おとんとオカンのおかげで好きなことに出会えた。
と4才になりたての長女に聞かれた。
しばし、考えた後に答えた。
長女、一瞬ポカンとした顔になり、すかさず「なんじゃそらっ!」と小さいツッコミをいれた。
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昨日、日本の偉大なサッカー選手が引退した。
小野伸二。
若い頃から天才といわれた名選手でありファンタジスタ。サッカーのうまい選手はたくさんいる。しかし、小野伸二のような優しいボールタッチ、柔らかいキック、誰よりもボールと仲良く、楽しく戯れるようにプレーする選手は唯一無二。
ボールを持つだけでワクワクする。
ボクら世代にとって、かけがえのないスター選手。
《以前一回記事書いてた↓》
試合終了後のセレモニー、小野の人柄が溢れる引退スピーチに泣いた。
自分を支えてくれた周りの人たちに感謝を述べた後、最後に天国のお母さんに贈った言葉。
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ボク自身、サッカーが好きだ。
多分、死ぬまでずっと好きだ。
人生において、好きなものがある。
これだけでも人生勝ちな気がする。
好きなサッカーでご飯を食べているわけではないが、好きなものがあるだけで日々のモチベは上がる。いつまでも楽しめる。
好きなことをしている瞬間だけは、どんなときよりも自分らしく、正直かつ素直になれる。いつでも少年に戻れる。純度100%の喜怒哀楽が出る。
これはとっても幸せなことだ。
好きなものに出会ったのは、自分だ。
好きになったのは自分自身だ。
けど、好きなものに出会わせてくれたのは、周りのおかげであり、その最たるは親だと思う。
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幼稚園の時に、Jリーグのシューズを買ってもらった。みんなヴェルディだったが、ガンバを買ってもらった。
初めてJリーグに連れていってくれたのもオカンだ。神戸ユニバー記念競技場で行われたグランパスVSエスパルス。スマホのない時代、人に聞いたりしながら、なんとか競技場に辿り着いたらしい。
ガンバ大阪の試合を観に万博によく連れていってもらった。阪急に乗って茨木市駅へ。そこから激混みのバスに乗って試合会場に行った。
WOWOWで、セリエAを観せてくれたのはオトンだった。ユベントスのラバネッリ、ミランのウェアが全盛の時代。海外サッカーに興味を持ったのは、オトンのおかげだ。
小3からサッカーを習い始めた。ほぼ毎日、片道チャリで50分かけてグラウンドに通った。今思えば、あんな遠いところまで、よく通わせてくれた。
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今から25年前、1998年のクリスマス。
ボクが10歳のとき。
サンタさんからもらった最後のプレゼント。
サンタさんには「ドルトムントか、マルセイユか、ラツィオのユニが欲しい」とお願いしていた。
我ながら、ひねくれ小僧である。
今でこそ、ネットがあるので簡単に手に入るが、当時は海外サッカーチームのレプリカユニは入手困難だった。
しかも、サッカーに詳しいわけではないサンタさんからしたら「どこやねん」なチームばかり。
そんな無茶振りに対応してくれたのが我が家のサンタさん。
クリスマスの日に置いてあったときは嬉しかった。
「うちのサンタさんすげーな」って思った。
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大人になってから「ドルトムントのユニ、どうやって手に入れたん?」とオカンに一度聞いたことがあるが、軽く一蹴された。
その答えを聞いたボクは「そらそうよな〜。オカンはサンタさんじゃないよな〜」と思い、無粋な自分を少し恥じた。
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今、親となり、娘二人を見て思う。
二人にも好きなことが見つかって欲しい。
子供達に好きなことをさせてあげたい。
おとんやおかんが自分にしてくれたように、娘たちにも親としてできる限りのことはしたい。
そんな感じ。
・こぼれ話
ドルトムントのユニフォームは、大人サイズのMでした。当時、子供サイズは、相当メジャーなチームでない限り、日本には置いてなかったと思います。ボクは中学に上がるまで140cmもなかったおチビだったので、当時はダッボダボでした。結果的に、大学のサークル時代に1番着用した記憶があります。なんなら今でもたまに着ます。