
アシスタントの視野•視点
大学・専門学校は夏休み期間に入り、トレーナー
(トレーニングコーチ)志望の学生が、学校のカリキュラムの一環としての現場実習や、個人的なツテを頼っての現場見学/研修などにより、プロのトレーナーが活動している【現場】に出る機会が増える時期かと思います。
アスリートの活動も、通常の練習環境だけではなく、合宿や遠征などに出る時期でもあり、現場によっては人足が求められる状況も出てくる為、将来、スポーツの現場で活躍したいと考えている学生にとっては経験を積む良い機会かと思います。
今回は、私の経験も回顧しながら、アシスタント(厳密に言うと立場によって呼称は違いますが)として、現場に立つ際の視野や視点についてのポイントを述べていきます。
※以前にこんな投稿もしているので、参考までに↓
さて、アシスタントとして現場に出る場合、当然のことながら、チーフの監督•指揮の下、その指示に従うというのが前提条件であることは言うまでもありません。
したがって、現場での立ち居振る舞い、つまり、何をどこまでやっていいのかなどについては、チーフの考え方やそのアシスタントの立場•キャリアによって変わってきます。
ここでは、私が当時心がけていたこと、あるいは今の立場(チーフ格)になってみて感じることやアシスタントに求めることを記します。
端的に言うと【2つの視野】を持つということです。
1つ目は、上記の投稿でも記した通り、周辺視野で選手の動きを追いながら、予知・予見しながら観るという見方です。
フィールドやトレーニングルームのキャパシティにもよりますが、当然のことながら、チーフが一人で観るよりも目が増えることで、見える範囲が広がります。
したがって、チーフが見えていない範囲や角度を補完するようにして観ると良いでしょう。
そして、もう1つは上記と矛盾しますが、チーフの動きを観察するということです。
どのようなポジション•角度で選手を観ているのか、説明やレクチャーする際の表現、言動、選手との何気ないコミュニケーションなど、立ち居振る舞いを観ておきます。
もちろん、1つ目の見方も大事なので、ケースバイケースです。
1つ目は、選手や状況を観る目を養います。
2つ目は、チーフを観て指導者としてどうあるべきか、経験値を学びます。
学ぶの語源は「マナ(真似)」や「真似ぶ」と言われているように、そうやって観て学んでいると、だんだん話し方や表現の仕方、立ち方や仕草まで似てきます。
今の時代、「見て学べ、見て感じ取れ」というやり方は時代錯誤かもしれませんが、我々のような仕事は、知識・情報はテキストやネットから取れますが、最も大事な経験はリアルの現場に立たなくては積めませんし、さらに経験値を高めるには時間がかかります。
しかし、上記2つ目のような心構えを持って現場に立つことで、直接な経験と共に間接的な経験を積んでいくことができます。
今、振り返ると、私のアシスタント時代はそうやって過ごしていました。
ある時、選手に
「鬼頭さん、〇〇さんに話し方が似てきましたね。」
「鬼頭さん、〇〇さんと同じこと言ってますね。」
と、言われたことがありました。
(というより、何度も言われたことがあります。)
つまり、無意識のうちにチーフの真似をしていたのです。
これから現場に立つ若いトレーナー志望の皆さんも是非、そうやって現場に立ってみて下さい。
JPFストレングス工房
鬼頭 祐介