五月病という現象が誕生したころ「大学はモラトリアム」と言われ…いまこそこの“モラトリアム”を逆手にとって自由を謳歌してみては。
いまや学生たちだけでなく、社会人になりたての新人たちや、駆け出しの子育てママにもその症状が現れるといわれる五月病。
さまざまな医師やカウンセラーの方が、対処法をアドバイスしていますが、
ここで、ちょっと別の角度で、五月病にアプローチをしてみたいと思います。
五月病が誕生したころ
ところで、この五月病、いつごろ誕生したのか。
甲南大学(兵庫県)のKONAN-PLANETというサイトにその起源が紹介されています。
五月病はポスト学園紛争の時代に生まれた、とのこと。
同じころ、こんなフレーズもよく耳にしました。
“大学の4年間はモラトリアムの期間である”
モラトリアム(moratorium)―—少し難しい言葉ですが、会計や法律で使われる用語で、「支払猶予」「猶予期間」という意味があります。つまり、支払いや法の執行などに設けられる猶予期間を指します。
もっと、簡単に言ってしまえば、
いろいろなことを免除された “自由な時間”、という意味になるでしょう。
そういえば、学園紛争が収まった当時、全国のキャンパスには、ある意味、放心状態に近い自由な雰囲気が漂っていました。
そうした状況を背景に、大学生についてのモラトリアムというフレーズには、ネガティブな意味が込められて使われることが多かったようです。
「いまどきの大学生はモラトリアムであることを言い訳にして何もしない」とか、「遊んでばかりいて困る」とか・・・
そういえば、大学=レジャーランド、なんて揶揄する人もいましたね。
でも、いまの大学では、どうでしょうか。
昔とちがって、授業への出欠や、さまざまな管理がとてもしっかりしていますので、昔のような自由放任の度合いは低くなっていると言えそうです。
そうなると、もしかして、大学生のモラトリアムは死語に!?
“モラトリアム” 復活宣言!?
しかし、ここで発想を大きく転換して、
大学の4年間はモラトリアム期間、という考え方をよみがえらせてみませんか。そうすることで、五月病で苦しむみなさんを救うことができるのではないか。
そもそも五月病は、環境の変化に伴うストレスだったり、あるいは本人のまじめな性格が原因とされていることはすでに見てきましたが、
こうしたことがらには、
〇〇に出なければいけない、
□□を成し遂げなければいけない、
△△になじまなければいけない・・・
というように、新生活のあちこちに“いけない”が氾濫して、(あるいは氾濫しているように錯覚して)それが、知らず知らずのうちにプレッシャーとなり、疲労を招いているのではないでしょうか。
そこで、モラトリアム。
つまり「執行猶予」的な考えをここで処方してみるのです。いろいろな束縛やしがらみをいったんリセットし、心を解放してあげるのです。
そうすれば、肩の力が抜けて、気が楽になるのではないでしょうか。
大人になるための空白の期間
もともと、モラトリアムの期間には、学生が社会に出て一人前の人間になることを猶予されている意味合いが込められていて、さしずめ、「大人になるための準備期間」「社会的にも認められた猶予期間」といった意味もあるのです。
大人になるための、アイデンティティを確立するための“空白の”期間、
と言い換えてもいいでしょう。
ですので、この空白の期間を思いっきり楽しむことです。
いったん立ち止まり、肩の力を抜いて、
自分自身を見つめ直し、社会を改めて考えみる・・・
そうした、いい機会になるのかもしれません。
ということで、
新入生のみなさんは、五月病を機に?逆に貴重なこのモラトリアムを謳歌してみてはいかがでしょうか。
新緑燃ゆる5月。
キャンパスを歩く際、敷地のあちらこちらに繁る新緑や、美しく咲きほこる花々に眼をやってみる。そして、そこに漂う薫る空気を胸いっぱいに吸ってみましょう。
そうしながら、大学のあちこちには面白いことがたくさんある、
ということに、思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
せっかく憧れのキャンパスに通うことになったのですから、
ぜひ、キャンパスをいろいろ探検してみて、大学生活を思い切りエンジョイしてくださいね!
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