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実技以上に大事なことがある⁈【芸大美大入試】最新!芸術祭(大学祭)情報

こんにちは!代ゼミ教育総研note、編集チームです。
今回は芸大美大入試にせまる第2弾。
芸大美大というと実技がとにかく注目されますが、視点を少し変えて、「見逃しがちだけど大事なポイント」について解説していきます。



前回のコラムでは東京藝大(絵画-油画)を例に、入試科目・日程などについてご紹介しました。


最も厳しい入試であると言われる東京藝大の入試について触れたので、芸大美大受験について難しそうというイメージが付かなければ良いのですが…
今回のコラムではもう少し引いた視点で芸大美大入試を見ていきたいと思います。

【①:「できる」ではなく「やってみたい」が大事】


芸大美大に進学したい!という生徒の中で、そもそも「絵を描くのが嫌い」「美術に全く興味がない」という方はあまりいないと思います。本コラムを読んでいただいている皆さんの中には、「絵を描くのが好き」「美術方面に興味がある」という方もいらっしゃるでしょう。
 
逆に「絵のセンスがあるのか不安」「絵はそれほど自信がない」と考える方もいるでしょう。

では「絵が得意である」とは何か?筆者が考える「絵が得意である」は下図の通りです。

勿論、作品を作る上で、上図のような技術や感性を持っているに越したことはないでしょう。ただ本コラムは大学受験がテーマですので、このあたりの是非は扱いません。
 
芸大美大に入学することを考えるなら、技術・感性云々といったものより、「○○を作ってみたい」という意志が何よりも大事では?と筆者は思っています(もちろん、技術や感性云々は持っていて困ることはありません)。
 
受験する大学の学科・専攻によって、どのような作品が入試で評価されるかは異なります。

センスの有無に関わらず、絵を描くのが好き、モノを作るのが好き、美術に関心がある…、といった興味関心の高さが芸大美大受験のスタートであって良いと、個人的には思います。


【②:どこを受験するにも、普段の勉強は大事】


前回のコラムで「美大受験予備校」について触れました。

芸大美大を志望する生徒の多くは、試験対策のためにこういった予備校に通学します。首都圏の芸大美大へ進学したいと考える地方在住の生徒の中には、夏休みや冬休みの長期休みを利用して、講習会の期間だけでも通学する方もいるくらい「実技対策=専門の予備校へ通う」のが一般的になってきています。

なかなか文章だけでは伝わりにくいので、いくつか例をお出ししましょう。
下のリンク先は多摩美術大学と武蔵野美術大学です。私立の美術大学で一度は耳にしたことがある方もいるかもしれません。
 
▼多摩美術大学

▼武蔵野美術大学

このリンク先に繋がっている内容は、過去に出題された入試問題(モチーフ)や、参考となる合格者の作品です。年度毎にまとめて冊子でも配布されています。他大学でも似たようなものは掲出されていますので志望校選びの1つの資料として見ても良いかと思います。
 
是非見てほしいのは各学科・専攻における実技試験の合格者の作品です。かなり上手な作品が様々に並んでいることにビックリする方もいると思います。芸大美大受験生は予備校などを通じて、入試当日にこのレベル(もしくはそれ以上)の作品が作れるよう日々研鑽を積んでいます。

個人差はあると思いますが、「実技試験対策においては」受験生全員、充分な対策をして臨んでいるということが伝わればと思います。
 
ただ入試では学科試験も課されます。一部の大学では、一定の点数を下回ると不合格とする、と明示する大学もあるため、学科試験対策も軽視できません。ただ筆者としては、この「学科試験」こそ意外と差が付きやすいのでは?と考えます。

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(理由①)生徒の手応えから

入試後に生徒と話していると「もっと勉強していれば…」という声を聞きます。
  
実技試験の出来については本人もある程度の手応えはあったようですが、実際にどういった評価になっているかは大学のみが分かるものなので、受験生が分かるのは「出題された課題に対して適切に応えた作品を作れたかどうか」くらいでしょうか。
 
一方学科試験の場合、問題が解けたか解けなかったかは直ぐに分かりますし、自分の解答がどれくらいの点数になっているのかも大まかに把握できます。共通テストが良い例ですね。
 
合否判定は実技・学科両面の総合判定なので、提出された作品の出来が甲乙つけがたいとされる層がボーダーライン付近にいる場合、学科試験の結果がそのまま合否に直結すると言っても良いのかもしれません。
※ 大学・学科・専攻によって、実技・学科の評価の比重が異なるため、各大学の募集要項も読むようにしましょう。
 
「作品がどのように大学に評価されているかは自分では分からない」「芸大美大受験生の多くが美大受験予備校へ通学する」ことを考えると、もしかすると「実技試験で出された作品はどれも素晴らしい出来=課題への解釈の違いや細かいミス等で差はあっても、それほど大きな差にはなりにくい」のかもしれません(あくまで筆者の見解です)。
 
そう考えると、しっかりと予備校などに通学して制作枚数を重ねていることが前提となりますが、余程のことがない限り、実技試験で実際の入試で周りと大きな差は付きにくいように思えます。むしろ実技試験だけで言えば、どの受験生も高水準の出来と言って良いのかもしれません。

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(理由②) スケジュールの観点から

一般的に受験学年を迎えると、実技試験に向けての対策は本格化します。そのため予備校への通学頻度は自然と増え、学科試験対策は残った合間の時間に取り組むことになります。

普段の勉強が疎かになっている場合、高校で学習する時間・予備校で受講する時間・自主学習時間を上手にコントロールして入試に臨まなければなりません。苦手だからと言って勉強を後回しにしていると、こういったところで差がついていくと考えます。

 
芸大美大予備校で働いていた身としては「芸大美大に行きたいなら、すぐにでも美大受験予備校へ通学しましょう!」と言いたいところですが、昨今の大学入試の環境を考えると「高3で集中して作品制作に取り組めるよう、しっかりと高1・高2のうちに勉強はしておいた方が良い」でしょう。
 
学科対策がしっかりできていると、その分精神的な余裕も生まれ、良い作品を作りやすくなるという好循環も期待できます。


【③:絵が描けないと、芸大美大を目指せないの?】


志望する分野・専攻によっては「絵が描けなくても芸大美大に入学できる」ルートもあります。美術に高い関心がありつつも、絵や作品が作れないからといって諦める前に、いくつかの大学を少し調べてみましょう。

この図は2025年度入試の選抜要項を基に作成した、国公立大学の例です。個別試験で、赤字で記載した科目は学科試験を表します。
 
次に私立大学です。ここでは武蔵野美術大を例に挙げますが、似た選考をする私立大学は他にもあります。1つひとつ掲載していくと大変なので割愛しますが、「絵に自信が無くても、(志望する分野によっては)芸大美大へ挑戦できるチャンスがある」ということを知っていただければOKです。

志望学科・専攻にこだわりがなければ、こういった方法で芸大美大を目指すことも手としてはあります。ですが、「自分が将来何をしたいのか」が明確になっていないと、入学後大変な思いをします。このこと自体は他の系統も同じですね。
 
もし「自分のやりたいこと」がハッキリしていないのであれば、オープンキャンパスや今後行われるイベントなどの機会を活用して、広く大学を見て回ることをおススメします。


【④:まとめとして】


今回は、少し引いた視点で芸大美大受験を見ていきました。
  
「芸大美大受験=絵が描けないといけない」というイメージを持つ方もいるかと思います。
その側面は確かにありますが、「将来自分が何をしたいのか」「どんな作品を作りたいのか」「美術とどのように関わりたいか」がスタートとなっていること自体は変わりません。
 
芸術系・美術系の大学はよくよく見れば、他の大学とあまり変わっていることはありません。単に入試科目に「実技」があるだけで、それ以外は他の大学と同じです。
 
特殊な世界だからと臆さず、是非色々な大学を見て回って将来を考えてみてください。


【コラム:10月11月は芸術祭(大学祭)へ行こう!!】


前回のコラムで、東京藝大の藝祭について紹介しましたが、今回は私立大学についてです。
本コラムでは首都圏の一部の大学を記載しますが、他の大学もこの時期に大学祭/芸術祭が開催されますので、興味のある方は是非見に行ってみてください。
 
★東京造形大学(CS祭) 10/18(金)~10/20(日)

 
★武蔵野美術大学(芸術祭) 10/25(金)~10/27(日)

 
★女子美術大学(女子美祭) 10/25(金)~10/27(日)

 
★多摩美術大学(芸術祭) 11/2(土)~11/4(月・祝)

 
★日本大学芸術学部(日芸祭) 11/2(土)~11/4(月・祝)

 
筆者の場合は、どちらかというと、代ゼミOB・OGの作品を見に行くことが目的です。やっぱり知ってる生徒の作品を見つけると、入学後も元気にやっているんだな、というのが伝わってくるので、感慨深いですね。今年はどんな作品が展示されるのか、楽しみです。
 


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