ダウンロード違法化前の世界
昔話。
ダウンロードは違法である。
映画館に行けば手袋はめた変態紳士が講釈垂れてくれるので皆の共通認識としてすり込まれてる感があるこの話題について。
実はダウンロードが違法でない時代があった。
2010年1月1日に施行された著作権法の改正により、違法なネット配信による音楽・映像を違法と知りながらダウンロード(複製)することが、私的使用目的でも権利侵害(著作権法違反)となった。これを「ダウンロード違法化」と呼ぶ。
明らかに線引きされたのが2010年。
それまではあいまいでなあなあな世界。
そもそも著作物の取り扱いも適当だった時代。あくまでも過去の話として読み流してくらさい。
レンタルビデオ屋で借りてきたビデオをダビングするのはごく当たり前のことやったし、借りてきたCDからMDに録音することも当たり前。なんせコンポにそういう機能がついてたしね。コンポってなんじゃいという話は置いておいて。
デッキとかコンポ持ってるやつが、ジュースと等価交換でダビングした媒体をやりとりしてた。そんなのは日常のありふれた光景で、そこに犯罪という認識は1ミリもなかったと思う。
そんな緩い時代に颯爽とあらわれたのがファイル共有ソフトと呼ばれるブラックボックス。思うにこれがダウンロードが速やかに違法化された要因やろね。
これまでアナログだったダビング配布という行為がデジタルの世界に進出した。
レンタル屋に行かずともMP3ファイルで好きな曲が手に入り、封切り直後の新作映画が家で観られるようになった。
書店では、店頭の目立つ位置に違法ダウンロードのハウツーやファイル共有ソフトのインストーラーファイルを含むCDROMが付録に付いた攻略本が並んでいた。
ゲームのROMなんかも流れはじめて、これまた規制されることになるマジコンなんかも参戦してきて徐々に無法地帯になりつつあったように思う。
LIMEWIREというファイル共有プラットフォームを愛用していたと記憶している。
もちろん弊害もあってまずコンピューターウイルス上等の世界。
偽装されたexeファイル、仕込まれるトロイの木馬。発展系となった山田ウイルスやキンタマウイルス。違法ダウンロードする為だけの最小構成のXPのPCを用意して乗り込んだりと、そこにもそれなりのエキサイティングな要素があったと思う。
それで流石にやりすぎて違法化に。
違法化の施行前後は最後の灯火というより一種のお祭り感があった。
明確な施行日が制定された。
この日以降は違法、この日以前はセーフ。
カウントダウン。リミットまでにとりあえず落とせるものは落としとけと。そりゃそうなる。
時代の移り変わり目。
もちろん現在のダウンロード違法化については受け入れてるしなんならクリエイティブなこともやってる。それでも、時代の移り変わりってそういうもんでしょ。
電車で煙草が吸えて、鉄道会社が便を線路にまき散らしてた時代。現在のモラルや法によって過去を裁くことはやめとこーやという話。
後日談。
最近、ダウンロード容認時代に落として聞いていた音楽を思い出しふと聞きたくなった。
音源を購入したり、マニアック過ぎて販売されていない同人CDをオークションで探してきたりと、現在の法に沿ったかたちで用意した。
懐かしいなあ。
十何年後かにちゃんと音源を購入して贖罪も済んだということで、今回この話題にふれることに。
遠くて近い昔話。