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適応vs.適応的──よく似た二つの概念の違い、自然選択vs.人間による研究開発(R&D)手法の違いについて #Adapto | 進化心理マガジン「HUMATRIX」

適応/adaptation〉という概念について、前回の#Adapto 記事ではざっとみてきた。適応という言葉には一般的な意味と進化論用語としての2つの意味があるが、このマガジンではもちろん進化論的な意味での〈適応〉についてフォーカスする。

つまり俺たちがモコモコのニットで厚着をしているにもかかわらずカフェ店員が暖房の設定温度を28度に上げたときにダラダラ汗をかく方の「適応」ではなく、もともと汗腺を持たなかった動物が発汗のための汗腺をもつに至った歴史的変化=進化のほうの「適応」について取り扱う。

マクロ生物学は〝適応主義〟によって導かれているが、適応という事象の本質を理解しておかなければ、この便利な思考道具をただしく振りまわすことはできない。

(あるいは危険だから振りまわすのは避けよう、などとこの道具の使用に慎重すぎる姿勢をとってしまい、探求・究明が一歩も進捗しないはめになる────てめーらは一生"中立進化"とか言ってろ!)。

>前回からのつづき;
「適応」という厄介な概念。 #Adapto Ⅰ|進化心理マガジン



✔︎ 適応 vs. 適応的



さて、前回予告したように「適応/adaptation」と「適応的/adaptive」の違いからはじめよう。

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