[ 木村さ〜〜ん!をより楽しむ ] 剣道ではなぜ打突部位を大きな声で発声するのか?
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「木村さ〜〜ん!」をより楽しむ方法
木村拓哉さんの「木村さ〜〜ん!」で剣道の企画がはじまりましたね。木村さんは小学校から高校1年生まで剣道を稽古されたそうです。木村さんは今51歳ですから,稽古を中断してから,ずいぶん時間が経っています。にもかかわらず,剣道に再チャレンジする姿には正直頭がさがります。昔とちがって,うまく動けない自分に気づくと,どうしても二の足をふむことになりがちですが,動画では真剣に稽古に向き合おうとする木村さんが紹介されています。
剣道には様々な決まりごとがあります。その決まりごとを知って,木村さんがそれとどう向かい合って稽古をしているのかを知れば,より「木村さ〜〜ん!」を楽しむことができるでしょう。今回は決まりごとのひとつ,剣道の発声について紹介しましょう。
剣道の発声
剣道で打つことのできる箇所は,面,小手,胴,突きの4箇所です。ここを竹刀で打つわけですが,打った際に,面なら「メン!」,小手なら「コテ!」と大きな声を出します。このような発声をするのは最近のことです。
江戸時代が終わり明治の時代になって,武士という階級がなくなるという大きな変革がありました。廃刀令などもあり,武士だったひとびとの生活が大きく行き詰まるという時期がありました。
撃剣興業
そのときに,武士たちを救おうと,剣術を相撲のように興業にして,剣術で生計を立てようと考えたひとがいました。江戸幕府の講武所剣術教授方であった榊原鍵吉です。撃剣興業と銘打って剣術の試合をして大変な人気になったそうです。
剣術では裂帛の気勢で相手に向かうということはあっても,打突する際に,「メン」だとか「コテ」ということはありません。打つ前に相手に打突箇所を教えるなんておかしいですから。しかし,興業をはじめてみると,剣士たちの剣のあまのはやさに何が起きているのかわからないという声がありました。そこで,打突するときに,「メン」「コテ」「ドウ」「ツキ」と声を出すことになったのです。
非日常を体験できる剣道
「木村さ〜〜ん!」のなかで木村さんが試合をしている場面がありましたね。そこで,木村さんが「メーン」と発声していましたが,たいへんよい発声でしたね。道場の子どもたちもたいへん大きな声でよかったですね。
木村さん自身もラジオ番組(2023年7月30日 FLow)で次のように発声の大切さを伝えています。
確かに,剣道以外であんなに大音量で叫ぶ機会はまずないですね。しかも,刀に見立てた竹刀で斬り合うというのは,本当に「非日常」です。剣道では,道場で学んだことを日常生活で活かすという考え方があります。木村さんの発言を聞いていると,どうも,木村さんはそれを実践されているようですね。
より学びたいひとに
木村拓哉さんの魅力の源泉はどこにあるのかを考察しています。
武士の一分の考察もあります。
太田省一「木村拓哉という生き方」(青弓社)
剣道の所作について歴史的経緯などを踏まえてまとめてあります。
剣道をしているひとは必携でしょう。
馬場武典「剣道の礼法と作法」(体育とスポーツ出版社)
わかりやすく剣道具の置き方,付け方,持ち運び方などがまとめてあります。
剣道の稽古も段階的に系統立てて整理してあり,参考になります。
湯野正憲・岡村忠典「剣道教室」(大修館書店)
剣道の歴史,着想が詳しく書かれています。
残念ながら,本屋さんにはないようです。古本屋さんでみつけたら,買っておいて損はないです。
坪井三郎「やさしい目で見る剣道教室」(永岡書店)
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