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Varieteでショーが作られるまで
毎日妻から送られてくる生後1ヶ月の息子が可愛すぎて
まだ離れて5日なのに、既に若干ホームシックになりつつあるNaotoです。
29日、今参加しているVarieteのショーが始まりました。
Varieteが何かは、こちらの記事を参照。
数えてみると、ヨーロッパで働き出して丸5年以上。通算10箇所目のVariete。
ベテランってほどじゃないけど、新人とも言ってられない位の立場にはなってきました。
今回のVarieteは久しぶりに凄くシンプルなショーで、僕の仕事は自分のアクトとエンディングだけ。
ここ最近はダンスしたり、演技パートがあったり、コメディに参加したりが当たり前だったので
少しだけ物足りない感じがあるけど、その分アクトに集中できるので凄くやり易くもあります。
そんなVarieteのショーがどうやって作られているのか
今日はその大まかな流れをまとめてみます。
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1. 公演スケジュールを元にコンセプトを決める。
基本的に年中公演をしているVariete。
公演のスケジュールは様々で
2ヶ月ごとにショーを入れ替える所もあれば、
6ヶ月以上同じショーを行うところもあります。
比較的、田舎の小さめのVarieteは公演スパンが短く
都会の大きな所は1つ1つを長めに行う傾向があります。
Varieteが抱えているファンの数に比例するのかもしれませんね。
その公演スケジュールを元に、コンセプトを決めます。
ゴージャス、ミステリアス、ストリート、バーレスク等、ジャンルをテーマにする事もあれば
アジア、ヨーロッパ、アフリカ等、国や地域をテーマにする事もあります。
「今回6ヶ月の長めの公演だから、皆んなに受け入れられやすいわかりやすいコンセプトにしよう」
「前回エンタメ要素が強かったから、少し現代アートを取り入れよう」
などなど、様々な要因からコンセプトを決めていきます。
2. アーティスト、スタッフを決める
コンセプトが決まればそれに伴ったアーティスト、スタッフを決めます。
最初に演出家を決め、シアターと演出家が話し合いながらアーティストを選んで行く事が多いですね。
照明音響、メイク、ダンスの振り付けなど、シアターが抱えているスタッフだけでは解決できない場合は外注します。
1と2は逆の場合も結構あります。
・このアーティストのスケジュール抑えられたからこのコンセプトにしよう
とか
・この演出家にコンセプトを完全にまかせよう
等が理由。
ここまでの作業にかける時間は本当にそれぞれ差があって
3ヶ月ほどで全てを決めてしまうこともあれば
2年かけてじっくり選ぶこともあります。
現に、今年の6月末まで働いていたVarieteで
「2020年冬〜21年春にかけてのショーコンセプトが〇〇に決まったんだけど、誰かいい人しらない?」と聞かれました。
そのVarieteはコンセプトにバチッとあった人から決めて
芸のバランスを見ながら1年以上かけてゆっくりアーティストを選んでいくとのこと。
メインの司会者から決めることもあれば、アクトが強烈な人から選ぶこともあり、その時々なんですって。
そういう裏話が聞けるのも、現地で働く特権ですね。
3. 打ち合わせ
全てのスタッフが決まれば、演出家はショーの流れを作ります。
もちろん1人で作ってしまうと他のアーティストと認識のズレが生まれてしまうので、必要の際は事前に打ち合わせをして照らし合わせます。
僕はアクトがメインなので打ち合わせが無い事も珍しく無いですが
司会者やコメディアンは入念に打ち合わせをする事が多いですね。
演出家が出向いてくれる事もあれば、メールによる文章の打ち合わせ。もしくはスカイプ等を利用したオンライン通話で行われる事もあります。
4. アーティスト、スタッフ現地入り。顔合わせ
遂に現地入り。
シアターのスタッフ、外注のスタッフ、アーティスト、演出家で顔を合わせ
これからのスケジュールやシアターのルールについて説明や話し合いが行われます。
ほとんどのVarieteはアーティストに対して住居を用意してくれているので
荷物を置き、生活の準備を整えます。
5. リハーサル
一言でリハーサルといっても、やる事は山ほどあります。
合同で行うオープニングやエンディング
時にはダンスや集団コメディの練習。
それぞれのアクトで手助けが必要な人は、時間に余裕がある他のアーティストが割り振られ、手順の確認や練習が必要。
各アクトのステージ設備を整え、音響や照明をチェックし
全ての演技を行える準備を整えます。
準備が整ってからの順序がこちら。
・テクニカルリハーサル
全演技を軽く通して流れに問題が無いか確認し、修正。途中で止めながら、主に設備の確認や演者がどこから出てどこにはけて行くか等を皆で共有するためのリハ。
↓
・スルーリハーサル
全ての流れを止めずに行うリハ。
演技は極力本気で。でも疲れすぎない程度に。
↓
・ドレスリハーサル
本番と同じ環境、同じテンションで行うリハ。基本全力で。
↓
・ジェネラルリハーサル
シアターのスタッフや家族、友人を無料で招待し、より本番に近い環境でショーを行う。
↓
・プレスプレミア
本番。実際にお客さんを入れての1回目のショー。
新聞社やテレビ等を招待し、終わった後にはパーティーが行われる。
ここまでの流れを経て、通常の公演にうつります。
途中抜けたり追加があったりしますが、大体はこんな感じ。
劇場入りしてからここまでの流れに1ヶ月ほどかける事もあれば、3日ほどで全てを行う場合も。
今回僕が参加しているショーは3日半でここまでの流れを終え、本番が始まりました。
スケジュール通りに行く事はほとんどなく、大体休み返上で追加リハが行われます。
なので本番が始まる頃には皆ヘトヘト…。
ですが、苦労して作り上げたショーが初めてお客さんの前で披露される快感は、何度経験してもたまらない物なんですよね。
体は疲労困憊でも、結果的には頑張れてしまうのです。
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以上、Varieteでショーが作られるまででした。
少しでも何かの参考になれば幸いです。
Naoto