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舞台 「ロミオ&ジュリエット」 観劇レビュー 2021/05/30

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【写真引用元】
ホリプロステージ公式Twitter
https://twitter.com/horipro_stage/status/1395559976790339592/photo/1


公演タイトル:「ロミオ&ジュリエット」
企画:ホリプロ、東宝
劇場:TBS赤坂ACTシアター
原作:ウィリアム・シェイクスピア
潤色・演出:小池修一郎
出演:甲斐翔真、伊原六花、味方良介、新里宏太、立石俊樹、春野寿美礼、原田薫、石井一孝、宮川浩、秋園美緒、兼崎健太郎、岡幸二郎、松村雄基、小尻健太(観劇したキャストのみ記載)
公演期間:5/21〜6/13(東京)、7/3〜7/11(大阪)、7/17・18(名古屋)
上演時間:約185分(途中休憩25分)
作品キーワード:ミュージカル、西洋古典、ラブストーリー、悲劇
個人満足度:★★★★★★★☆☆☆


シェイクスピアの悲劇である、「ロミオ&ジュリエット」を初観劇。

今作はホリプロと東宝が主催するミュージカルで、ロミオ役に黒羽麻璃央さんと甲斐翔真さんのWキャスト、ジュリエット役に伊原六花さんと天翔愛さんという豪華キャストを迎えての上演。

とにかく舞台美術は豪華、当たり前ですが。
凄く特徴的だと感じたのが、背景に舞台となるヴェローナの街の景色が映像で投影されるのだが、物凄く高層ビルに見えるというか非常に現代チックな建造物と古代イタリアの建造物が入り混じった何とも言えないファンタジックな世界観に驚いた。
舞台は何百年も前のイタリアなはずなのにスマホが出てくる現代的な演出が、上手く世界観とリンクしていて個人的には興味深かった。

キャストに関しては、私が観劇した回のロミオ役の甲斐翔真さんとジュリエット役の伊原六花さんが本当に素晴らしかった。
甲斐さんって凄く高身長で王道のプリンスといった感じが凄く好き。伊原さんは凄く歌声が素敵で透き通るような声で演技をされるので、終始うっとりしてしまう。
素晴らしいカップルを演じていたという印象。

無事千秋楽まで駆け抜けて欲しい素晴らしい作品だった。

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【写真引用元】
ステージナタリー
https://natalie.mu/stage/gallery/news/429165/1595196


【鑑賞動機】

「ロミオとジュリエット」には触れたことがなかったため、今回を機に観劇しようと思った。またキャストに大阪府立登美丘高等学校ダンス部元キャプテンの伊原六花さん、岡村俊一さん演出の「熱海殺人事件 ラストレジェンド」に出演されていた味方良介さんなど知っているキャストも多かったというのも観劇の決め手。


【ストーリー・内容】(※ネタバレあり)

舞台は昔々のヴェローナというイタリアの街、ヴェローナにはキャビュレット家とモンタギュー家という二つの旧家があった。しかし互いに仇だと思っており敵対関係にあった。
キャビュレット家にはジュリエット(伊原六花)という若娘がいた。ジュリエットの従兄弟であるティボルト(立石俊樹)はずっとジュリエットのことを好きでいたが、ジュリエットは父キャビュレット卿(松村雄基)の命令によりパリス(兼崎健太郎)と結婚することになる。ジュリエットは、遊び人でただ権力だけがあるようなパリスとの結婚に納得がいかなかった。母のキャビュレット夫人(春野寿美礼)にも、結婚とは権力のある人とした方が幸せになれると言われる。
一方、モンタギュー家にはロミオ(甲斐翔真)という息子がいた。モンタギュー家はキャビュレット家ほど裕福ではないし権力もなかった。ロミオはヴェローナの街に住むベンヴォーリオ(味方良介)やマーキューシオ(新里宏太)などの男たちと幼い頃からつるんで仲良くしていた。

ある日、ロミオは密かにキャビュレット家の舞踏会へこっそりと侵入する。そこで出会ったジュリエットに一目惚れをし、ジュリエットもロミオに惚れて二人は禁断の恋をする。しかしジュリエットはロミオに恋したことをキャビュレット家の人間に知られてしまい別れるように告げられる。ジュリエットはキャビュレット家を去るロミオに一輪のバラを渡される。
そして、そのバラをロレンス神父(石井一孝)に届けることによってロミオとジュリエットは内緒で結婚式を挙げてしまい夫婦となる。

キャビュレット家とモンタギュー家の仲は一向に良くならず、両家の取っ組み合いの最中マーキューシオがティボルトに刺されて死んでしまう。それを見たロミオはティボルトを刺殺してしまう。
ロミオはティボルトを殺した罪としてヴェローナの地から亡命することになる。
ジュリエットはパリスと結婚させられそうになるが、それを断固として拒絶しロレンス神父の元を訪ねる。ロレンス神父から42時間気絶する薬を渡され、みんながジュリエットのことを死んだと勘違いすれば目覚める頃にロミオが会いに来るのではないかと計画を立てる。
計画通り、ジュリエットは薬を飲んで気絶すると、周囲の人間はジュリエットが死んだものと勘違いして霊廟に運ばれた。そしてロミオも彼女の元にやってきたが、ジュリエットはもう死んでしまったと思い込んで、ロミオは本当に息絶えてしまう薬を飲み死んでしまう。
目が覚めたジュリエットは、隣でロミオが死んでいることに気が付き、自分もロミオの後を追うようにナイフで自殺する。

ロミオとジュリエットの死を知ったヴェローナの人々は、ロミオとジュリエットの愛の深さに心動かされ、キャビュレット家ともんたビュー家は仲直りして終わるのだった。

私は今回の観劇をしながら初めて「ロミオとジュリエット」のストーリーに触れたのだが、凄く映画「タイタニック」を想起させる内容だと思った。「タイタニック」は豪華客船の中でローズという政略結婚させられそうな地位の高い女性が、ジャックという売れない画家と恋に落ちる物語だが、序盤がまさにそんな展開で非常にロマンチックに感じられた。
禁断の恋、決して許されることのない夢のような恋というものは人間は憧れを持つもの、そんな心理を上手く突いた作品が数百年前に書かれていたとは、これは人間が持つ普遍的な心理なのだろう。
舞踏会でロミオとジュリエットは初めて知り合って、死んでも一緒になりたいと思えるくらいの熱い恋って本当にあるんですかね、ちょっと自分はイメージが付きませんがそれだけ恋によって物語が動かされる作品、素晴らしいと感じた。

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【写真引用元】
ステージナタリー
https://natalie.mu/stage/gallery/news/429165/1595199


【世界観・演出】(※ネタバレあり)

舞台美術の迫力は流石に凄まじいものだった。全てが豪華、豪華で終始飽きさせないような圧が舞台全体から伝わってくる感じ。
舞台装置、照明、音響、映像、そしてその他演出の順に見ていく。

まずは舞台装置、まず目を見張るのが下手と上手にそれぞれ設置された、アスレチックのような大きな四角い枠を積み上げたオブジェ、そちらでモンタギュー家側の荒らくれ男たちが踊ったり、そのアスレチックが移動してロミオとジュリエットが離れ離れになる演出が描かれていたりと効果的な使われ方をしていた。
また、このアスレチックの辺の部分には蛍光する仕掛けもなされていて、とあるミュージカルシーンでは色鮮やかに光っていたので凄くエンタメ性に富んだものに感じられた。
あと印象に残ったのは、ラストのロミオとジュリエットが死ぬシーンに登場する十字架のオブジェ、最期にはこの十字架のオブジェが不気味に赤く輝いているのがなんともインパクトの強い演出。
舞踏会でのロミオとジュリエットが出会う階段も良かった、螺旋状になっていてこちらも移動させることができるのだが、階段で出会うという演出がとても良い。印象に残っていた。

次に照明だが、全体的に赤い照明が照らされるシーンが多かった印象。序盤の荒らくれ男たちのダンスパフォーマンスシーンは、凄く赤の照明の印象が残っている。
またロミオが舞踏会から去る月夜に、ロミオとジュリエットが白色でくっきりと照らされる照明も印象的だった。
あとは、死がダンスパフォーマンスする際の暗い感じの照明も、他の華やかな演出とは対比的で凄く感じが出ていた。

音響は、もう作品全体がミュージカルなので全部が音楽のようなものだったのだが、個人的に印象に残ったのがテーマ曲というか、最初と最後でみんなで合唱した曲が印象に残っている。
それと、ロミオの一人ミュージカル、ジュリエットの一人ミュージカル、ベンヴォーリオの一人ミュージカルといった一人で独白するが如く歌うシーンには特別に聞き入ってしまう。まずはみんな主役級のキャストたちは歌が上手いというのと、感情移入しやすいというのもある。ダンスパフォーマンス的なミュージカルシーンより、個人的には独白の一人ミュージカルの方が好き。

今作では映像も多く使われていた。舞台の最背部と最前部にスクリーンが設置されており、当然最前部のスクリーンは限られたシーンでのみ降ろされるが、基本的には最背部にあるスクリーンにヴェローナの街の世界観が映し出される。
そこに映し出される世界観は、どこか古代イタリアのようで現代の高層ビルの佇む都市のようにも見えるファンタジックなもの。劇中でスマホを取り出すシーンがあることから、この舞台は完全に数百年前のヴェローナである訳ではなく、現代と融合した言わばファンタジーの世界であった。そんな世界観を上手く映し出した映像が素敵だった。
また、ロミオとジュリエットが舞踏会で出会って離れ離れになるシーンでの、あのまん丸く大きい月の映像は物凄く印象に残っている、ファンタジックかつロマンチックなシチュエーションで好きだった。

その他の演出部分について、好きだった部分について挙げていく。
一番印象に残って息を呑んだのが、ロミオとジュリエットのベッドシーン。リアルにあそこで二人はパンツ一枚の裸だったと思う。ロミオを演じていた甲斐翔真さんはそのまま立ち上がって服を着たので事実、ジュリエットを演じた伊原六花さんはずっと胸を掛け布団で覆っていたので、おそらくそうだったんだと思う。それにしても、一歩間違えれば事故に繋がる綱渡りのような演出で、終始こちらがドキドキさせられた。きっと観客もこのシーンでずっとドキドキさせられたに違いない。この時、キャストはどんな気持ちで演技をしているのだろう。伊原さんは掛け布団を胸に抑えている手はもうビクビクだと思う。
あとは、「死」の存在を演じた小尻健太さんが凄く素敵だった。特に台詞はないのだが、ずっと舞台の背後で黒い帽子を深く被りながらロミオとジュリエットを見ていて、これは二人が死ぬことを暗示する存在だったのだと。物語中盤で、彼が上半身裸になって踊るシーンがあるのだが、これも凄くシュールで素敵だった。
ラストのロミオとジュリエットの死をヴェローナの人々が嘆くシーンの演出も好き、みんながランプに灯を灯して葬儀するシーンがなんとも宗教チックだが絵になるフィナーレ、素晴らしかった。

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【写真引用元】
ステージナタリー
https://natalie.mu/stage/gallery/news/429165/1595204


【キャスト・キャラクター】(※ネタバレあり)

今回は主役級の豪華キャストである、ロミオ役の甲斐翔真さんとジュリエット役の伊原六花さんと、ベンヴォーリオ役の味方良介さんに着目して記載していく。

まずは、ロミオを演じた甲斐翔真さん。彼の演技を拝見するのは初めてで、アミューズに所属の俳優で仮面ライダーエグゼイドでテレビ出演デビューしている。
まず凄く高身長で、荒らくれの男たちの中でもトップクラスの背丈だったので、物凄くそれだけでリーダーっぽさを感じられた。すぐにこの人がロミオだと特定できた。
そして、声が凄くハンサムで爽やか、当たり前ですが。これは女性ファン沢山いますわ。そして歌も物凄く上手かったです。

次にジュリエット役を演じた伊原六花さん。彼女の演技は初めてだが、大阪府立登美丘高等学校ダンス部元キャプテンということで名前はよく知っていた。
透き通るかのような声にずっとうっとりしながら観劇していた。若さを全面的に出してきたジュリエットで、その熱量にずっと圧倒されていた。
お姫様的な役柄なので、なんだろう声に凄く気品があって繊細で柔らかい感じを上手く出していて素晴らしい、ジュリエット役として物凄くはまり役だと思った。
そして歌声も素晴らしくて、凄く感情移入させられる。ずっと聞き入ってしまった。

そして、ベンヴォーリオ役を演じた味方良介さん、彼の演技は2021年1月に上演された「熱海殺人事件 ラストレジェンド」以来の観劇となる。
普段拝見しているつかこうへい作品での味方さんらしさはあまりなく、凄く脇役として徹していた印象で、特にミュージカルシーンの一人で歌うパートでは、凄く声が出ていて新たな一面を発見した感じ、こんな味方さんも拝見出来るのかと。
でも個人的には味方さんといったら、熱海殺人事件の木村伝兵衛なので、もっとパンチの効いた役を見てみたかった。

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【写真引用元】
ステージナタリー
https://natalie.mu/stage/gallery/news/429165/1595200


【舞台の考察】(※ネタバレあり)

ここでは、「ロミオとジュリエット」の戯曲についての考察を軽くしてみる。
この戯曲が書かれたのは、1500年代と言われておりウィリアム・シェイクスピアによって書かれている。
若い男女が愛し合いたいが、社会の障壁によってそれを成就することがなかなか難しいという、普遍的な題材でシェイクスピアの他の作品「真夏の夜の夢」にも同様のテーマが描かれている。

ストーリーの感想部分にも書いているが、個人的には映画「タイタニック」を物凄く彷彿させるシチュエーションで、「タイタニック」の方が後世の作品なのでこちらが「ロミオとジュリエット」のテーマを参考にしたと考えるのが普通だが、そういった禁断の叶わぬ恋というのは、どんなに時代が変わっても変わらず人々の心を動かし続けるテーマなのだと再認識した。
映画「タイタニック」も映画公開当時は世界中でヒットした作品である。私も最初に観た時には凄く感動してお気に入りの作品の一つになっている。

きっと、この「ロミオとジュリエット」のテーマを軸として、現代の恋愛模様を上手く描く作品も今後登場しそうな気がする、というかもう既に登場しているかもしれない。
社会の障壁によって断念せざるを得ない悲しい恋物語は、今後も多くの人を魅了し続けることだろう。

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【写真引用元】
ステージナタリー
https://natalie.mu/stage/gallery/news/429165/1595201



↓味方良介さん過去出演作品


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