【にほんご日誌(23/3/8)】出会ってくれて、ありがとう
先日、一枚の写真が届いた。
写っているのは放課後日本語クラスで担当した生徒たち。卒業式の後、高校の教室で仲間たちと撮った記念写真だ。
ブック型の卒業証書を手にした誇らしげな顔。久しぶりに見る顔は2年前よりも少しおとなびて、私の手の届かないところで笑っていた。
2年前、私は初めて海外につながるその生徒たちに出会い、放課後日本語クラスでいっしょに日本語を勉強した。
どのような内容の日本語指導を、どのように進めればよいのか確信がもてず、文字通り暗中模索、無我夢中で膨大な数の教材を作り、反故データの山を築いた。
そのなかで見た、高校における海外につながる生徒たちに対する指導姿勢(少なくとも私が関わった高校において)や、クラスでの生徒との交流については、昨年、以下のnoteに記録していった。ご興味がある方はお読みいただければ幸いです。
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2年前の生徒、昨年の生徒、今年の生徒。担当したのは30人ほどだろうか。
記憶のなかで、生徒一人ひとりとのやりとりは、様々な色合いでキラキラと輝いている。卒業写真は日頃は思い返すことのないそんな思いを、一瞬にして思い起こさせた。
教員の方々との指導計画についての意見の不一致から、コロナのための休校措置といった不可抗力まで、次々に予定していた授業計画が崩れていくなかで、いったい私は生徒たちにどれほどの役に立つことができたのか。無力感に押しつぶされるような気持ちになることもあった。
けれど、卒業写真のなかで晴れやかな笑顔を見せている生徒たちを見て感じたのは、そんなネガティブな思いとは違う、もっとよいもの。“光”を感じるものだった。
昨日、今年度残り2回を残すのみとなった日本語クラスに行くと、卒業式後に生徒たちに会ったという先生が、「Aさんが『○○先生(私のこと)によろしく言ってください』と言ってましたよ」と教えてくれた。
みんな、出会ってくれてありがとう。
私が彼らに何かをしてあげたのではない。
私が、生徒たちからかけがえのない時間をもらえたのだ。
この気持ちが私にとって大切な限り、海外につながる生徒との日本語クラスを続けていきたいと思っている。