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中井君と仲間たち、の噂の真相(仮)

 最近巷で騒がれている芸能ゴシップから構想を得て、書き下ろし完全フィクション・ゴシップ短編小説第二弾を書いてみた。

題して「中井君と仲間たちの噂の真相」(仮)

 雲隠れしていると噂されている中井は、実は雲隠れではなくて、六本木のマンションの自室で頭を抱え単に引きこもっているだけだった。

 玄関のチャイムが鳴る。

 現れたのは、酔って許可なく隣人のトイレを借用し、警察に連行された吉川良だった。

「なんなんだよ、おまえー。」
「いやー、中井さん落ち込んでるかなーって思って。ビール買ってきたんで飲みましょ。」
「って、おまえ酒弱いんだから飲むなよ。」

 にもかかわらず差し出されたビニール袋から、おもむろにビール缶を取り出す中井。


「あれ、なにこれ? 夕陽・スーパーウェットじゃないの?」
「CM契約打ち切られたんで、ゑびすビール。好きなんで、こっちにしました。」
「あ、そうなの。
 で、そう言えば吉川、おまえなんで隣の家のトイレなんか入ったの? じぶんち行けばいいじゃん。」

「ああそれね。
(ためいき)
 ホントもう情けないっス。
 タクシー乗る前に行っとけばよかったんスけど、まあ大丈夫だろうと高を括ってて、そしたらヤッパ渋滞に巻き込まれて意外と時間がかかったんスけど、ケツの穴引き締めて耐えてたんです。で、自宅近くの見覚えのある景色が見え始めたら、潜在意識みたいなもんスかね? 家が近づくにつれ、ああもうすぐトイレに行けると言う油断みたいな甘え? 欲求の促進を加速させたみたいな? 分かんないかなぁー。断続的な波みたいなもんが襲ってきて…。
 なんか、急にチョッとヤバいかな、みたいなそんな雰囲気になってきたんス。
 それでも座ってるからまだ耐えられたんスよ。
 タクシーがマンション横に着いた時は結構マジヤバかったっス。
 漏れる寸前ス。
 降りて、支払いを済ませて、門の方に振り向き、さあ急ごうって気負って、一分一秒を争う緊急時なのに、なにこれマジヤバイ、走れない。
 何とももどかしい、現実はスローモーションで動いている様な世界での感覚の中、自分の体内だけは零コンマ数秒速で活動している、そんな感じなんスかね。
 いやーもう参ったなー、もし全速力で走るモードに神経を切り替えたら、意思で堰き止められていた末端の機能がオフモードに切り替えられて、いわゆる決壊しちゃう、そんな可能性大でしたからねー。

(中井からもう飲むなと酒を止められる)

 エレベーターのボタン押して来るまでの時間長かったなー。
(ためいき)
 5階に着いて、エレベーターのドアが開いて、廊下の一番向こう側がオレンち。
(ためいき)
 なんスけど。
(ためいき)
 まだ20メートルほど先なんス。
 これマジやっべーってな感じ。
 ああ今日オレマジ廊下で漏らすんだ。人生初体験だ。
 と、ほぼ諦めてたところ、隣のドアが開いたんです。
 辛うじて助かるとはこの事で、チョッチョッ、スンマセンと手刀を切って、何なんですか、あなた? とか騒がれたんスけど、まあ当たり前に理解はしたんですけどね、緊急事態でしたし、なりふり構わなかったです。マジヤバかったんで !
 はい、無理やり押し入ったのは認めます。
 だって同じマンションなんで何処の部屋も造りは同じでしょ ! 勝手知ったる他人の家でトイレまで一直進。
 実を言うとおしっこの方じゃなくて、下り腹っぽくて、で、塊というよりはどうもリキッド。
 液体スね、そんな予感がしたんです。で、やっぱりそうでした。ギリ間に合ったんすけど爆発でした。
 ホント無事に用を済ませられてホッとしました。
 あっ、少しは飛び散ってしまったけど、便器の内壁はトイレットペーパーでチャンと拭き取りましたよ。
 緊急とは言え申し訳ありませんでしたと頭を下げながらトイレを出ると、もう警察に通報されていて、事情を聴きたいので署まで同行願いますってな感じでお巡りさんに連行されたというのが顛末です。
 警察からはすぐに解放されたんスが、もちろん隣人には、いやー、ホント迷惑かけたんで、虎屋の竹皮包羊羹 3本入「おもかげ(黒砂糖)・新緑(抹茶)・夜の梅(小倉)」を持って謝罪しました。」

「9396円(税込)の?」
「はい。」
「おまえもかよ。」


一応のお断り。
 現実社会で存在する人物と、ここで扱われる固有名詞の称号の音読みの共通点を認められる事があるので、ややもすると特定の人物の誹謗中傷を私が目的としているのではないかと疑われましょうが、全くそういう意図はありません。
 このシナリオは完全フィクションであり、例え万が一事実に似通っていても、わたしの空想であることを宣言します。
 ありえないこととはと思いますが、念のため、上記を事実として引用されようとしている方が、万が一おられるのなら、あなたはとてもヤバい人です。

 念を押すまでもないことなのですが、あらゆる捏造が世間に事実として蔓延していいる様な気がしてなりません。
 が、その根拠を示すことはできません。
私 の受ける感覚ですので。

 で、第三弾あるかも。

#ほろ酔い文学


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