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押さえるべきポイント満載だった、2/7トランプ&石破の日米首脳会談】
(*本稿はFacebookグループ「よーよーの資産形成塾」の2/8投稿の転載です)
2/7にホワイトハウスで行われた、トランプ大統領と石破首相の日米首脳会談は、今後の日米関係を見ていくために抑えておくべきポイントが満載でした。まず全体としては、会談前に私が思っていた以上に、石破首相はトランプ大統領に一定のインパクトを与えることができたという印象です😊
もっとインパクトを与えられない会談になってしまうのではないかと思っていたので、かなり頑張ったという感じです。
とは言え、諸手を挙げて素晴らしかったというわけでもないので、私が思う、①良かった点、②今一つだった点、③今後注視したい点、を挙げておきます。
①良かった点
印象的だったのは、トランプ大統領が石破首相のことを「強い男だ」と言っていたことです。トランプは強い人が好きなので、ここは高得点を挙げられたと思います。
渡米前にソフトバンクの孫さんにアドバイスをもらったと報じられていたので、これが大きかったのかもしれません。また、石破さんの防衛関連の見識の深さを知ってトランプは手強いぞと感じたのでしょう。情勢的に防衛・安保が話題になりやすかったのも追い風でした。
また、石破首相が関税に関する質問に対して「仮定のご質問にはお答えをいたしかねます、というのが日本のだいたい定番の国会答弁でございます」とかわしたことを「とても良い答えだ。振る舞い方を知っている」と言っていた点も印象的でした。とりあえず “こいつは強そうだ” と思わせることができたのは良かったです。
ただ、日本の報道を見たあとに、White Houseの記者会見の動画を確認して分かったのですが、通訳さんは石破さんの発言を”I am unable to respond to a theoretical question. That’s the official answer that we have”と言っていたのですね。国会での煮え切らない無駄な答弁を自ら皮肉って言った(?)のを米国人たちは良くわかったな(記者たちから笑いが出ていたので)と思っていたら、国会答弁には触れず、また”hypothetical “ではなく”theoretical “を使ったのですね。結果としてトランプにはすごく受けたので、これは通訳さんの成果だと思いました。
安全保障に関しては、中国の脅威に言及し、日本を守る姿勢を得られたことはポジティブでした。個人的には、尖閣諸島について日米安保条約5条の適用を確認というのも、この機会に大統領の確認が得られたことは一定の成果だと思います(少なくとも、聞いていない、というのはなくなるでしょうから)。
②今一つだった点
石破首相の記者会見でのパフォーマンスは今一つでした。日本語でいいからもっと大きな声で自信を持って話した方がいいと思いました。この場を使って記者たちがトランプ大統領にDOGEや教育省やFBIの質問をしたかったという点を割り引いても、石破さんにはもっと私に質問してという雰囲気がなかったですし、トランプが首相への質問を促しても、記者たちがトランプへの質問を続けるという光景が繰り返されました。石破さんへの質問が少なく存在感が薄かったです。
また、石破首相は発言の中でトランプ大統領の名前を出す際に彼の方を見ることはありませんでした。普通はちらっとでも見ると思うのですが… また、トランプ大統領も記者や通訳の方を見ることが多く、石破さんをあまり見ていない感じでした。2人並んでの記者会見という雰囲気があまりなくて、そのせいか、会見後にトランプ大統領は握手もなしに退出してしまい、まるで1人で記者会見に臨んでいたような感じでした。
③今後注視したい点
個人的には、エネルギー政策です。LNG輸入です。理想としては、これをトランプ大統領に恩を売る形で進めたい。今回の会談でアラスカでのエネルギー開発やLNG輸入の話が出ていたようですが、日本には貿易の交渉カードとしてもっと上手く使ってもらいたいです。まあ今回は頭出しをして関心を引いたと考えればいいですかね。
今後のエネルギー政策は、日本にとっても世界にとっても重要でして、実際のところ、パリ協定の達成は難しく、IEAのWorld Energy Outlookも、日本の第7次エネルギー基本計画も、冷静に読めば化石燃料への依存は目標よりも増える公算大です(そのような中、トランプの米国はパリ協定からの再離脱を表明)。
この先、理想から現実に視点が移る中でトランジションとしての天然ガスの重要度は一段と高まるとみています。リスク分散のためにも米国LNGは日本にとって重要で、トランプ大統領には、’Drill, baby drill’に協力しますよ、あなたの望む対日貿易赤字の縮小にも協力しますよと言って、条件の良いLNG供給を得られるようにしたいところです。米国産LNGには仕向地条項がないなどメリットがありますので、他国産よりも安価に購入できる道筋を作りたいところです。
エネルギー政策と環境対策はどちらも重要ですが、環境配慮、温暖化対策を優先し過ぎて、エネルギーの安定供給に問題が生じたり、コストが上昇したりすると、日本の産業競争力にも国民生活にも影響が出ます。地球温暖化対策もやらなきゃいけないし、産業政策の観点からエネルギーも確保しなきゃいけないというところで、現在LNGの輸入シェアが5.7%の米国からの割合を増やしていくことは、貿易交渉面、安保面、調達リスク分散面などから重要だと思います。
③については、話が日米首脳会談からやや脱線してしまいましたが、元に戻して、もう少し付け加えます。
上記のLNG輸入に加えて、石破首相は、
− 日本の防衛費増額
− 1兆ドルの対米投資
と大盤振る舞いでした。
これに対して、トランプ大統領は、
− 相互関税の導入(日本の農産物は大丈夫?自動車は大丈夫?)
− 日本製鉄とUSスティールについては「買収」でなく「投資」(言葉の問題で、実質的に買収を認めるなら逆転ホームランだが、本当に単なる投資なら意味なし)
という、実は予断を許さないスタンスでした。
これらは、外交的な落としどころという点では良かったのかもしれませんが、これで日本は本当に満足なのかという疑問は残ります。そういう意味で来週以降、相互関税とUSスティールの2つがどういう展開になるのか、期待を込めて見ていきたいと思います。
ということで、押さえるべきポイント満載の日米首脳会談でした。石破首相はとりあえずポジティブ・サプライズでしたが、やることは山積みですので、引き続き良い意味で予想を裏切るご活躍をお願いします!😄
私が代表を務める「ワイズ・アセット・デザイン」のウェブサイト
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