見出し画像

市場規模|PAM・TAM・SAM・SOMを考える

新規事業やマーケティング戦略を検討するにあたり、切り口として「新規市場進出や既存市場におけるポテンシャルの検討」が必要となります。このような場合には、市場規模や潜在的な市場価値を調査することが求められますが、どのような観点で調査すべきか迷うことがあるかもしれません。

当記事では、市場規模や潜在的な市場価値を求める際の4つの概念
「 PAM・TAM・SAM・SOM 」を紹介します。

なお、業界や企業によって当記事で取り上げる4つの概念の解釈が異なる場合があります、定義を事前にすり合わせをしてから調査を進めてください。

市場規模を見積もるの4つの概念

PAM(Potential Available Market)- ポテンシャル市場

TAM(全体市場)に対し、市場の成長や拡張を踏まえた潜在的なポテンシャルを含めた市場を指します。

例えば、TAM(全体市場)が日本の広告市場であった場合、PAM(ポテンシャル市場)は、広告市場が宇宙などに拡張した場合の市場規模となります。

計算式は「 PAM = 成長・拡張による新規利用者数 ✕ 単価 ✕ 購入回数 + TAM 」が用いられます。

TAM(Total Addressable Market) - 全体市場

対象となる事業の展開により、顧客や売上を獲得できる見込みのある最大の市場規模を指します。

例えば、世界全体の広告市場がある場合でも、日本国内で事業を行う場合に用いられるTAM(全体市場)は、自社のターゲットである日本の広告市場となります。

計算式は「TAM=利用者数 ✕ 単価 ✕  購入回数」が用いられます。

SAM(Serviceable Available Market) - ターゲット市場

TAM(全体市場)に対し、対象となる事業の地理的領域や市場セグメント、あるいは販売チャネルを、更に限定した市場規模を指します。

例えば、TAM(全体市場)が日本の広告市場であった場合、SAM(ターゲット市場)は東京都など領域を絞った場合の広告市場となります。

計算式は「 SAM = ターゲット数 ✕ 単価 ✕ 購入回数」が用いられます。

SOM(Serviceable Obtainable Market) - 獲得可能市場

対象となる事業を展開した際、実際に自社が顧客や売上を獲得できる市場規模を指します。また、売上目標として扱われる事があり、通常1年から3年程度の短期間で獲得可能なものとされます。

計算式は「 SOM = 既存ユーザー & 獲得見込みの高いユーザー ✕ 単価 ✕ 購入回数 」が用いられます。

市場規模を見積もる方法

トップダウン

公表されている市場データなどから不要(ターゲットとしない)な部分を除外して計算する方法です。主にTAM(全体市場)やSAM(ターゲット市場)を計算する際に用いられます。

留意事項は次の通りです。
・公表されているデータは信憑性があるか?
・利用するデータは新しいか?
・各データの定義(カテゴリーなど)に大きな乖離はないか? ※複数ソースを利用する場合

ボトムアップ

商品・サービスの需要の大きさを、利用者1人単位から計算する方法です。
主にSOM(獲得可能市場 ※売上見込みなど)を計算する際に用いられます。

留意事項は次の通りです。
・公表されているデータは信憑性があるか?
・自社内で需要を見積もるための指標はあるか?
・アンケート調査で需要(潜在ニーズ)が把握できるか?

他社事例

Aribnbが狙う市場規模

Airbnbとは、2008年に創業された民泊支援(マッチング)サービスで、宿泊場所の貸し借りができます。サービスを利用すれば世界中の空き家に宿泊することが可能です。

Airbnbの定義するTAM・SAM・SOMは次の通りです。

・TAM:世界中の宿泊市場規模(20億ドル)
・SAM:格安ホテルかつオンライン予約の市場規模(5億6,000万ドル)
・SOM:Airbnbが獲得した市場シェア(8,400万ドル)

Airbnbの定義するTAM・SAM・SOM

出所:https://www.slideshare.net/ryangum/airbnb-pitch-deck-from-2008


まとめ

PAM・TAM・SAM・SOMは、市場規模や潜在的な市場価値を把握する上で、非常に役立つ指標です。これらの指標は、投資家の判断基準や企業によるビジネス戦略に活用されます。

PAM - ポテンシャル市場(市場の成長・拡張を踏まえた市場)
TAM - 全体市場(顧客や売上を獲得できる見込みのある最大の市場)
SAM - ターゲット市場(事業のターゲットに合わせてTAMを更に絞る)
SOM - 獲得可能市場(自社が顧客や売上を獲得できる市場)

市場規模の4つの概念




いいなと思ったら応援しよう!