「群愛飯店」の海老の天ぷら@神戸
10月最初の日曜日、イベント立ちあいの仕事があって西宮に出張した。阪神電鉄西宮駅の目の前が会場で、その日は特別編成の電車「アレ記念号」が運行されていた。阪神各駅にはタイガース優勝のポスターが大量に貼られていて、お祝いムードにあふれている。セリーグ優勝が決まったのが9月14日。いまはクライマックスシリーズ開始直前のタイミングだ。
WBC優勝の時にも書いたが、私は「物心つく前」から阪神ファンとして生きてきた。1985年、2003年、2005年、それぞれ自分の年齢と環境にあわせてシーズンを楽しみ、優勝決定の日は歓喜してきた。職場で唐突にシャンパンをあけて顰蹙をかったり、日曜午後の決定を自宅で観ていて感極まってさめざめと泣いたりさまざまだったが、60歳を過ぎた今回は、これまでに比して静かに穏やかに過ごせたように思う。
それでも甲子園での決定直後の胴上げの時に大山が号泣しているのを見て、すこしもらい泣きしそうになった。彼は2016年、ドラフト1位指名の時に「誰だこいつは」みたいな扱いをされたところからキャリアがスタートした。苦節を経て今季は岡田監督が全試合4番ファーストで固定、スランプ時も試合に出続けて重圧に耐えてきた。結果的に打撃3部門とも立派な数字で4番の役目を堂々と果たしたと思う。同じく監督の方針でセカンドにコンバートされた中野の成長も見事だった。WBCで西武の源田がケガをしたあたりから、表情も引き締まってきたように見ていたが、最多安打のタイトルもとり、攻守ともブレイクスルーのシーズンだったね。同じくWBCで活躍した湯浅はケガで離脱。かわってクローザーを務めた岩崎がセーブのタイトルをとる大活躍。胴上げされる岩崎の手には、今年早世した同期入団、横田選手のユニフォームがあった。多くの人々のさまざまな思いが、縦糸に横糸に織り込まれたリーグ優勝だ。
立ちあいをしたイベントは朝からで、前日は神戸に泊まった。新神戸に夕方到着し、そのまま鯉川筋、中山手あたりの「群愛飯店」に行って食事をした。ここも、前に神戸の項で書いた「元町別館牡丹園」と同じく日本の広東料理の名店だと思う。創業は1966年、代々香港の味を受け継いできたそうだ。最初に蟹とコーンの小さなスープをとって、写真は海老の天ぷらハーフサイズ。のんびり焼酎を飲んで、最後に好物の牛腩炒麺。コンパクトなチョイスながら、神戸に根付いた広東のテイストを堪能できる楽しいディナーだった。
自分のテーブルからレジをながめていたら、常連と思しきグループが食事を終えて男性の一人が会計をしているのが目に入った。おいしかったという男性に対し、レジのマダムふうの女性が、席があまりよくなくて申し訳ないというようなことをいっている。客の男性はすかさず「そんなんそんなんいわんといて」の返し。この達者な関西流コミュニケーション、なかなかまねできないと思います。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?