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【読書】『自転車泥棒』 呉明益(2021)文春文庫
タイトルからして僕のように自転車好きである人にお勧めする、と書けばすぐに終わってしまう。確かに台湾の古い自転車の自転車史である。しかし、現代の話でありながら日本が台湾を統治していた時代、国民党の時代につながって輻輳している。
最初は、村上春樹とカズオ・イシグロの小説みたいな感じかなと思うが、歴史が入り込んでくると重厚感が強くなる。
台湾は、東日本大震災の際に多大な復興支援をしてくれた国で親日国であると多くの日本人は考える。
1895年から1945年まで日本が統治していた。
その後、南京国民政府、中華民国政府が戒厳令を敷き、1987年まで続いた。
僕はこういった歴史は知っていても台湾からの視点でみたことはなかった。勝手に親日国とだけ思っていて、勝手に好ましい国だと思っていた。台湾の歴史は、そんな薄いものではない。
歴史の事実にディテールでフィクションを加えていく。
本の中の「ぼく」は著者であるような、ないような。
後記の最後を読むと自転車乗りとしてはうれしくなる。
勝手に同志と思ってしまう。
ぜひ、後記の最後まで読み通してください。