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【読書】『史記 本紀』 司馬遷 著 小竹文夫 小竹武夫 訳 筑摩書房 1995年

史記は解説(礪波 護)にあるとおり、父の司馬談の「その切々たる遺命うけて太子令の職をついだ司馬遷(紀元前135頃-93年頃)は、紀元前一世紀の初頭に『史記』130巻を完成させた」。解説には続いて「本紀」について、「最初におかれた「本紀」は、黄帝をはじめとする五帝から、夏、殷、周の三代をへて、当時の漢の武帝にいたるまでの帝王の記録で、主権者の興亡交代の跡を年代順に記している王朝の編年史」である、と書かれている。

史記は記録であるので、「五帝本紀第一」から始まり、どの帝が何々をした、ということが淡々と書かれている。

例えば、「五帝本紀第一」は次のような書き出しで始まる。
「黄帝は小典の子で、姓は公孫、根を軒轅といった。生まれつき神霊で、嬰児のときから、よくものを言い、幼年のころは利口ですばしこく、少年時代には落ち着いていて敏捷であり、成年になると、すこぶる聡明であった。」
こういう文が淡々と延々と続く。

事績を残した帝については長く書かれ、また、悪行をなした帝についても長く書かれ、そして、誰がどのように跡をついだかについて書かれている。

事績を残しているかどうかわからない場合には「殷本紀第三」に次のように書かれている。
「契が死んで子の昭明が立ち、昭明が立ち、昭明が死んで子の相土が立ち…」

このような書き方で14代にもわたる変遷がわずか5行で記される。
「史記 本紀」は、帝という権力の頂点を巡る話であり、政治の全てが入っていると思う。

ちょうど、立憲民主党の党首、自由民主党の総裁を決める時期にあたっている。
今回選ばれる人は、果たして名を残せるのだろうか。
それともわずかに数語で終わるのであろうか。

全ての政治家、政治家を目指す人は史記を読んだ方がいい。

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