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50歳からはじめるデジタルモデリング 第1話「3Dプリンターは突然に」

「海賊王にオレはなる!!」くらいの勢いで「2024年のうちに3Dプリンターを手に入れる!」とサークル内で宣言したのが、殺人的な猛暑に体力を削られる日々を過ごしていた夏の事だった。

そろそろ何か作らないとせっかく見つけた居場所たる造形サークルから追い出されるかもしれなかったし、世の中の原型師たちはどんどんデジタルに移行しており、ここで流れに乗らないとあっという間に置いていかれると思うと恐ろしくなった。

私はプロの原型師でも何でもないのだから、無理してトップランナーたちについていく必要など皆無なのだが、何故だか分からないが何か新しいことに挑戦してるフリだけでもしておかないと、謎の焦燥感に駆られストレスだけが溜まっていくという状態だった。実際、今もそうである。

だが値段が安くなったとは言え家庭用3Dプリンターの値段は少なく見積もっても4〜5万はする。氷河期世代で給料の上がらない家庭持ちのサラリーマンがポンと買うにはハードルが高い。結局、何の進展もないまま2024年も終盤に差し掛かっていた。

流れが一気に変わったのが11月、熊本で開催された模型展示会9MCでの事。ここでホビー界の黄金聖闘士•モデリズム小林和史さんのお話を直接お聞きする機会に恵まれ、バンブーラボなるメーカーの入門用3Dプリンター「A1 mini」がセール中で¥29800で買えると教えていただいた事が、セカンドインパクト並みの大きなきっかけとなった。

これは破格の値段である。A1 miniはFDM方式というタイプの3Dプリンターで、サークルのメンバーをはじめとする周りのモデラーたちが広く使っている光造形方式の3Dプリンターほどの精密な印刷は出来ないものの、技術の進歩により以前に比べかなり細かい印刷が可能になっていた。

実際小林さんが出力されたモデルは物凄く綺麗だった。その上、光造形タイプは使用するレジンがかなり臭うらしいのだが、FDMタイプはほぼ無臭で、おまけに出力したモデルは凄く頑丈に出来るとのこと。今後はこのFDM方式が主流になっていくと断言する識者もいた。

小学生の娘と猫と怖い妻のいる我が家には、もってこいのマシンではないか! これだ! 

神と崇める小林さんからの言葉は、心から待ち望んだ福音に思えた。

つづく

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