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企業理念を考える

企業理念は、その企業が保持するべき根幹とも言える価値観やビジョンです。企業理念を設定することは、企業の方向性を明確にし、社員やステークホルダーとの共有を図るために重要です。本記事では、企業理念の設定に必要なポイントや具体的な事例を紹介しています。

さらに、近年注目されているSDGsやESGといった観点との関連性にも触れ、企業理念の重要性について考えていきます。

企業理念とは

企業が保有する考え方や価値観を、社会や顧客、従業員等の関係者に公表することで、組織内の意思決定や行動の基準を統一することが可能となり、更にブランドイメージを向上させることができます。これを企業理念と呼び、ここではミッション、ビジョン、コアバリューの3つの要素によって表現します。

企業理念の構造     

ミッション
企業が目指す社会的な役割をミッションと呼びます。創業からの考え方や価値観が核となります。社会的責任や顧客の要望にも対応し、差別化を図ることが必要です。自社のミッションを明確にし、ステークホルダーに共感を得ることでブランディングに貢献できます。また、エンゲージメントが向上し、組織の成長に繋がります。

ビジョン
企業の中長期的な目標を示し、組織全体を同じ方向に進めるための目標です。この目標を示すことで、従業員はそれを目指して自主的に活動することができ、組織全体が同じ方向に向かって進むことができます。存在意義や方向性を明確にすることで社員に強いメッセージを伝えます。

コアバリュー
社員に向けた行動基準として機能するコアバリューは、共通の価値観や行動規範を醸成し、統一性を高めます。また、企業文化の構築にも重要な役割を果たし、社員にとって会社の価値観や理念を理解しやすくする必要があります。企業理念は、経営層だけでなく全社員に共有され、日々の行動に反映される方向性や、会社文化を形成する上で非常に重要な指針です。

企業理念の確認方法

企業の方針や文化を決定する重要な要素である企業理念は、全組織で共有され、実践されることが大切です。そのため、現状の実態や経営陣と社員との理解も確認する必要があります。

企業理念の実態を把握するため「浸透状況・共有状況・実施状況」の3つの観点から実態をチェックします。浸透度や理解度、実施状況を把握し、企業理念における問題点や改善点を特定します。また、確認の過程においては、幅広い役職の従業員において企業理念の考え方が浸透しており、具体的な実践に結びついているかを確認します。

確認の際には、以下のようなチェックリストを自社に合わせて作成してください。

企業理念のチェックリスト(サンプル)


各観点における確認のポイントは、次の通りです。

浸透状況
企業理念が組織内のすべての階層に適切に浸透しているかを確認します。

  • 企業理念が明確に定義・表現されているか?

  • 組織全体(新入社員〜経営陣)で企業理念が一貫して理解されているか?

共有状況
企業理念が組織内で共有する活動がなされているかを確認します。

  • 社内の各部署やチームで企業理念が共有されているか?

  • 組織内のコミュニケーションで企業理念が引用される頻度はどの程度か?

  • 教育と研修プログラムで企業理念が組み込まれているか?

実施状況
企業理念が実際の業務や行動に反映されているかを確認します。

  • 社員は企業理念に基づいて行動しているか?

  • 企業理念がチームや個々の行動、決定にどの程度影響を与えているか?

  • 企業理念は製品やサービスにどの程度反映されているか?

  • 企業理念は組織の目標設定、評価に反映されているか?


企業理念の設定方法

企業理念が明確ではない場合やもう一度見直したい場合には、理念を再構築することが必要です。企業理念を設定する際の具体的な要素を、ミッション、ビジョン、コアバリューの観点からで検討します。

ミッション
企業が社会に果たす役割を検討します。

  • 企業が存在する主な理由は何か?

  • 自社が顧客に対してどのような価値を提供するのか?

  • 自社が社会や業界に対して果たしたい役割は何か?

例)「 Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです。」 - Google

ビジョン
企業が将来的にどのような存在になりたいかを検討します。

  • 企業が追求する理想的な未来は何か?

  • 企業が追求する中長期的な目標は何か?

  • 企業が達成したい成果は何か?

例)「 より快適な毎日を、より多くの方々に」 - IKEA

コアバリュー
企業の行動指針となる信念や価値観を検討します。

  • 企業が重視する主要な価値観や原則は何か?

  • 企業の行動や意思決定をガイドする基準は何か?

  • 企業が他の企業と差別化するためのユニークな特性は何か?

例)「 お客様を起点にすること、創造への情熱、優れた運営へのこだわり、そして長期的な発想です。」 - Amazon

企業理念の検討テーマ


これらの要素を設定する際には、組織全体での共有と理解を促すために、簡潔で明瞭な表現を用いることが重要です。

企業理念を設定したら、経営層だけでなく全社員に共有し、日々の行動に反映させて、会社文化を形成することが重要です。経営層や各リーダーは、その働きかけを行う役割を徹底する必要があります。

企業理念とSDGs・ESGの関係性

企業活動において、社会的な責任や環境保護などに配慮することが求められています。その中で、近年注目されているのがSDGs(持続可能な開発目標)やESG投資(環境・社会・ガバナンス)です。

SDGs(持続可能な開発目標) ※企業目線
貧困の撲滅、環境保護、平和と繁栄を達成するための国際的な目標です。企業自身のビジネスモデルや戦略をSDGsと一致させることで、社会的、環境的貢献を通じて企業価値を高めることができます。

ESG(環境、社会、ガバナンス) ※投資家目線
企業の持続可能性(存続に向けた環境・経済・社会的要素のバランス)と社会的責任(社会的な影響)を評価するための基準の一つです。これらの要素は、企業のパフォーマンスとリスク管理に影響を与え、投資家にとって重要な評価基準となっています。

企業がより社会的責任を果たすためには「 企業理念・SDGs・ESG 」を統合的に考えることが重要です。
例えば、企業理念に環境保護を位置付け、SDGsの「気候変動に具体的な対策」を達成に向けた取り組みを行うことで、ESGの「環境」要素にも適合することが可能です。

先進的な企業では、SDGsの達成に向けたソリューションの提供やESG評価が高い企業との積極的なパートナーシップの提携を推進し、自社の社会的責任を果たすゴールに向けて着実な取り組みが進んでいます。

この流れは、国内外の投資家が企業のESG取り組みに注目することで、企業の社会的責任の貢献度が投資判断に影響を与えていることも大きな要因となっています。このような関係から、企業理念にSDGsやESGの取り組みを統合し、企業の価値観や行動指針としてステークホルダーに共有することが重要です。




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