51歳、終の住処を考えるきっかけ事件 ③
転倒して骨盤を骨折した80代の母。
入院はできないと断られ、
どうにか家に連れ帰った。
築47年近くの我が家である。
各所に段差があり、バリアフリーとは無縁の家だ。
歩けない母を部屋に入れるだけでも、
大変な労力だった。
もう少し早めに家のバリアフリーのこと考えておけばよかった、、と思っても、後の祭り。
どうにかするしかないのだけれど、
一体、どうすりゃいいのかもわからないのだ。
とりあえず、私のベッドに母を寝かせたものの、寝ているだけでも、痛くて辛いのだとか。
着替えさせたほうがいいのだろうけど、
動けないという。
しゃーない、今日はそのまま寝てもらおう。
いや、しかしトイレはどうするのだ?
我慢しろとはいかないよね。
歩けないのだから、トイレに行けないし。
とりあえず、病院でオムツは履かせてもらったらしい。ひとまず、この中にしてもらおう、と思ったら、ヤダと言い張る母。
う〜ん、とりあえずトイレに行きたくなってから考えよう、ということにして。
次は食事よね。かれこれ半日以上は、飲み食いしていないわけだから、何か食べさせなくては。
実は母は1型の糖尿病。生活習慣病などから生じる2型糖尿病とは異なり、もともと膵臓からインスリンが出にくいタイプとのこと。毎朝のインスリン注射が日課になっている。
食事などのタイミングなどか変わると、血糖値が乱高下してめまいを起こしたり、最悪気を失って、、ということになる。
本当は、うどんなど炭水化物ばかりの食事は気をつけなければならないらしいが、
この際、とりあえず口に入るものをと、
うどんを食べさせ、痛み止めを飲ませた。寝たままというわけにもいかないので、どうにかベッドから起き上がってもらうにも、大変な時間がかかる。
しばらくは、毎食これが続くのか。。
ここまで、病院から帰宅して3時間くらい経過。
そしてトイレ、、どうする?
今は、オムツにしたら?と提案するも、
這ってトイレまで行くと言い張る母。
もうこうなると言うことは聞かない母だもの、好きにさせるしかない。
繰り返しになるが、我が家はバリアフリーとは無縁。あちこちに段差があり、這ってトイレに行くにしたって、さまざまな段差を乗り越えなければ辿り着けない。
どうにか、痛みと情けなさからか、ブツブツ文句を言いながら、貞子のようにトイレ向かう老婆を見守る。
トイレに辿り着くも、手すりがないので、
便座に座れないよう。もう、体力も尽きたと、トイレの壁に寄りかかっている。
どうにか抱き起こして、便座に座らせ、
用を済ませた。
さすがの母も意地を張るのは賢明でないと思ったらしく、もしこの後トイレに行きたくなったら、今夜はオムツだな、とつぶやいている。
でしょうね。諦めてくれてよかった。
しかし、来た道は戻らなくては、
ベッドに辿り着けない。
しばし便座で休憩後、再び這ってベッドに戻って行った。
もうほとんど、死んでるんじゃと思うほど、すぐに眠りこけてしまった。
疲れたんだよね。
いや、ホント、この家、高齢者そしてケガ人には、優しくない。
ケアする側にも優しくない。
今までは、築年数も古いし、
家のこと考えなきゃなーとは思いつつ、
日々の忙しさに追われて、また今度、時間が空いたら、と先送りしてきた。
そんな先送りしていたツケが、ついに回ってきたのだ。
さて、どこから手をつけよう。
本気で家について、動き出す必要があるぞ。