【読書】『謎の独立国家ソマリランド』 高野秀行 集英社文庫(2017)
高野秀行はノンフィクション作家である、と紹介されているけれど、地球スケールで何でも見てみないと気がすまない記者的(格好良く言えばジャーナリスト)探検家である、と思う。早稲田大学の探検部在籍時に「幻獣ムベンベを追え」デビューして以来世界を股にかけて何でも見に行き、記事を書いている。
この本でも、記者的、民俗学な自分視点からの丁寧にソマリアという国(単に国と呼ぶにはあまりに複雑な事情がある。詳細は本書を読んで)の政治の情勢について整理している。ソマリアという国の印象は、内戦、飢饉、難民、某国際的な団体の活躍する場、という言葉が浮かび、悲惨、可哀そう、と感じる。これらは100%ではないが間違っている。実際にソマリアに行き、その国の人たちと直に接した高野が変えてくれる。何より、いいか悪いかは別にして(ここ重要)人々が一生懸命生きていることを教えてくれる。