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君たちは覚えているだろうか?アメリカに渡った竜の伝説の左腕エース、チェン・ウェイン投手、現役引退へ

プロ野球、ついにOP戦も開幕し、さらに我らがドラゴンズの春季キャンプも終了となり、ペナントレース開幕も残り1か月となりました。

井上一樹監督の下、新たなドラゴンズが始動し新たな時代が幕を開けようとする中、かつてドラゴンズの黄金期を支えた偉大な投手が2/26に現役引退を表明しました。


2004年~2011年にドラゴンズに在籍し2009年に最優秀防御率を獲得した竜の左のエース、チェン・ウェイン投手が現役引退を表明しました。



チェン・ウェイン投手とは?

生年月日 1985年7月21日(39歳)
出身地 台湾省高雄県
左投右打
投手
今シーズン成績
なし

NPB通算成績
133試合 防御率2.60 37勝33敗1S 14H 541奪三振
投球回686.0回 WHIP1.09 K/BB3.26

MLB通算成績
219試合 防御率4.18 59勝51敗3H 846奪三振
投球回1064.2回 WHIP1.28 K/BB3.13

個人タイトル
2009年 最優秀防御率

チェン・ウェイン投手は2003年オフに当時のスカウトであった台湾出身の竜の本塁打王、大豊泰昭さんのツテで大学生の身分のまま中日ドラゴンズに入団。

来日1年目の2004年にはアテネオリンピックの台湾代表入り、2年目の2005年には一軍デビューを果たしましたが、3年目の2006年には左肘靭帯断裂の大怪我をしてしまい手術を受け、同年オフに育成契約となりました。

4年目の2007年はリハビリに費やすと、5年目の2008年には見事復活し支配下登録となると、さらに一軍では先発、リリーフと大車輪の活躍を見せ、

39試合 防御率2.90 7勝6敗12H 107奪三振
投球回114.2回 WHIP1.17 K/BB3.24

という成績を残し、さらに北京五輪の台湾代表にも選出されました。


そして6年目の2009年に一気に覚醒。前年オフにメジャー移籍をしたエース川上憲伸投手の穴を埋めるかのように、8月月間MVPを受賞する等の大活躍を見せ、

24試合 防御率1.54 8勝4敗 146奪三振 投球回164.0回
WHIP0.93 K/BB3.65

という援護に恵まれない試合が続く中でも圧倒的な成績を残し、最優秀防御率を獲得。
当時同じく一気に覚醒し最多勝を獲得した吉見一起投手と共に左右の竜のエースへと呼ばれるようになりました。


さらに7年目の2010年には打高投低シーズンと呼ばれるシーズンながらも抜群の安定感を見せ、自身初となるシーズン二桁勝利を挙げ、

29試合 防御率2.87 13勝10敗 153奪三振
投球回188.0回 WHIP1.14 K/BB3.12

という成績を残し、竜の左のエースとしてドラゴンズ4年ぶりとなるリーグ優勝の原動力となりました。


そして8年目となる2011年は足の怪我により開幕に間に合わないシーズンとはなりましたが、東日本大震災の影響によりペナントレース開幕そのものが1か月遅れるシーズンとなったことにより、チェン投手の離脱もチームに大きなダメージはなく、5月に復帰。

しかしながら、同年より導入された統一球の影響によりNPB全体が前年と打って変わり超投高打低シーズンとなり、好投しても援護に恵まれない試合が続きましたが、それでも抜群の安定感を見せ、

25試合 防御率2.68 8勝10敗 94奪三振 投球回164.2回 WHIP1.03 K/BB3.03

という成績を残し、竜の左のエースとして見事ドラゴンズ史上初のリーグ連覇の原動力となりました。


そして同年オフに球団がチェン投手の長年の夢であるメジャー挑戦の意思を尊重するという形で、なんとポスティングではなく自由契約という方法を取り、チェン投手はボルチモア・オリオールズへ移籍となりました。


メジャー移籍1年目の2012年からチーム最多勝となるシーズン12勝を挙げ、上々のメジャーデビュー元年となると、メジャー3年目の2014年には

31試合 防御率3.54 16勝6敗 136奪三振 投球回185.2回 WHIP1.23 K/BB3.89

という圧巻の成績を残し、リーグ屈指のメジャーリーガーへと成長を遂げました。

そしてメジャー4年目の2015年には

31試合 防御率3.34 11勝8敗 153奪三振 投球回191.1回 WHIP1.22 K/BB3.73

という、チーム最多投球回を記録し、そして同年オフにはマイアミ・マーリンズに移籍し5年8000万ドル(当時のレートで94億円)という超大型契約を結びました。


マーリンズ移籍元年となるメジャー6年目の2016年には見事、台湾人では王建民投手以来の史上2人目となるメジャー開幕投手という大役に抜擢されましたが、同年シーズン中に左肘靭帯断裂という大怪我をしてしまい、大型契約に見合う活躍をすることができませんでした。

そして翌年以降も大怪我の影響が残り続け、かつてのピッチングをすることができず、メジャー9年目の2019年にはリリーフ転向となり、シーズン45試合登板を果たしましたが、防御率6.59という無惨な成績となりました。

そのため、マーリンズとの超大型契約を結びながらも在籍4年間で僅か通算13勝しか挙げることができず、5年契約の残り1年がある状態にも関わらず、同年オフにマーリンズから戦力外通告となりました。


マーリンズ解雇後の2020年にはシアトル・マリナーズとマイナー契約を結びましたが、シーズン途中に自由契約となり、そして2020年9月末になんと千葉ロッテマリーンズと契約を結び、9年ぶりのNPB復帰を果たしました。

当時の新型コロナウイルスの感染防止のために10月に入団、10月中旬に9年ぶりのNPB一軍復帰登板となり、同年4試合先発登板全てでQSを果たすも援護に恵まれず、まさかのシーズン0勝に終わってしまい、無情にも同年オフに千葉ロッテマリーンズから自由契約となりました。


それでも同年オフに今度は阪神タイガースと契約を結ぶと、2021年4月29日になんと古巣ドラゴンズ戦のバンテリンドームで先発登板を果たし、結果6回1失点と好投し、NPBでは3497日ぶりの勝利を挙げ、古巣ドラゴンズ相手に痛烈な恩返し勝利を挙げました。

しかしながら、同年はこの勝利が唯一の勝利となってしまい、シーズン僅か1勝に終わってしまうと、翌年の2022年には一軍昇格することなく終わり、同年オフに阪神タイガースから自由契約となりました。


阪神退団後は手術を受け、台湾でリハビリをし、そして2023年にはなんと北米独立リーグのロングアイランド・ダックスに入団しましたが、独立リーグでも
17試合 防御率6.37 5勝5敗
という全盛期とは程遠いピッチングとなり、同年オフに独立リーグからも自由契約となってしました。

そして去年は所属球団が無い状態で現役続行を模索していましたが、2025年2月26日に自身のインスタグラムで現役引退を表明しました。



~感想~

チェン投手はドラゴンズの黄金期、ドラゴンズ史上初のリーグ連覇の原動力となった竜の左のエース投手であり、まさに伝説的な投手でした。

また、チェン投手の凄まじさとも言えるのがやはり2009年の時のピッチング。

この年一番のピッチングが8/4の完封試合でした。

9回にこの日最速の球速153キロを計測し、3者連続奪三振を決め完封勝利を挙げたのは最早意味が分かりません。

またこの年のシーズン防御率1.54での最優秀防御率は統一球導入前の時代に記録した成績の中では、セ・リーグではなんと1970年の阪神村山実投手の防御率0.98に次ぐ優れた成績でした。

当時、私は高校生だったのでチェン投手のピッチングは今なお鮮烈に覚えていますが、本当にこの年のチェン投手はストレートが全く打たれない、むしろ変化球を投げずにストレートだけで抑えれるんじゃないかと思うほど、異次元のピッチングを見せていました。

当時のスポーツニュースでは右投手なら藤川球児投手のストレートが1番だが、左投手ならチェン投手のストレートが1番だとも言われていました。


また、メジャー移籍後の初年度にはメジャーでも活躍した日本人スラッガーである“ゴジラ”松井秀喜選手の現役最後のホームランを浴びていました。


さらに2019年のイチロー選手の現役引退会見では「チェンが元気か知りたいですね。」とマーリンズで2年間チームメイトだったチェン投手の同行を気にかけたり、これに対しチェン投手がインスタグラムで「『神』と同じチームに入れることは夢みたいでした。」と投稿したりしていました。


NPB復帰後はまさかのドラゴンズ戦で恩返し勝利を献上してしまったのはドラゴンズファンとしては不甲斐ないですが、それでもチェン投手がまだまだ元気だぞというのが分かりました。

しかしながら、最後は北米独立リーグにまで挑戦し、現役続行の道を探っていたのは知りませんでしたが、それでもチェン投手が最後の最後までプロの世界で、もがきながらも生きてきたという証明となったことでしょう。


チェン投手、20年間の現役生活、本当にお疲れ様でした。


なお、今回の引退を受け、3/16のバンテリンドームでのOP戦でチェン投手のセレモニアルピッチ、引退試合が行われます。


今のドラゴンズはかつてのチェン投手が着けていた背番号21を2024年ドラ1ルーキー、大学No.1左腕の金丸夢斗投手が着けています。

また、チェン投手と左右のエースとして双璧を築き上げた吉見一起投手の背番号19は現在、竜のエース高橋宏斗投手が着けています。

何の因果なのか、これからのドラゴンズを支えなくてはいけない二人がかつての左右のエースの背番号を引き継いだという形になりました。

かつての吉見一起投手、チェン投手でドラゴンズ史上初のリーグ連覇を導いたように、高橋宏斗投手、金丸夢斗投手でドラゴンズの逆襲を図り、リーグ優勝を目指してほしいですね。

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