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[ 木村さ〜〜ん!をより楽しむ ] 剣道。竹刀は右左どちらに置くの?

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「木村さ〜〜ん!」をより楽しむ方法

木村拓哉さんの「木村さ〜〜ん!」で剣道の企画がはじまりましたね。木村さんは小学校から高校1年生まで剣道を稽古されたそうです。木村さんは今51歳ですから,稽古を中断してから,ずいぶん時間が経っています。にもかかわらず,剣道に再チャレンジする姿には正直頭がさがります。昔とちがって,うまく動けない自分に気づくと,どうしても二の足をふむことになりがちですが,動画では真剣に稽古に向き合おうとする木村さんが紹介されています。

剣道には様々な決まりごとがあります。その決まりごとを知って,木村さんがそれとどう向かい合って稽古をしているのかを知れば,より「木村さ〜〜ん!」を楽しむことができるでしょう。今回は決まりごとのひとつ,剣道具・竹刀の置き方について紹介しましょう。

剣道具の置き方

「木村さ〜〜ん!」の冒頭で木村さんが小手の向きについて話をしていましたね。

小手の置き方もいろんな考え方があって,時代や地域によって変遷やちがいが見られます。

昔はふたつの小手を縦に並べました。しかし,今は横に並べることが多いようです。例えば,文部科学省のサイトにあがっている資料には剣道具の置き方の例が写真としてあがっています。拳の部分を右に向け,それらを横にして並べています。

https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/jyujitsu/__icsFiles/afieldfile/2011/05/24/1306064_05.pdf

しかしながら,昔はふたつの小手を縦に並べました。拳の部分の前に向けて,肌に触れて汚れがつきやすい部分は自分に向くようにしました。汚れているところをひとの目にふれないようにするという配慮からです。

小手を横に並べるようになったのは,昭和40年の末ごろからだそうです。馬場武典「剣道の礼法と作法」(体育とスポーツ出版社)から引用しましょう。

小手を現在のように横置きにしたのは,昭和40年度代末に幼少年剣道指導のための教本を作る際,「従来の縦置きでは面を乗せたときに小手が左右に開いて面が落ち込み,特に子供たちには難しい」というただ便宜上の理由であったと記憶している。逆に,子供たちには「だから用具は丁寧に扱い,置くときには静かに置くこと」・・・としどうすべきだったのではないだろうか。(p.94)

馬場武典「剣道の礼法と作法」(体育とスポーツ出版社)

小手を縦に並べて,その上に面を置いておくと,しばらくたつと面の重みで二つの小手を割るように落ちてきて,床に当たって,ゴンと音が鳴ります。道場の床にも悪いし,ゴンゴンと落ちると気にもなるしで,小手を横置きにしたそうです。ただ,必ずしもそうしないといけないわけでもなく,単なる慣習ではなく,しっかりした理由があるのならば,従来どおり縦においてもよいでしょう。実際,現在でも縦に小手をおく道場もあります。

竹刀の置き方

「木村さ〜〜ん!」の冒頭でも,道場の指導者の先生が竹刀の置き方について説明されていました。警視庁の先生方は右におきますよというおはなしがありました。剣道をされていない方は「警視庁の先生方?」となると思いますが,剣道における警視庁や警察で剣道の訓練をされている方々は,剣道の専門家と考えられています。専門家の先生がたが,竹刀を右におくというのも,やはり,そこにはきちんとした意味があります。

木村拓哉さんがそれを聞いて,「お城のなかでは刀は右にさす」と言われていましたが,右に置く理由は木村さんの発言からも十分推測できます。

竹刀は刀を模したものです。刀は鞘にはいっています。抜刀する際,刀は左になければ刀は抜けません。鞘から抜く時,鞘を左手で押さえ,柄を右手でもって抜きます。刀を左で持ったり,自分の左に置いている状態というのは,すぐに抜刀して,戦える状態だということです。稽古の始まりや終わりには黙想したり先生からお話があったりします。そのときに,抜刀する気持ちはありませんという気持ちをかたちで示すためにも,右に竹刀を置くべきでしょう。

そこで昔は対人稽古で相手と向き合うとき以外は,左側ではなく,右側に竹刀を置き,右手で竹刀を持ちました。しかし,持ちかえるものも面倒だということで,今は左に置き,左手で持つひとが多くなったのでしょう。

今では,いつ敵がくるかわからないので,いつも警戒しておくために,左に竹刀を置き,左手で竹刀を持つんだというひともいます。そのように過去指導された形跡はなく,あとづけて作られた理由と言えるでしょう。

まとめ

世の中はどんどん簡略化していき,昔あった所作にこめられていた意味も忘れてさられていきます。これからもどんどん所作は簡略化していくでしょう。

「木村さ〜〜ん!」がおもしろいのは,剣道のもつ文化性についても,剣道を知らないひとに紹介できる可能性があるところですね。多くのひとが剣道をとおして,昔のひとたちが何を大切に生きていたのかを知る可能性があるということです。

ぜひ,定期的に「木村さ〜〜ん!」で剣道回のあることを期待しています。

より学びたいひとに

木村拓哉さんの魅力の源泉はどこにあるのかを考察しています。
武士の一分の考察もあります。

剣道の所作について歴史的経緯などを踏まえてまとめてあります。
剣道をしているひとは必携でしょう。

わかりやすく剣道具の置き方,付け方,持ち運び方などがまとめてあります。
剣道の稽古も段階的に系統立てて整理してあり,参考になります。

  • 湯野正憲・岡村忠典「剣道教室」(大修館書店)

剣道の歴史,着想が詳しく書かれています。
残念ながら,本屋さんにはないようです。古本屋さんでみつけたら,買っておいて損はないです。

  • 坪井三郎「やさしい目で見る剣道教室」(永岡書店)

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