青いクランベリーを摘んで
【小説】
今日は朝から夜だった
ねぇねぇマチ子
なぁにキヨ子
隣町の花火、昨日上がったんだって。
なんでこの時期に?花火大会は一月前の予定だよね?
花火職人が日付を間違えちゃったんだって。
そんなことある?
カレンダーをめくるの忘れちゃったのかな。
テレビとかケータイとか新聞とか色々な所に日付は書いてあるじゃない。
びゅうと青紫色の風が吹いた。
マチ子はカーディガンの袖をぐいと伸ばした。
でもさぁ花火って1人で上げるものじゃないでしょ。どうして他の人は気づかなかったのかしら。
全員一緒に暮らしてて全員一緒に勘違いしちゃったとか?
誰かしら気づくでしょ。
じゃあ誰かが日付を勘違いさせるために仕組んでたのかも。
何のために?
何かのお祝いごとに重ねたかったから、とかどうかな、友達がプロポーズしたかったとか。
それならプロポーズの日を花火大会に合わせるのが普通でしょ?なんでその人のために変えなきゃいけないのよ。
もうなんにも分かってない、きっと指輪が間に合わなかったとか、彼女の誕生日だったからとかロマンチックな理由があるはず。
なんだかしっくりこないわね。そもそもなんで私たちも花火大会がないことに気づかなかったの。
古びたスピーカーからピーガザガサと異音の入ったチャイムが鳴る。
赤紫の音色は少し不気味だ。
そういえば今朝校庭にバラバラの死体があったんだって。
しかも焼けただれてて誰かわからないらしいよ。
ポツンと空いた座席が黒く沈んでいく。
2024.11.12
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