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[Renovation]Colissimo (Renovation Gallery) 築70年の木造旧郵便局舎をギャラリー・カフェに           JCD DesignAward 2012金賞受賞


丹波篠山、立杭焼の窯元が多く集まるエリアに近い「今田(こんだ)」。この地に1943年に建てられた小さな木造2階建ての郵便局舎があった。1990年に新局舎に業務移転してから約20年間、年月とともに朽ちるがままになっていたものだ。ここに新しい光と命を吹き込んだのがギャラリー・カフェ「colissimo」だ。

 場所の記憶を引き継ぐため、リノベーションにあたってはできるだけ手を加えないことにした。白いペンキの剥げた外観や、郵便局時代の面影の残るカウンターや懐かしいマークなどをそのままに残している。

 廃墟同然だった1階住居棟と2階は手を入れる必要があったため、アンティークのドアやスイッチをバランスよく配置した。和と洋、新と旧が交じり合って織りなす「懐かしくて新しい」空間が主張しすぎない静かな世界観を創り出す。あえて残した余白が空間にゆとりをもたらす。ていねいに改修したディティールの積み重ねによって、独特の心地よさが生まれる。


 大量生産・消費されていくものではなく、100年先までも愛され残っていく「もの」や「こと」を届けたい。この場所だからこそ伝わるものを意識して改修した。

〈概要〉
延床面積|115.61㎡
1階床面積:80.04㎡
2階床面積:35.57㎡
用途|ギャラリー・cafe
所在地|兵庫県篠山市今田町
構造|木造工事
期間|2011年12月〜2012年1月
設計 | 高橋真之(mtds)+堤庸策(arbol)
照明計画| 木下 由起子(Ljus)
施工|VINTECH
撮影|下村康典


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堤 庸策/Yousaku Tsutsumi/arbol代表/建築家/一級建築士
クリエーティブの力で人がもっと本質的に豊かな状況を作り出す活動費に使っていきます。 先ずは自分自身で体系化出来た事などをお伝え出来ればと思います。 次に、過去にクリエーターズシェアオフィスや、デザインアートの実行委員長をしていたように、周りの人と共に新たな活動をしていきます。