素晴らしい」みたいなこと言ってたが、自分的には色んなヒット映画の良いとこ取りをしているみたいで節操のなさを感じてしまい、良い印象は無かった。でもそういう良いものは何でも柔軟に取り入れられる器用なところもキングコングっぽいと言えば、キングコングっぽい。西野氏の作家性なのかもしれない。
あとプペルに対し、ルビッチがしきりに強めの口調で「臭い」というのだが、その後の感動的なシーンの伏線だとしても嫌悪感があった。デリカシーのない感じで人に「臭い」と言えるのもキングコングというか、少し前までの吉本芸人(関西系)らしさというべきか。躊躇や葛藤なく人の短所をイジれるところがあまり受け付けなかった。
自分的には、この作品は〝お笑い界の猛者たちがひしめく吉本興業〟で勝ち上がってきた強者芸人の存在感をすごく感じさせられる映画になっていたということが言える。メルヘンチックな世界観なのに、すごく現実的というか、ビジュアルは素晴らしいのに、その世界に没入できなかった。スマホで観たので、アンフェアなのは承知だが。
(ただ同じくスマホで観た「スパイダーマン・ファー・フロム・ホーム」は十分に没入できたし、中年のおじさんである自分が高校生の修学旅行にしっかりと入り込めたし、ピーターとMJの甘酸っぱい恋にキュンとさせられた)
「えんとつ町のプペル」は、メディアの成功者である西野氏の存在が随所にチラつく映画だったように感じる。なので芸能界の空気に圧倒され、1ミリも売れなかった元放送作家の自分が共感できる部分があまり無かった。むしろこの映画に共感できたり、感銘を受けたり、人に勧めたくほど面白かったという人が、西野氏と近しい人やファン以外でいたら、教えていただきたい。
そういう人たちから得られる学び(ポジティブマインド)が、今の自分には不足しているのかもしれないし、願わくばそういう人と2プペ目をしたい。