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巷浩司社長の愚痴の真相(仮)

 最近巷で騒がれている芸能ゴシップから構想を得て、書き下ろし完全フィクション・ゴシップ短編小説第三弾を書いてみた。

 題して「巷浩司社長の愚痴の真相」(仮)

 新橋ガード下横丁の飲み屋街は日頃の愚痴を吐き出すサラリーマンでごった返していた。
 蛆テレビ巷浩司社長もその一人であった。そして見知らぬ客にくだを巻いていた。

「君なに? あっ営業。で、君は? ああ企画かあ。...じゃあ二人とも分かるよな、接待って。
 普通お得意さんを接待する時、そりゃ女子社員に同席お願いする時もあるよね。嫌なお得意さんだっている。変なことするお得意さんだっている。でもお得意さんなんだ、仕方がないじゃないか、まあまあ旦那、野暮なこと言わずにもう一杯、とか適当に誤魔化しながら女子社員を退席させ、後でまあまあ次は同席させないからと謝って、何とか今回は堪えてくれないかと諭し、事が大袈裟にならないよう、お互いにこの事は「言いますまい」みたいな約束するのが、普通なんじゃないの?
 なあそうだろ、違う?

 それを、会社の関与、組織ぐるみで隠蔽?
 なにそれ? 
 こういうのって会社の関与って言うの、隠蔽って言うの、世間一般では?
 日本国中みんな、やってることじゃないの?

 だいいち、今回、うちの笹木君、ちゃんと言ってくれたよ。ガツンと。
 もう二度とこんな事件は起こさないと約束してくださいって、さもないと出禁にしますよ、とちゃんと行ってくれたよ。
 オレは怖くって言えなかったけど、笹木君は言った。笹木君は社員を守るためにちゃんと言った。うん。
 先方だって翌日、虎屋の竹皮包羊羹 3本入「おもかげ(黒砂糖)・新緑(抹茶)・夜の梅(小倉)」を持って詫びに来てるんだ。
 そりゃ、そんなもんじゃ桜田君の怒りは収まらないのは当たり前なんだけど、...受け取らないよ桜田君は。
 突き返すのもなんだから、オレたちで食べたんだけど。流石虎屋だね。もう絶品。
 オレが好きなのは黒砂糖羊羹かな。切りたての濡れた状態よりも、切り口がチョッと干からびた砂利っとした食感が好きなんだな。そうなるまで切り口を一日二日空気にさらしておくんだ。でも、干からびて丁度食べ頃かなと思って、さあ食べるぞって、見るとその部分が切り取られてラップがかけられているんだよ。
 あーあ、楽しみにしてたのにって、奥さんの仕業なんだよね。分かってくれないんだよ、オレの楽しみ。

 あっ、ごめんごめん。で、なんだっけ。
 そうそう、桜田君が怒るのは分かる。桜田君がまだ怒っているのは分かる。うん。だから、ホント謝ったよ。申し訳ない、もう二度とこんなことは起させない、オレが約束するって。でも、なんでか知らないけど日本国民全部が怒っているみたいな雰囲気じゃん、今。

 なんで? 

 謝罪会見開いたって一体誰に謝っているのか自分でもよくわからなかったもん。
 それがいけなかったのかなー。 謝罪に誠意が見られないとか言ってるけど、カメラの向こうにいる誰かにどういう誠意を示せればいいのか、知ってたら教えて欲しい。

 えっ、オレ? 蛆テレビのチマタ。一応社長をやってます。
 で、オレが巷って分かって、君腹立つ? 殴ってやりてーこの野郎って腹立つ? ならないよねー普通。だってこうやって仲良く飲んでるんだもん。君に迷惑かけてないもんね。あっ、くだ巻いてるから迷惑か。 そうでもない? ありがとう。君優しいね。
 局内の社員がオレに腹を立ててるっていうんなら、甘んじて受けるけど、なんか局の体質改善を徹底せよみたいな他局からの攻撃、これなんなん? 蛆テレビだけそんなにおかしかったの? そんなことないでしょーよ、人んとこどうこう言う前に自分とこの改善目指しなさいよ。

 それにさー、なに? 外資系の3%株主、第三者機関を設けろとか口出してくるの、話大袈裟にし過ぎじゃね、そりゃー3%でも大きいですよ、株主様ですよ、だから言う通り設置しました。
 すると今度はなに? 大手スポンサーが挙って撤退する? これっていじめ?
 もうわけわかんないよ。
 大きなイジメが公然と認められてるってこと?

 大人が公然とこんなことやってて、子供にイジメはやめましょう、なんて言えるの?
 言える?
 えっ、あなた先生。あ、そうなんだー。
 でも、やっぱ言ってて虚しくなる。
 わかるわー。

 被害を受けた桜田君は怒っている、怒る権利がある。でも、中井さんを芸能界から抹殺したいと願っているわけじゃあない。まして、事がこんなに大きくなることを望んでもいなかった。彼女が今本当に一番悩んでいるんですよ。
 おっぱいくらい触らせてあげればよかったのかなーって。」

 蛆テレビ代表取締役社長 巷浩司はしみじみと語り終えた。



 現実社会の事態は訳の分からない展開をみせ、私には到底理解不能で、創作を楽しめなくなりました。ので、私からの第四弾はありません。
三木谷

#ほろ酔い文学

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