拡大する特別選抜―総合型選抜(旧AO)は“未来からの留学生”を求めて慶大SFCが生み出した新たな試みだった
雨粒が煌めく紫陽花のシーズン。
全国のキャンパスでは、新入生を迎えて、授業や諸活動が本格化しています。
学生たちで賑わうキャンパスでは、早くも来年度に向けた学生募集の活動が始まっているのを、みなさんご存知でしょうか。
始まっていると言っても、実は、一般選抜ではなく、以前はAO入試(アドミッションズ・オフィス入試)という名称で知られていた「総合型選抜」と、推薦入試と言われていた「学校推薦型選抜」です。
このふたつの選抜方式は合わせて、「特別選抜」とも言われますが、実はこの特別選抜による全入学者における比率は、現在、一般選抜を凌駕するまでに拡大しているのです。
ハイレベルでシビアな面接
慶應義塾大(東京都)のSFC(湘南藤沢キャンパス、総合政策学部・環境情報学部)は、このほど、22年度実施夏秋AOの募集要項を公開しました。
慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部 2022夏秋AO募集要項
この22年度実施夏秋AOは、2023年の4月、もしくは9月の入学者を対象にしており、8月9日からは、早くもオンライン出願がスタートします。
実は、AO入試が産声を上げたのは1990年。慶大SFCが導入したのがはじまりです。
慶大SFC自体はその年に設立されていますので、なんとスタート同時にAO入試も始めたのです。ずいぶん大胆な試みだったわけですね。
慶應義塾大総合政策学部の村井純教授は、慶大SFCのAO入試に関してのインタビューに答えて、次のように語っています。
慶大SFCのAO入試は何と言っても、30分にも及ぶハードな2次選考の面接が有名です。これまでの活動などを書いた提出資料に基づき、面接官とのハイレベルでシビアなやり取りがおこなわれます。
その結果、毎年、多彩でユニークな“上澄みの人材”を確保し続けているのです。
村井教授も、面接の重要性について、
「成績より重視するのは『志願書(志望理由と入学後の学習計画、自己アピール)』と、そして、何よりも面接です」
と、強調しています。
慶大SFCは、学科試験や小論文が課される一般選抜も難関ですが、AO入試は別の意味でとても厳しい選考となっています。
「未来からの留学生」が学ぶキャンパス
ところで、この慶大SFCのAO入試の募集要項に興味深いキャッチフレーズが掲げられています。
SFC は「未来からの留学生」が学ぶキャンパスです
未来からの留学生―—
初代の総合政策学部長の加藤寛氏が語ったというこのフレーズ。
少し前にはなりますが、2012年の履修案内には、次のように定義されています。
「未来からの留学生」とは、「自ら未来を切り拓いていく先導者」。
この先導者については、「KEIO SFC GUIDE 2022」がさらに詳しく解説しています。
今年の募集要項には、「未来の先導者」を育成するための教育について、次のように説明されています。
受け身ではなく、自ら学び取る「問題発見解決型」「創造性開発型」人材、
これが「未来からの留学生」に期待する慶大SFCの理想像なのですね。
そして、気づくのは、このAO入試自体が、単に学生募集という営みを超えて、慶大SFCのメッセージであり、レーゾン・デートル(存在理由)になっている、ということです。
まさに、慶大SFCの真骨頂です。
慶大SFCにとっては、このAO入試が、「未来からの留学生」を迎え入れ、学んでもらう重要な機会となっています。
「未来からの留学生」を迎えるべく始まった慶大SFCのAO入試。
そして、慶大SFCに追随するように全国の多くの大学に広がり、
いまや、不動の一大入試制度となっている現在の総合型選抜。
次回は、この総合型選抜の状況や特徴について、
さらに詳しく見てまいりたいと思います。
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