ビジネスコンペ300戦無敗 選ばれ続ける極意
井下田 久幸
ドルフィア株式会社代表取締役。
当時IT最大手のIBMに勤めていた著者が、一念発起し、わずか社員16人のベンチャー企業に転職。倒産の危機に直面しながらも、コンペで300戦無敗の記録を打ち立て、見事再建を果たした。その極意を紹介する一冊が登場。「なぜか選ばれないあなたに」向けて、選ばれ続けるための工夫を惜しみなく伝授します。成功への道を一歩踏み出すための必読書です。
1.選ばれる極意とは?
著者は選ばれる極意として、複数の戦略を挙げていますが、ここで取り上げるのは「試食戦略」です。
試食戦略
これはデパ地下の食料品売り場でよく見られる試食コーナーの戦略ですが、著者の戦略は少し異なります。試食に立ち寄ったお客様の味の好みを理解し、それぞれのお客様に合わせた味付けで提供するのです。
例えば、著者はエンジニアとして働いていますが、積極的にお客様のところへ出向き、直接悩みを聞き出します。そして、お客様が一番困っている生データを借り、そのデータを使ってお客様専用のデモプログラムを作成し、「試食」してもらうのです。この方法で、お客様は自分の悩みが目の前で解決される瞬間を目撃することになります。目の前で解決するデモを見れば、100%選ばれることは間違いありません。
しかし、この「試食戦略」は個別にデモを作成しなければならず、多大な手間と時間がかかります。それでも、効果を発揮する「戦略」というのは、行動を伴うものであることを心得ておくべきです。実際に行動し、相手に具体的な価値を提供することで、選ばれる確率は飛躍的に上がります。
このような細やかな対応ができるのは、著者がただ技術者としてのスキルを持つだけでなく、お客様とのコミュニケーションを大切にし、そのニーズに応じた柔軟な対応ができるからこそです。お客様一人ひとりの問題に対して、真摯に向き合い、解決策を提供する姿勢こそが「選ばれる極意」と言えるでしょう。
2.選ばれる人が重視するもの
選ばれる人が重視しているものがあります。それが、次の6つの視点です。
①モノ
②カネ
③ヒト
④情報
⑤時間
⑥感情
まず、「モノ」「カネ」「ヒト」は従来から重視されている視点です。モノやカネは、誰もが考えうる選ばれるための工夫です。例えば、高品質な製品や優れた資金調達は、競争力を高める基本要素となります。また、ヒトもサービスを提供する上で大きな付加価値となります。優れた人材やチームの力を活用することで、より良いサービスや製品を提供することができます。
しかし、肝となるのが情報、時間、感情です。情報は、それ自体が大きな価値を生む無形資産です。有用な情報を付加すれば、それだけで十分な価値となります。例えば、最新の市場動向や競合情報を持っているだけで、ビジネスの方向性を大きく変えることができます。
時間も情報と同様に貴重な無形の価値です。同じモノやサービスでも、早く届けたり、時間短縮の効果をもたらすことができれば、それだけで十分な価値となります。例えば、迅速な配送サービスや効率的な業務プロセスは、多くの顧客に喜ばれます。
最後に、感情です。これも無形の価値ですが、モノが溢れる時代において「コト」に価値が出てきました。「コト」は具体的にいえば、「思い出」や「感動」などで、売りたい商材に「意味」や「物語」を持たせることで、大きな価値を付加することができます。例えば、商品の背景にあるストーリーや、購入後に得られる感動的な体験を提供することで、顧客の心をつかむことができます。
選ばれるためには、これらの6つの視点をバランス良く取り入れ、モノやカネ、ヒトだけでなく、情報、時間、感情にも重きを置くことが重要です。それぞれの視点を活用することで、他者との差別化を図り、選ばれる存在となることができるでしょう。
3.選ばれる人になるためのスピードの上げ方
選ばれる人になるためには、決断力を高めることが重要です。悩む時間を限りなくゼロにするためには、次の5つの力を養うことが必要です。
まず、「好奇心」です。幼少期のように「なぜ?」を繰り返し、物事を深く掘り下げる習慣を持つことで、新しい視点を得られます。
次に、「俯瞰力」です。自分の意見だけでなく、反対意見も考慮することで、バランスの取れた判断ができます。自分の中でディベートを行い、さまざまな視点を持つことが大切です。
三つ目は、「要約力」です。会議や集まりでファシリテーターとして、意見を簡潔にまとめる練習をしましょう。これにより、情報の本質を迅速に把握できます。
四つ目は、「自責力」です。腹が立つことがあった際には、自分の成長の機会と捉え、問題を解決するための行動を考えることが重要です。
最後に、「遂行力」です。チャレンジを始める前に、多くの失敗を覚悟し、「1勝9敗」の精神で挑むことが成功への道です。チャレンジの途中で訪れる限界感を予め知っておくと、最後までやり遂げる力が養われます。
これらの力を身につけることで、選ばれる人になり、チャンスを確実に掴むことができるでしょう。
まとめ
選ばれるためには、他者よりも一歩抜きんでることが必要です。そのためには、情熱が不可欠です。情熱を持ち、自分の目標に対して全力で取り組む姿勢が、人々の心を掴み、選ばれるための大きな武器となります。情熱を持って挑戦し続けることで、自分自身を際立たせ、成功への道を切り拓くことができるでしょう。
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