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「ヒルトン スクンビット」のパッタイ@バンコク

 2020年の春から、まったく海外旅行ができなかった。もともと旅が趣味で、特に海外は出国する瞬間に感じるなんともいえない開放感がとても好きだ。思えばつらい3年間だったと思う。2023年1月現在、国内では行動制限はなく、海外は行き先国の事情もあるのだろうけれど、タイは自由に行き来できるようになっている。思いきって1週間の旅をした。
 スワンナプーム空港に夕方到着してまっすぐタクシーでバンコク市内に向かう。高速を降りた瞬間から名物の渋滞にはまる。なんだかこれもなつかしく思えてくる。中心部の繁華街のひとつ、BTSプロムポン駅あたりのヒルトンになんとか到着。チェックインをすませて荷物をほどき、部屋の所定の場所におさめると夕食の時間になっている。ひさしぶりの国際線フライトは61歳にはけっこうきつくてすっかり疲れてしまい、ホテルのなかですませることにする。フロントがある1階の奥にこじんまりしたオールデイダイニングがあった。
 オールデイダイニングはホテルの顔だと思っている。ステーキ、ハンバーガー、シーザーサラダなどの文句なく超ポピュラーな西洋料理がアラカルトメニューにならび、アジアのホテルの場合はその国のご当地料理が加わる。そのままインルームダイニングのメニューにもなっているところが多いと思う。それぞれ事情が違う旅行者のさまざまなニーズに対応してくれる。自分たちの都合で時間は固定、料理はコースのみという日本の「旅館」システムの正反対だ。これまで各地のホテルでオールデイダイニングのお世話になり、また楽しんできた。ちなみに国内でも大好きなキャピタル東急の「ORIGAMI」などにときどき食事に行く。
 ひさしぶりのタイ、ご挨拶がわりにパッタイをオーダーする。日本でもおなじみの米麺(中華系コミュニティでは米粉と書いてある)の焼きそば風の一品。ヒルトンだけにやけにおしゃれな仕立てだが、まちがいなくパッタイで外さない味だ。ソーヴィニヨン・ブランとシャルドネを1杯ずつ、チリと南アフリカ産で軽やかなテイスト、タイに着いた実感がわいてくる。3年ぶりの海外、オールデイダイニングの力を借りてスムーズに旅に入ることができた。
 1月のバンコクは乾季で滞在中よく晴れて雨は一度もなかった。気温は高いが比較的カラッとしていてベストシーズンだろう。スクンビットやチャイナタウンを歩き、チャトゥチャックのウィークエンドマーケットをひやかし、チャオプラヤー川のボートに乗る。そしてもちろんそれぞれの街のローカルフード。3年間忘れていた楽しさが戻ってきて、足どりも心も軽やかになってくる。

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