読書日記20230408
7年前の読書日記から考える。
吉本隆明の『マス・イメージ論』がおそらく初めて買った日本の思想書であり、同時に買ったのが柄谷行人『批評とポスト・モダン』だった。この2冊は私のその後の研究の軌跡に影響を与えているかもしれない。これらは、福武書店の本であることは偶然ではないように思う。福武は文芸としては新しかった。そうすると書き手も野心的であるだろう。福武は島田雅彦を発掘した出版社であり、磯田光一が「左翼」を「サヨク」と読み替えた島田に時代の変化を読み取っていたことでも知られる。
柄谷があるところで述べていることであるが、80年代から文学が世界を記述するものではなくなって、みんな現代思想を読んでいた、と。そこで柄谷はイェール大学留学でポール・ド・マンとの交流から脱構築批評、ポストモダン思潮をいち早く文芸批評に取り込んだとも言えるだろう。そういうことが書いてあるのが『批評とポスト・モダン』だったと思う。
柄谷は社会科学というかジェイムソンやおそらくハーヴェイらを意識して、90年ごろまでを後期資本主義、90年代以降を新自由主義と分類しながら文学について分析している。
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