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洋裁初心者が服の作り方を最短で学ぶ方法(洋裁教室講師が教える5つのステップ)

こんにちは。京都で縫い物を6年教えている、洋裁教室コモノのぜんばやしと申します。
ずっと作家として帽子や革小物を作ってきましたが、最近は教える方が面白くなってきて、最近はそちらを中心に活動。

今は教えることを本格的に中核に据えて、展開していきます。

実は服作りは、元々アトピー体質で化学繊維が苦手で天然繊維の服でないと、着ていてつらくなることから作るようになったのです。
市販の服のシルエットが体型に合わず、どうにも着心地が悪いのもあって、かれこれ30年以上手作りしてきました。

デザインの良さは勿論重要だと思ってますが、衣装的なものより実用且つ定番としてのベーシックな服がメインなので、これは仕事にはしないで自分の着るもの中心に作る事をやっていました。

一応、服飾学校にも行ったのですが、今洋裁教室で教えているのは、完全に自己流です。

基本的に、いつもやりたい事が多すぎ、処理タスク消化に忙しいので、「如何に無駄なく必要最小限の労力で、自分が着たい服を美しく作るか」と考えてやってきました。

これをそのまま教えることを、テーマにしています。

我が洋裁教室コモノは「自分の作りたいものから作る」をコンセプトにしてスタートしたのですが、2020年程前から急に、中学校以来全く縫い物をしたことがない、という超初心者の方が体験に来ることが増えてきました。

そうすると、何故か最初から無謀な計画をする人が、本当に多い

どうも、自分がどれくらい出来て、どれくらい出来ないかという指標がなくて困っているようだ。

ということが、おぼろげに私にも分かってきました。

勿論、誰でも最初は初心者です。しかし、どこかにステップはある筈だ・・

ということで、殆ど全く縫い物をしたことがない生徒さんの代わりに、ある程度「服作りの基礎知識」がつくまでの学び方、を考えてみました

今まで数ヶ月の短期間に圧縮バージョンで、全く何も知らないところから洋裁の基礎知識を習得していかれた方が数名おられましたが、皆共通していたことがあります。

それは自分がどれくらい分かっていないかを常に分かっていて、めいっぱい質問することが出来る方だったこと。

何かの仕事のエキスパートの人も多かったです。多分、ロジカルな考え方で積み上げていく思考法で、何を今すべきかを判断されていたのではないかと思います。

すでに出来るようになった方がおられますので、この方々と同じ様なステップを踏めば、大体誰でも基本は習得できると思います。

ですから、今回はその「洋裁初心者が服作りをどのようなステップで学べばいいか」について5つにまとめてみました

この5つのステップをぐるぐる繰り返していく形で行えば、段階的に実力をつけていけると思います。
では、これから解説していきます。


1・服作りの自分の実力の現状把握を最初にする

何もかもが分からない場合、自分が何が分かっていて何を分かっていないのか。そこを把握するのが、一番最初に必要ではないかと思います。

あえて、どれくらい分かっていないかを査定するんですね。これが出来ていないから、無駄な本とか布とか買ったりしがちになるのではないかと。

【超初心者】・【初心者】・【中級者】とカテゴライズした方が、作業難易度の大体の把握・理解に繋がると思うので、独断と偏見を交えて設定してみました。

今まで洋裁教室運営する中で分かったのは、初心者さんであればある程、どの作業が難しいかを予想できず、最初から難易度が高すぎる材料とかマニュアルをうっかり選びがち。

途中でやっぱり自分には出来ない・・!! と諦める可能性を、自ら高めてしまっているということです。

誰しも出来上がるまで時間がかかりすぎる作業は、辛く、中々やりきれるものではありません。やっぱり自分の実力に見合う作業をやっていくのが、一番いいと思います。

服を縫う場合、ある程度のボリュームのある「縫製の基礎知識」というものが必要です。
この「縫製の基礎知識」が無い人のレベルが【初心者レベル】として設定してみています。

この基本である「縫製の基礎知識」を最初に習得し、段階的に学ぶのが一番無理なく学ぶやりかただと思います。

こだわりの物が出来るまで1年でも2年でも頑張り通す、という稀有な人は居ないわけではないですが、あまり一般的ではないです。

まずは下記のカテゴライズ分けされたレベルを見て、ご自分がどれくらい「縫製の基礎知識」があるかを判断し、無理なく楽しみながら学ぶ判断材料にしていただけたら幸いです。

【服作り超初心者レベル】

小中学校の家庭科(生活科)で習う内容です。
「手縫い」の基本作業をマスターしましょう。

1  糸の端を玉留めする

2  指貫をはめ、なみ縫い(運針)する

3  布の端をアイロンで三つ折りし、端をまつる

4  ボタン付けをする

【服作り初心者レベル】

裁縫の基本的な知識があり、服作りの全体の手順がわかっている。
単純なデザインの服が作れる(裏なし一枚布の3〜9時間で完成する服)。

1・服作りの作業の全体の順番がわかる

デザイン →型紙作成 →材料見積→ (必要なら仮型=トワル作成→型紙修正→) 布地直し →裁断 →仮縫い →本裁断 →縫製 →仕上げ

2 服のパーツの名前がわかる

前身頃・後身頃・袖・襟・カフス・ベルト・襟付け線・袖付け線・裾線・脇線・股上・股下など

3 型紙の印・記号の意味がわかる

前後中心(C.F  / C.B) 合印 布目線 ダーツ タック ギャザー などの記号

4 布地直しの仕方がわかる

綿・麻の布の水通し ウールの地直し 化学繊維の地直し など

5 布の種類がわかる

<素材別(大別して3種類)>

天然繊維 綿(コットン)・麻(リネン・ラミー・ジュート・大麻など)・毛織物(ウール・カシミア・アルパカなど)・絹(家蚕・天蚕)

半合成繊維(レーヨン・キュプラ・アセテートなど)

化学合成繊維(ポリエステル・ナイロン・アクリルなど)

<作成方法別>

織物(平織・綾織・組織織) ニット フェルト(不織布)

<織物加工別>

ベルベット 別珍・コーデュロイ レース

<染色方法別>

先染め・後染め

<色柄別>

ストライプ(縞柄)・チェック(格子柄)・ドット(水玉模様)・花柄・ペイズリー柄・迷彩柄・アニマル柄 など

6 布の方向とそれぞれの性質がわかる

経(タテ)方向・緯(ヨコ)方向・バイアス(バイヤス)方向

7 布地に対してどのように型紙を入れ、裁断したら良いかが分かる

大きなパーツから布目方向を合わせ、全型紙が入るか確認
ピン打ちをして裁断します

8 布への印付けの方法がわかる

切りじつけ ノッチつけ チャコ(ペン)など(必要に応じて使い分け)

9 直線ミシンの基本的な操作がわかる

上下の糸通しをし、糸調子を合わせることができる
布の質・厚さに合わせミシン針をセットし、ミシンの調節ができる
布のテスト縫いをし、直線縫い・曲線縫いをする

10 ファスナー無しの一枚仕立て服の、縫い合わせの順番がわかる

<トップス>
肩縫い →袖付け →両脇縫い(袖と身頃を一気に縫う )→襟ぐり始末・裾始末・袖口始末

<ボトムス(ウエストゴムスカート)>
両脇縫い →ウエストゴム通し作成 →裾始末

<ボトムス(ウエストゴムパンツ)>
脇と股下を縫う →裾始末 →股上を縫う →ウエストゴム通し作成

11 ロックミシンの使い方が分かる(又はジグザグミシン)

三本のロック糸をセットし、糸調子を合わせることができる
又はジグザグミシンで布はしを縫いぎりぎりをカットする

12 布地の端の始末の仕方(基本的なもの)がわかる

三つ折り バイヤステープつけ 折伏ぬい 袋縫い ロックミシン(又はジグザグミシン後カット)

13 接着芯のはり方がわかる

接着芯をはる必要がある場所を理解する
(襟・カフス・見返し・ポケット口や襟ぐりなど伸びやすい場所の縫い代)
全面はりの場合は接着後全体に布が縮む可能性があるので、大きめに仮裁断して接着後、本裁断をする
上下にあて紙をして、秒数もかけ、動かないようにアイロン圧着する

14 見返し(襟なし首周り)の作り方がわかる

表地前後身頃の型紙が出来てから見返しの製図をする
(仮縫い時はシーチングで仮付して作成)
見返しには接着芯を全面貼りをする
見返し用の型紙操作をする

15 バイヤス(バイアス)テープの付け方がわかる

共布で作成する場合は、身頃の寸法を測りテープの必要寸法を出す
バイヤステープメーカーを使い作る場合は、端切れでテープ作成のテストをしてから本番のバイヤステープの裁断をする

バイヤステープの縫い付けデザインは、縁を取る形と裏側に全部入れ込む(見返しのように取り付け)と二種類
バイヤステープを縫い付ける前に、取り付ける身頃の曲線にあわせ、アイロンでくせとりをする
バイヤステープの端と端は、斜めに接ぎ合わせると収まりが良い

16 ゴム通しの作り方がわかる

簡単に言うと布が二重になったの空間の中に、ゴムを通すことになります
よくあるのは布端を幅広の三つ折りにして、その間を通すもの

デザインによって布コバに端ミシンをかけたり、別ベルトを取り付けてその間にゴムを通したりすることもあります
一本ゴムを通すだけでしたら簡単ですが、数本通す場合は身頃の縫い割り部分にゴム通し口を作成する必要があります

【服作り中級者レベル】

1 ファスナーつけができる

2 ダーツ縫い・タック縫いができる

3 パッチポケットがつけられる

4 脇ポケットがつけられる

5 ギャザー寄せができる

6 袖口あき(剣ボロ)をつくり、カフスをつけられる

7 ボタンのつく前開きが作成できる

8 襟付けができる(シャツカラー・スタンドカラー)

9 ウエストベルトの作成ができる

10 ボタンホール作成ができる

11 仮縫い補正作業ができる

12 柄合わせの方法がわかる

【服作り上級者レベル】

1 パターン展開でバリエーション作図ができる

2 裏地の製図がわかり、表地から割り出して作成が出来る

3 玉縁ポケットが出来る

4 ジャケット(またはコート)やスカートの後ろベンツが出来る

5 台襟つきシャツカラーができる

6 テーラードカラーができる

7 毛足のあるもの(ビロード・ベルベット)の裁断・縫製ができる

8 シルク素材の扱いが分かる

9 レース素材の裁断の仕方・縫製方法がわかる

10 コートの芯の貼り方が分かる

11 薄物素材(オーガンジー)の縫製ができる

12 リブニット素材の縫製ができる

2・服作りの作業時間確保(一着出来上がるまでの、まとまった時間)


「服を作るための時間確保」を2項目に入れたのには、理由があります。

ものすごく単純な形の服でも、「1〜2時間で一着作成するのは無理」です。

これを分かっていない人が、意外と多いです。

今は安くで服が売っていますし、全く「作る」という作業そのものが生活の中に無い人、が殆どになりました。ですから仕方がないのかも知れません。

私の洋裁教室コモノの生徒さんも、習い始めてから世の中で売っている服があまりにも安いことに初めて気がついた。と言われる方が本当に多いです。

完全に計算されつくして効率的に作られている商品と同レベルのものを、訓練していない人が簡単に作り出せるわけはない。ということは、ある程度縫う体験がないと理解できないことなのかもしれませんね。

ですから、スキマ時間にちゃちゃっと服を作る、というのは、ある程度(上記の中級レベル〜)の縫い物のスキルが有る人でないと出来ないことです。

【中級レベル】の縫い物スキルがある方なら、1つの服を縫うのに自分がどれくらい時間が必要か、はイメージが出来ると思います。

しかし1つの作業をするにも、マニュアルを見返さないと出来ない【初心者レベル】の人は、なかなか一着作るのにどれくらい時間がかかるか分からず、先の見えなさから服を完成する前に脱落しがち。

初心者さんであるほど、ある一定のペースで「縫い物をする時間の枠」を自分に対して作って学んでほしいと思います。

生徒さんを見ていて思うのは、最低でも週一回3時間程の作業はしないと、前にやった作業を忘れてしまっていて、非常に効率が悪いです。

初心者さんほど1つの服を作るのに、一ヶ月〜一ヶ月半ぐらいで仕上げないと、やる気が続かない感じです。

私のお教室オリジナル型紙で、1つ作成するのに中級レベルで作成時間3.5時間〜4時間のゴムパンツがあります。これくらいの作業量のものが初心者向きです。

この様に半日で完成する簡単なものからスタートすると、不器用な方でも一ヶ月以内に一着は完成して継続しやすいです。

学ぶポイントは、一着目はマニュアルを見ながらゆっくり作り、次に色違いなど復習に同じものを再度作ること。こういう形で縫い物を練習すると、断然学んだことを手の内に入れていけます。

一回3時間ぐらいの作業を、週一回以上継続。早い人は3ヶ月、できれば半年ほど縫い物生活をすると、断然一着をつくるペースが上がってきます
ミシンに慣れるのにやはりこれくらいの期間は必要です。

ですから超初心者〜初心者の方は、最初に週一回以上、半日は縫い物を学ぶことを3ヶ月〜半年継続する時間を自分に作る。ここからスタートするのが一番いいと思います。

初めて作る種類の料理を、イメージしてもらえると分かりやすいと思います。最初はレシピを見ながら作ると度々中断してしまうので、凄く時間がかかりますよね。

こういう順番、という作業全体の流れを覚えるのが、一番最初
その次にそれぞれの作業でポイントとなる所をおさえて、正確に進めていく。

説明を見ながら(又は教えてもらいながら)作業をする、ということ自体がすごく時間がかかるのを理解しましょう。既知の内容の作業時間×2〜3は見て、作業時間の計画を立てる必要があると思います。

3・服作りの自分の実力に応じて、完成させられるデザイン服を選ぶ(裁縫初心者の場合は短時間で完成するものを選ぶ)


初心者の方が「型紙付き洋裁本」を買ってきて、いきなり洋服を一人で作るのは、難しいです。
まず本を手にとって読んでみて、何が書いてあるか分かりますか?

一般的な「型紙付き洋裁本」は服作り中級者向きです。

「簡単」と書いてあるもの程、要注意。本当に簡単なものもありますが、説明が「簡単」にかかれていて、実際作ろうとして説明を読んでみると意味がわからず困るものも、あります。

ではどうすればいいか?になりますが、最初は非常に単純な形の服を、2〜3着以上作るのが一番いいと思います。

具体的に言うと一番最初は、ポケット・ファスナー・ボタンあき・襟がないデザインの服をつくるのがいいのです。
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一番最初は、簡単な裏なしウエストゴムのスカート・ゴムパンツを作る。

できれば2着、同じ型のものを繰り返し作成し、段取りを覚えるのが更に良いです。大概、型紙のコピーから縫い終わりまで、2〜3時間×2回又は3回で出来ると思います(ミシン縫いは出来る前提です)。

よく最初にファスナーポーチを作りたがる人が居ますが、ファスナーつけは結構難しいです。しかも少しでも歪んでとりつけると非常に目立つので、四苦八苦することが多いです。やっと出来ても作り甲斐があまりない感じになるので、初心者にはオススメしにくい作成物です。

縫い物初心者ほど「ポーチなどの小物」より「服」の方が、「作った」という達成感を味わえて良いようです。何年もお教室で指導してきての実感ですが。

1〜2着作ると大概ミシンで縫うこと自体が嬉しくなってきます。
沢山ミシン縫いをしてミシンがうまくなりたい場合は、単純な作業で、ある程度縫うボリュームのある、インテリア関係のものを作るのもおすすめです。

シーツとか枕カバーとか、ファスナーをつけないで仕上げるタイプ。ひたすら布はしを三つ折りにして、直線ミシンをかける練習を最初の段階である程度やると、作ること自体にも慣れてきて良いですね。
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二番目は簡単ボトムスが作れるようになったら、トップスを作ってみる

これも裏なし一枚仕立てのデザインの服がいいです。

ファスナーつけの要らない、被って着れるタイプの襟なしのブラウス〜ワンピースが作りやすいと思います。袖があるタイプの方が、簡単です。

ここで要注意ですが、ギャザー寄せは結構難しいです。
あまりデザインが選べない感じになりますが、最初はペラっとした貫頭衣に近い形のものが初心者さんにはおすすめです。

手間がかかってもギャザーが入った服を作りたい場合、その作業の時間も見込んで計画をする必要があります。ギャザー寄せは結構時間がかかるので、覚悟して取り組みましょう。

そして首周りの仕立ては「見返し」にするか、「バイヤステープで始末」かどちらかにして、トップスの作り方の概略を学びます。
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服作り初心者が一番最初に学ぶべきスキルとは?

最初は非常に簡単な服を作る、と言いましたが、これでも結構学ぶ内容は沢山あります
上記の最低限の構成要素で作る、「ゴムスカート又はゴムパンツ」+「貫頭衣のようなブラウス〜ワンピース」であっても、ざっと学ぶ項目要素をあげれば以下の通り。

「型紙の作り方(写し方)」

2「布地の下処理(地直し)のしかた」

3「裁断・印付けの仕方」

4「ピンを打ってミシンで縫い合わせるやりかた(直線・曲線をミシンがけ)」

5「ロック又はジグザグミシンでの布の処理のしかた」

6「パーツの縫い合わせる順番を覚える」

7「布はしをアイロンで三つ折りにして、ミシンをかけるやりかた」

8「ゴム通しを作ってゴムをつけるやりかた」

9「パーツの縫い合わせ方法のしかた(袋縫い・折り伏せ縫い)」

10「接着芯のはり方」

11「見返しの型紙作成と縫い方」

12「バイヤステープの作り方を取り付け方」

こうやって「ボトムス」と「トップス」の要素が非常に少ないデザインの服を、最低でも一着ずつ作ってやり方を覚えてから、下記の作業要素を足していきます。

・ファスナーつけ
・ポケットつけ(パッチポケット・脇縫い利用ポケット・ズボンの両脇ポケット)
・ボタンあき
・ギャザーよせ
・カフスつけ
・襟作成
・ベルト取り付け
・スリット縫い
・ベンツ縫い

脱落する方を見ていて分かったのは、やはり初心者なのに最初から学ぶ内容が多いことを、しようとしすぎています

ですから出来るだけ簡単なものを作って、服作りの全体のイメージをつかんでから、少しずつ難しくしていくのが良いと思います。

何か1つ服を作り始めたら、最低でも一週間に一度は2〜3時間作業時間を取れるようにペースを作り、服を最後まで完成させる。

これを何回か繰り返す内に、自分の作業ペースと時間配分の感覚を掴んでいけるようになります。

4・的確な理解できる、裁縫初心者向けマニュアルを用意する


繰り返しになりますが、型紙付き本は大概が「中級者レベル向き」です。

今、手作りブームで、本屋さんに行くと本当に沢山売ってますよね。
可愛いデザインの服がのってたら、つい買っちゃうの、分かります。

しかし型紙付き本は、書いてあることが理解出来るようになってから、色々買うのをお勧めします。寝かしていても、意外と使えなかったりします。
1〜2年経つと自分の欲しい服のテイストも変わったりしますし。

何もかも分からない服作り初心者さんは、最初は裁縫の教科書的な本を、まず1〜2冊買うのが良いと思います。

今市販されている本の中で、教科書的に使えるものが何冊かあるのでおすすめ順に紹介します。

1・きれいに縫うための基礎の基礎 ・ パターンから裁断までの基礎の基礎 水野佳子著 文化出版局

2冊になりますが両方で一通りの事がわかるので、両方求めるのをおすすめします。写真が大きく、カテゴライズも非常に分かりやすく整理されています。

「きれいに縫うための基礎の基礎」は、道具の一通りの説明と、アイロン操作、接着芯のはり方、ミシン掛けにおける縫い合わせ方の全体を網羅。

よくぞここまで細かく基本的な縫い作業を、詳細に写真入りで説明してくれたな、と思う本です。縫うことの全体像を把握するには最適。

「パターンから裁断までの基礎の基礎」は型紙の作り方、布の裁断の仕方、パターン補正に関して、と型紙作成から裁断するまでの工程に関する内容が一通り記述してあります。

後半にパターン補正に関して、詳しく記述してあるのが、とても実用的な内容になっている一冊です。

ミシンで服を作るという前提で、初歩から応用まで買いてある本です。

2・イチバン親切なおさいほうの教科書 クライ・ムキ著 新星出版社

裁縫の初心者向けに、「必要最小限」を非常にわかりやすく解説した本。

「準備編」として、用具・アイロン・接着芯の説明と布の扱いについての基本、裁断としるし付けの仕方。

「基礎編」として、手縫いの仕方とミシン縫いの仕方。
「応用編」として、スナップやボタン・ファスナーの付け方、バイヤステープと部分縫いの仕方を解説。

手縫いのやりかたをしっかり写真で順を追って説明しているので、超初心者レベルの内容に不安がある方には丁度いいテキストだと思います。

巻末の参考作品の事例は、デザインが一昔前だなとは思いますが、非常に実用的で最初の一冊としては最適かもしれません。

ただし、この本を持っている洋裁教室の生徒さんが「ときめかない」と評していましたが、まさにそこが難点であるのも確かです。

3・イチバン親切なソーイングの教科書 かわいきみ子著 新星出版社

子ども服を縫うために、裁縫をはじめる人をターゲットに作成された、初心者向けの本。

みっちりと細かく書いてあるので、しっかり端から端まで読み込み、読み飛ばさないように気をつけたほうが良いと思います。

良く言えば一冊の内容が濃い本。悪く言えばざくっとみて、使いたい人には不向きな感じの情報量です。

普通地を中心とした服の作成など、家庭用ミシンでの服作りが中心の人はこの本でいいかもしれません。一冊で一通りの情報が欲しい人向けの本。
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以上3つ紹介しましたが、個人的には水野佳子さんの2冊が、中級者レベルになっても見返して使える内容になってるので、私としてはオススメです。

そんなに高いレベルの事はしないし、ザクッと把握したいだけなら情報が絞り込まれた2冊めのクライ・ムキさんの本は、手に取りやすい一冊だと思います。

これを字引のようにしながら、今作る服の型紙に添付の説明 又は型紙付き本を読んでいきます。

Youtubeで聞いたほうが作業が理解出来る人は、基本的な作業方法は動画で学ぶようににしてもいいです。今は情報元が本だけでは無くなったので、自分が使いやすいツールを活用して学べば良いと思います。

その人の好みによるので、いろいろ見てみて選んでください。

私個人は動画は視聴するのに結構時間を必要とするので、服を縫いつつ作り方手順を並行して確認するなら、本の方が分かりやすいと思っています(慣れもあるかもしれませんが)。

5・服作りに必要な道具・材料を用意する

新しいことをはじめるにあたり、最初に色々買い込んで「形から入る」というのはありますよね。

事あるごとに、洋裁教室の生徒さんには「教室においてある道具を試してから、必要なものだけを買うように」と言っています。

道具は、出来るだけ少ないほうが良いです。

必要最小限となると、小学校の家庭科(生活科)で購入した道具だけで縫い物自体は出来ます。

刃物は切れ味が良いかどうかが作業効率に関係するので、私は職人作成のものを使っています(インスタ@yousaicomonoで紹介しています)が、趣味の縫い物でしたら100均グッズで揃えるので十分だと思います。

最初に揃える基本の裁縫道具

縫い針
待ち針
針山
指ぬき
糸切り鋏(刃先が尖っているもの)
目打ち
メジャー

方眼定規(洋裁用の薄いもの・50cm)
鉛筆又は0.9シャープペンシル
消しゴム

鋏(紙切り用)
裁ち鋏 又は ロータリーカッター+カッターマット(大サイズ)
文鎮

フリクションペン・マーカー(アイロンで消えるペン)
しつけ糸

アイロン
アイロンマット
霧吹き

ミシン
ミシン針

必要に応じて買う裁縫道具


カーブルーラー(又は雲形定規)
カッター
30cm金尺
メンディングテープ(型紙修正用)
ゴム通し
チャコペン又はチャコナー

バイヤステープメーカー

ロックミシン
人台(スタン)

一番最初に作る服作りに使う布は、どのようなものが良いか


服を初めて作る人は、天然繊維の「パリッとした」布で、中くらいの厚さ(普通地)の平織りの布を買いましょう。

具体的に言うと、綿(コットン)か、麻(リネン・ラミー)か、綿麻のもの。シャツやワンピース向けの平織りの無地(又は、無地のように扱える細かい柄のもの)。

ジーンズ生地は、家庭用ミシンではモーターのパワーが足りず、縫製場所によっては縫えないところが出てくる可能性があります(薄手のダンガリーなら可)。

つるつる滑ってしまうので、化学合成繊維(ポリエステル・ナイロン・アクリルなど)は、初心者さんにはおすすめできません。アイロンも高温でかけると焦げるので扱いが難しく、ミシンがおぼつかない人が使うのには不向きです。

最近人気の「ダブルガーゼ」は、非常にミシン縫製が難しい素材です。
マスク素材として使いやすいからか、布販売の現場では前に置いてあるみたいですが、フカフカするのが曲者で、布はしを織り込むのがとても難しいです。

ダブルガーゼで服を作る場合は、布はしをロックミシンで処理し、縫い割りでまとめるのが一番やりやすいと思います。

しかし縫い物初心者さんは、大概ロックミシンは持っていないと思います。実際の仕立ての際に、全部しつけをしてから縫うことになります。

非常に手間がかかることもあり、ダブルガーゼは、縫い物初心者さんにはオススメできません

具体的に言うと、

ブロード
シーチング
手拭い
ダンガリー

(メーター単価 300〜850円くらい)
綿麻シーチング
ヘンプ平織生地
リネン平織生地

(メーター単価 1000〜2500円くらい)
ネル生地
(メーター単価 1000円ぐらい)

このあたりが、最初に服作りをするには扱いやすい布地だと思います。

ちなみにキバタ(加工なしの綿)のシーチングは、型見本に使う布地なので、メーター単価3〜400円前後と安いです。

着ないけど縫いの練習にひたすら縫うと割り切って、シーチングで作ってミシンに慣れるという考え方もいいと思います(カラーシーチングは基本ポケット裏などに使うイメージの布です)。

コットンカラーシーチングは微妙な素材で、型作成の見本のイメージがつきまといます(業界の人には)。20歳ぐらいの若い人ならともかく、それなりに年齢を重ねている人がこの素材で作った服を着ていると、安物感が漂う気が・・せっかく手間と時間をかけるので、外に着ていく服はそれなりの素材を使ってほしいです(生産者さんには申し訳ない記述ですが)。

ちなみに並幅(今は112cm幅が多い)1メーターで大人の服を作るのは、大概無理です(下着や特殊なデザインを除く)。着丈×2は必要なので、単純に考えて安い布地(メーター単価750円ぐらい)を使って服を作るとしても、大体布だけで@1500円以上コストがかかることが多いです。

服を作り始めた皆さんが驚くのですが、布は結構高いです。

一着作るのに大体2〜3mは布地が必要です。しかし布は大概メーター単価750円以上。リネンだとメーター単価2000円以上とか平気でします。それに糸と接着芯などの副資材が別に必要になりますから、最低でもプラス1000円。

たっぷりギャザーが入ったリネンの服など作ると、一着6~7000円〜のコストがかかる計算になりますよね。

肝心な手順をおさえず、雑に服作りをしてしまっては、実にもったいないと思います。

楽しむために手作りしている筈なのに、無駄に材料費と時間がかかったとなってしまっては、喪失感だけがある感じになりますよね。

ですから最初のうちは扱いやすい布を使い、短時間で一着を仕上げるということから服作りをしていって、楽しみながら服を作るステップを踏んでほしいと思っています。

ミシンに関して

服作り=ミシンの用意、というぐらい服作り初心者向けの情報をみると、ミシンについての記述からスタートしているものが多いです。

確かに手縫いですと、とても制作時間がかかりますよね。
ミシンは所持したほうが勿論良いですが、高いものなので勢いにまかせて入手するのは避けたほうが良いと思います。

やみくもに買うより、まずは周辺(家族や友人)の中で持ってるけど、使っていないミシンは無いか?を一通り聞いてみることをオススメしています。

私自身はずっと実家にいる時は親所持のミシン(日本初のジグザグ電動ミシン)を使っていて、大学時代は友人のものを借りて服作りをしていました。洋裁学校に行く際に、春休みのバイト代を全て職業用直線ミシンの購入代にして入手。一度モーターは交換しましたが約30年経った今でも現役です。

そういう訳で家庭用ミシンを殆ど使ったことがなく、使えないミシンに触る機会があまりなかったのです。しかし洋裁の生徒さんの話を聞くと、2〜3万の値段のミシンは当たり外れが激しく、全然使えないものも結構あるという噂。上位クラスの6〜7万の家庭用コンピューターミシンでも、あまり長時間使ったり下糸が少なめになると、ミシン目が怪しくなるらしいという話も。

セミプロ仕様の職業用ですと10万以上するので、ちょっと縫い物をしたい程度の人には勧めにくく、現実中間の価格帯でタフで丁度いいものが無いなといった感じです。難しいですね。

ミシン屋さんに取材後に書いた別記事がありますので、ミシンに関してはこちらを参考にしていただけたらと思います。

ちなみに上記のミシンの記事内で、あまり強調して書いてなかったように思いますが、家庭用ミシンでも「フットコントローラー」は必須だと思います。

ボタン押してミシン縫いスタートする、というのはいくらゆっくり速度設定でも、やめたほうが良いと思います。縫ってる手元から目を離すことになりますから。

ミシンで縫っている間は、手元から目を逸らさないようにしましょう。危険防止でもあります。

副資材(ミシン糸・接着芯・ゴムなど)について


付属ともいうことがある、副資材。布だけでは、服は出来ません

ミシン糸は、布地の厚さ・色に合わせて購入します。
大概の布地は「普通地用」のポリエステルの50番〜60番で良いと思います(シャッペスパンとかフェザナとか)。大概布を売っているところで販売しているので、不安でしたら、売り場の人に布を片手に相談に乗ってもらいましょう。

商品作成の為に糸を購入する場合は、コスパが悪くなるのでコーン巻のスパン糸(2000m~)を買います。今はインターネットで糸屋さんから、小ロットでも直買いができるようになったので、非常に便利ですね。

ちなみに色糸などのサンプル帳は「買う」ものです。請求すれば2〜3千円で買えると思いますが、その後数千円以上はオーダーしないと相手に失礼なので、そこらへんを分かった上で、必要なら糸屋さんに入手可能か問合せてみてくださいね。

接着芯は、「鞄などの小物用の不織布製」と「服用の布地製」のものがあります。切り売りパッケージのものを使う場合は、間違えないように注意しましょう。

色は意外と透けてみえてしまうことがあるので、表地に合わせるか類似のもの(濃い色なら黒、明るい色なら白。あれば同色が一番いい)にします。

襟・見返し・カフスなどには、全面貼り必須です。布目の方向は表地に揃えましょう。ポケット口や、伸びやすい縫い代にもテープ状にして貼ります(テープ状に加工された接着芯が、巻で販売されています)。

接着芯は大体メーター1000円ほどの値段がします。下手に激安のものを買うと、のりがムラムラで綺麗に貼れないB反の可能性もあるので注意です。

ゴムやファスナーなど、定番のものは大概、洋裁材料店で一通り購入できます。布を購入する時に一緒に入手するといいでしょう。

実は色や形状にちょっとこだわりたいとなると、それぞれの専門店からとりよせるといった事になります。糸は糸屋、接着芯はその専門店、ファスナーはファスナーの代理店・・。

それぞれ別の店から選び出すのも大変です。ある程度、注文するものが分かっていないとオーダーの時に指定する内容が多くて大変でもあります。
最初は決まりきった感じがするかもしれませんが、洋裁材料店で売っているものを購入するのが良いと思います。

洋裁初心者が服作りを最短で学ぶ5つのステップ・まとめ


私としては大分ざくっと、服作りの計画「以前」の段階にやるべきことを一通り書いた感じなのですが、いかがでしたでしょうか?

1・先ず、自分がどれくらい知識があるか・作れるのかを知る

2・作業時間の確保(一着仕上げるまでの時間の見通し)

3・自分の縫製レベルにあった、デザインの服を作る計画を立てる

4・必要なマニュアルを用意

5・無駄なく必要な道具・材料を用意する

こういう形で服作りをすれば、なかなか完成せず、途中でやる気を失った・・という形になりにくいと思うのです。

無謀な計画を立てる前に、「自分はどれくらいなら出来そうか」といったところを自分の中で整理・把握して、取り掛かっていただきたいと考えています。

最初は「何が難しくて、そうでないかが分からない」と思いますが、一定の段階でステップを追うように学んでいけば、そんなに難しいことでもありません。

そこのところが全く見えておらず、せっかく服作りをやろうとしたのに途中で脱落する人が時々おられるのです。実に勿体ない。

これは「服作りの計画以前」のところを、詳しく説明する必要があるのかも、と思って書いてみました。

最初は下手でも、ある程度縫えば、誰でも縫い物は上手くなります。

本当に面白い世界です。私も気がつけば30年以上もやっていて、でも飽きないです。いくらでも、このことについて喋れますよ。

あなたも、これから楽しみながら服を作ってみませんか?

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