見出し画像

Rumours(噂) (Fleetwood Mac) #私を構成する42枚 より

#私を構成する42枚
より9枚目の紹介はFleetwood Macの歴史的名盤『Rumours(噂)』(1977年)です。

全米アルバム・チャートで合計31週にわたり1位を記録した作品であり、現時点で累計4,500万枚のセールスを記録。1978年のグラミー賞で最優秀アルバム賞を獲得したモンスターアルバム。

このアルバムを手にした経緯は前記事の最後に記載していますが、Tribe Of Gypsiesという無名のラテン・ハードロックバンドがカバーしていた曲がきっかけです。

更にこのアルバムのトリビュート作品、『Legacy:A Tribute to Fleetwood Mac's Rumours』で、Jewelというシンガーを知り、『Spirit』というアルバムをこの42枚の中に入れています。

『Rumours(噂)』という作品そのものは一言でいえば良質なポップロックです。
誰でも一聴して、それなりに良いと感じる要素が詰まっています。

この作品に初めて触れた当時の私(1997頃)は、ハードロックとヘヴィメタル三昧の音楽文化から、少しずつ色々な音楽を聴き始めたときでした。

初めて東京で一人暮らしを始めたとき、バイトの先輩でパンクなバンドマンから、ポップス寄りのロックも教えていただきました。
先輩はクラッシュが大好きだったんですが、幅広く聴く人でした。ちょうどスウェディッシュ・ポップが流行っていた時かもしれません。Cloudberry Jamは結構好きでした。Fairground Attractionやこの前亡くなったSinéad O'Connor、それより少し前にボーカルが亡くなったThe Cranberriesなども彼から教えてもらいました。

脱線しましたが、先輩からはもっと色々な音楽を聴くきっかけを作っていただきました。
その流れの中で聴くことになった『Rumours(噂)』は、ロックギタリストから聴いてもとても魅力的な作品でした。

Fleetwood Macというバンド名はドラムのミック・フリートウッドとベースのジョン・マクヴィーの名前から取っています。
つまり彼らはリズム体です。
ドラムやベースのプレイヤーが曲を作ることももちろん多々ありますが、このバンドはしません笑
しかし、この2人の息はぴったりで、2mクラスの長身ミックのパワフルなのに繊細でシンプルなドラミングやアレンジは心地よく、ブルース時代より魅力が出ていると感じます。
目立つベースはかっこいいですが、曲の屋台骨として裏に徹するのは大事だと思います。ジョンのベースはシンプルで目立つことは少ないですが、それがとても曲の良さを引き出していると思います。

しかし、バンドの色は、やはりフロントマンによって変わります。
バンド初期、ピーター・グリーンという有名なブルースギタリストがフロントの時代はPeter Green's Fleetwood Macと名乗り、60年代後半のブルース・ロックブームの中で人気を博していました。
その後ボブ・ウェルチというフロントに代わり、ポップ路線に変更。それなりに良作を発表していましたが、飛びぬけて印象的な作品とは言えませんでした。(もちろん私個人的に)

ボブが脱退し、1975年に『噂』のメンバーが集うことになります。
数字から見てもこれをこのバンドの黄金期と呼んで良いと思います。

フロントマンのギタリスト兼ボーカリスト、リンジー・バッキンガムはこの時代の要ですが、ボーカルのスティービー・ニックスの存在も圧倒的です。
そして、それまではあまり歌っていなかったキーボード奏者のクリスティン・マクビー(ジョン・マクビーの元妻)が、この編成になって覚醒したことも大きいです。

黄金期はこの5人ですが、専任ボーカルのスティービーを除く2人もリード・ボーカルを取れる実力がある、という強力な編成です。
しかも男女混合。
必然的にコーラスも超強力です。

『Rumours(噂)』はオールタイムで、誰でも惹かれる普遍性を持った作品であろうと思います。
是非、一度聴いてみてください。
そして気に入ったら、この編成で発表したスタジオアルバム5枚と、ライブアルバムも聴いてください。外れはありません。

最期に、私はギタリストなのでリンジーのギタリストとしての魅力を伝えて終わりにしたいと思います。

リンジー・バッキンガムはエレキギターでもほとんどピックを使わず、指弾きをします。ジェフ・ベックもそうですが、彼のようなアーミングやエッジを効かせた天才的なサウンドとは違って、地味ではあります。
しかし、独特なフレージングでシンプルなコード進行であっても曲に新しさを感じさせてくれます。
そう、ソングライティングのみならず、アレンジ力も抜群に優れていると思います。

90年代にこの編成で再結成をし、ライブもしてアルバムもDVDも出ていますが、この曲『Big Love』(Tango in the Night)のアレンジには度肝を抜かれました。
原曲とは全く違いながら、間違いなくそれはあの曲であることを感じさせてくれる。
ギタリスト、リンジーの到達点がここにあるように思います。

◆原曲

◆ライブアレンジ



この記事が参加している募集