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9年目に見える景色とは…。


石の上にも3年。

冷たい石の上にも長い間座り続けていると
暖まってくることから、
辛抱強くあきらめずに続けていれば
成し遂げられる…
忍耐強さが大切だ…
この言葉の意味はこんな感じでしょうか。


カフェを始めて3年経ったとき、
私の石は全く暖かくなかった…。

おっかしいな~?と思ったけれど、
まだ冷たい…
こすったら暖まるのかい?なんて思ったけど
どうしたら良いか分からない。

飲食店は1年以内に廃業するのは30%程で、
2年以内でほぼ50%というように廃業率が非常に高いのは有名なこと。

3年も続ければ楽になってくるでしょう。
なんて誰かが言うもんだから、

石の上にも3年ともいうし、

まずは3年続けられるかなと夢中で店で働いた。

ケーキに焼き菓子、接客と販売。

仕入れに事務作業。

ドリンクを作り軽食もこしらえ、
ばたばたばたばた。

当初は10:00~19:30まで店を開けていた。

お誕生日ケーキ、
焼き菓子の詰合せ、
店の定休日も動いて、何でもやった。


それで、疲れた。

先日もそうでしたが、
夢中になると自分の身体の事が疎かになり、
気がついた頃には動けなくなっている。


あっという間に3年が過ぎ、
お金に余裕が出るわけでもないし、
自分は何をやっているんだろうと我に返った。


自由になりたくて、
自分の店を創ったのに、
全然自由じゃないと気がついた。

楽しいけれど、
忙がしすぎる。


そして、
ケーキのテイクアウトは止めて、
定休日を2日設け、
営業時間を17:00までにした。

これまでに私の中で必ず起こる法則があって、
きちんと休むと、
休んだ分だけ仕事が入ってくる。

営業日も営業時間も、
売上のほとんどを占めていたテイクアウトを無くしたけれど、

今度はカフェで過ごされる方が増え、
平日の夜に来られていた方は、
お仕事がお休みの週末に来てくださった。

店に合わせてお客様が動いてくれたのです。

もちろん、
来なくなった方もいますが、

そうすると
また別の誰かが足しげく通って下さるようになる。

この店は「今」ここが必要だと思う方々が
お越しいただいていると感じるから、
お客様の流れは俯瞰して楽しんでみられます。

どんなに時間が空いても
ひょっこりいらっしゃる方もいますし、

あんだけ来ていたのに
パッタリ来なくなる方もいらっしゃる。

そして、
うちは何よりも常連さんの層が分厚くて
想いが重い。

これは店を続けてきた事で
私が唯一自慢できること。

お客様に恵まれています。

それで、
5年が過ぎた時。

区切りが良い年という事もあって
お客様によくたずねられたのが
5年目の感想とこれからの抱負。

その度に私は後ろを振り返りましたが、
何もない虚無感に襲われた。


褒められても実感はなく、

ってゆうか、
よく皆さん来てくださいますねと
感謝してもし足りないので
ぺこぺこ頭を下げ続けた。

おかしいな~
3年目に暖まっていなかった石が
5年経っても冷たいぞ。

ただ店は続いたというだけで、
私は何も凄くないし、
褒められれば褒められるほど虚無感が増した。

それで、
石に座っているのを止めて
自分で歩いてみた。

もっと我儘に店で遊んでみた。

そうしたら
ギターの弾き語りの方が来たり、
ワークショップをやりたい方がいらして
店を貸したりした。

手作りのアクセサリーを置いていたら、
クリエイターさんが集まって来て、

私には勿体ない程のご縁が繋がった。

夜ご飯をやり、
飽きたら止めて、

音楽から閃いたドリンクを作ってみたり、

憧れのケーキにも挑戦して、

メニュー表を外に出した方が良いとアドバイスをもらっても出さないし、

看板だって描きたいと言ってくれた方がいたので
何年か前にやっと出したんだから。

入りにくいと思う人は、
今ここは必要じゃないから、

また善いときにどうぞって感じで、

来るものを選び、
去るものを追わない、

そんな経営を今しています。

そして気が付いたら今年で7年目。

私が座っていた石は払い除けてもうないから
暖まっていたかどうかは分からないけれど、

日々がとても面白いです。

イラッとすることもありますが、
コノヤロウと思うこともありますが、
どうしたって面白いが勝ってしまう。

そしてこの間、
希望の言葉を頂いた。

お店が9年目を迎えた先輩が私の所へ訪れた際に「9年目の景色は良いよ~」 と仰っていたのです。

その方は、

「もう人の目を気にせずに
自分のやりたい事をやるようにしたら
今、やっと楽しめるようになってきた。」

と教えてくれました。

ほほう…
私、割とそれを今やれているので、

そしたらあと2年後は
もっと楽しくなっているという事でしょうか。

自分が飽きずに店を続けていられればの話、

周りが健康で、
自分も健康でいられればの話。


ころながどうなるか分からないから
自分の意思だけでは続けられない事、

安心なんてどこにもないのを
充分身に染みた年ですが、

今ここからの9年目の景色がとても楽しみです。












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