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ルポ、窓のないアマゾン倉庫

はじめに

会社を退職後、早二ヶ月。
そろそろ社会と関わらないと、このままニートになるのではないかという不安から、失業保険の範囲内で働こうと思いました。

とはいえ、いきなり販売や接客業に戻るのは気が進まなかったので、作業系のアルバイトを探していました。

以下、この作品はフィクションであり、実在の人物や団体などとは一切関係ありません。(と、書かせてください。)

面接なし、即採用

そして、アマゾン倉庫内の仕分け作業をみつけました。
時給1200円、なかなかいいと思う。
とりあえず、求人サイトから応募しました。
すぐに、電話がかかってきて、数時間後に説明会があるから来てほしいとのこと。

詳細がかかれたメールを確認すると
履歴書不要、通帳、印鑑を持参とのこと。

これは、採用確定ってこと?
そして、説明会に参加すると、私と男性の2名のみ。

日勤の8時間勤務と、10時間勤務、夜勤もありますとのこと。
求人サイトには1日、3時間からOKってかいていたのになぁ。
8時間勤務を選択しました。そして、勤務開始です。

オリエンは座学

倉庫内の1階部分、食堂内にてオリエンが行われました。
参加者は20人くらい。
前半は、パワーポイントのスライドショーを2時間くらいみます。
主に、倉庫内の商品を盗むなとか、高価な機械を勝手に触るな等の内容でした。照明を落として視聴するため、薄暗く眠くなったのを覚えています。
後半は、広大な倉庫内の案内と契約書にサインなどの書類の手続きをして終了しました。

体が悲鳴を上げる

作業は午前と午後に分かれています。
初出勤の午前は、オリエンの振り返りでした。
午後は、実際に仕分け作業をする機械の使い方を学びます。
休憩を除く8時間はすべて立ち作業になるため、死ぬほど足がむくみます。
あとは、決して和やかな雰囲気ではなく、ノンバーバルコミュニケーション(動き、表情、声のトーン)がとにかくピリついていました。
次の日は休みだったのですが、本気で登山をした翌日ぐらい疲労がたまり、マツキヨでアンメルツ的なのを買って、全身に塗りたくりました。ホントによく効きました。

倉庫内で迷う

倉庫内を一周するのに私は20分くらいかかりました。余裕をもって10分前に集合場所に行こうとしたのに、朝礼場所を通り過ぎてしまい、10分遅刻してしまいました。窓がないのと、ひたすら一本道なので、一度道に迷うと、進んでいいのか、戻ったらいいのか、わからなくて不安になります。一度、現場ーリーダーの人に道を聞いたら、あっちだよと指すのですが、私が来た道…となり夢でも見ているのかとさらに不安になりました。

同じ作業の繰り返しの日々

目の前に運ばれてくる商品を、これまた目の前にやってくる棚に入れるだけという超シンプルな作業。【ストー作業】
1日2000個くらい商品を仕分けます。

オーガニック食品の隣に大量のポルノ


化粧品、食品、日用品、本、DVD、アダルトグッズなどがまんべんなく入ってきます。サイズが合えば、どの棚に入れてもいいため、オーガニック食品の隣に大量のポルノがあるなど、普段なら目にしない光景があり非常にカオスです。他にも、ちいかわのぬいぐるみの隣に包丁とか、コンテナに何百個も入っているマシュマロフィニッシュパウダーの強烈な匂いとか。忘れられない思い出です。

さて、ここでやっかいになってくるのが、ノルマです。
1時間に何個と、ノルマが決められており、達成できていないと現場リーダーがやってきて、指導を受けます。

基本的に誰とも喋らないのですが、数時間に一度、現場リーダーがやってきて小言を言って帰ります。

窓がなくて、全体的に薄暗くて、コンテナが運ばれる音や、荷下ろしするガタガタという騒音がずっとしていて、時間の感覚が無になります。8時間、永遠と同じ作業。精神衛生的に黄色信号。

昼休憩。
1時間休憩とはなっていますが、倉庫内から食堂までが歩いて10分くらいかかります。(往復20分)
エレベーターがなかなか来ないときもあります。

ついに最終日

約2ヶ月、10回程出勤しました。
その間に、ゆるく就活をしていて、採用が決まったので、ここでのお仕事は終了です。
1〜4回目までは、トレーニングがあり動画の視聴やペーパーテストがありました。採用する数より、辞めていく人のほうが多い印象で、同期が20人くらいいたのに、最終日までにみた顔は4人くらいでした。ベテランと新人が大量にいて、中堅を担う人々が抜けてる感じ。

おわりに

アメリカのサンフランシスコでは、950ドル(約10万円)未満の万引きは軽罪(立ちションくらいのレベル)として重罪に問わない州法があり、店舗では経営がなりたたなくなり、小売業が閉店に追い込まれているそうです。そして、多くの人がネットショッピングを利用することから、アマゾンの一人勝ち状態に。

便利の裏側で奮闘する労働者たちに光あれと思います。
以上、窓のないアマゾン倉庫からお伝えしました。
最後まで見てくださり、ありがとうございます。


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