note詩人インタビュー Vol.1
≪Interview≫
note詩人
「夜窓の雪だるま」さん
東京都出身。現代詩手帖、ユリイカなどで入選多数。花椿の「今月の詩」2022年5月選出。
子供の頃から毎日、日記を書いていて自分の感情を文章にすることが好きだったという「夜窓の雪だるま」さん。詩を書くようになったきっかけを聞いてみました。
『私の書いた文章が人に伝わるのか知りたかった』
━ 詩を書くようになったきっかけは?
まず、詩を書く前に「自分の日常を人に向けて書いたらどうなるのかな、 自分の文章力ってどのぐらいなのかな、私のこの書いた文章は人に伝わるのかな」っていうところが気になってSNSで書き始めました。そこでコメントをもらったりして、すごく嬉しくて、 次はもっと上手に書きたい、もっと面白い表現にしてみようとか、色々工夫して文章考えたりするようになりました。そこから日記が派生してエッセイや短い物語を書き始めました。ブログ等で公開していたのですが、公募ガイドなどにエッセイのコンテストがあったりするの知って応募してみようと思いました。その時ちょうど買った公募ガイドのテーマが詩の投稿というテーマで、最果タヒさんや文月悠光さんが記事を書いていらして、そこが詩との出会いです。最果タヒさんの「グッドモーニング」を読んでみたのですが衝撃を受けました。それで詩に興味を持ち詩の教室に入りました。
━ はじめての詩の教室はどうでしたか?
最初はやっぱりものすごく恥ずかしかったです。今まで書いてきたものを実際に人に見せたり、目の前で読んでもらったことはなかったですから。だから最初に教室に提出したものは、 もうとにかく当たり障りのないことを書きました。子供をテーマにした詩だったのですが、そうすれば誰も傷つけないし、誰にも笑われないだろうと思って。今思うとものすごく無難な詩を持っていったことを覚えています(笑)
『自分だけ浮いてるような感じがして、こんな私がいていいんだろうか』
━ その後、様々な詩誌の投稿欄に掲載されるようになりました。
はい、実は初めて掲載されるまでが結構早くて、詩の教室の二回目に提出した作品をある詩誌に送ったら入選を頂きました。だからどうして選ばれないんだろうとか、そういう悩みはあまりなかったですね。逆に自分としては普通にあったことをつらつら書いただけで、なんか自分だけ投稿欄で浮いてるような感じがして、こんな私がいていいんだろうかっていうのが正直な気持ちです。私の詩は全然難解ではないし、今時の詩じゃない感じがすごくして。すごくわかりやすいし、難しい言葉もそんなに使ってるわけでもない。 周りに比べて劣ってるんじゃないかっていうのを、すごく感じてます。
━ 詩の特徴は何ですか?
わかりやすいところ!言葉は多少難しい言葉、熟語とかは使ってるかもしれないけど、内容的にはすごくわかりやすいと思ってます。「わかるわかる」って言ってもらえるような感じの詩を書いてるんじゃないでしょうか。意識的にそういう風にしてるわけではないのですが、単純にそれ以上のことができないからなんです(笑)だから今はもっと想像力をつけたいと思っています。もうちょっと想像力を膨らませたら別の表現ができるんじゃないかなと思う時があるからです。 そのためにはもう詩を読んで書くしかない、人のものをいっぱい読んで、 いっぱい書いていこうと思っています。
━ 詩の活動を通しての今のゴールや目標は何ですか?
それはやっぱり承認欲求の塊だから、賞とか、それなりの称号を得て詩集を出すのが最終目標(笑)まずは投稿欄で認められて詩集を出して、そのあとは人の評価とかそういうのに関係なく、もう自分の好きなように書きたい。twitterとかネットプリントで配布したり。詩集を出すにもお金がすごくかかるから。その後のことはそんなにまだ考えてないけど、 とにかく入選とか佳作とかそういうのにこだわらず、自由に書きたいっていうのは今あるかな。
━ やっぱり他人の評価は気になりますか?
うん、そうですね。最終的にやっぱり詩人として世に出るためには必要なものなのかな。でも、それはね、もう永遠のテーマだよね。 もうほんとそれは好みの問題って気がします。選者の好みや相性次第。音楽と一緒で好き嫌いがあるだけなんじゃないかな。たとえば音楽でも、私が全然好みの歌じゃない曲がレコード大賞とったよみたいなことはよくあるし。そんな感じなのかな。音楽と一緒で流行りとかもあるだろうし。まあ、それは分かっているんだけど、それでもやっぱり私は賞が欲しいと思う時があるけど(笑)
━ 難解な詩をどう思いますか?
あれはもう読み手の自由なんじゃないでしょうか。きっと書いてる本人も、もう解釈はご自由にっていう感じなんじゃないかなって、私なんかは思うけど。 正直難解な詩はあんまり得意じゃないから、いつも「解釈は私なりになってしまうけど、ごめんなさい」と思いながら読んでいる。ある方の詩がすごく好きなんだけれども、ほんとに理解してるのか、解釈が合ってるのかわからない。もしかしたら解釈間違ってるかもしれないし。でもやっぱり詩の解釈は人それぞれで良いんだと思います。
━ どんな時に詩を書きますか。
日常的に書いてますね。なにか思い立ったり、これ、文章に残しておきたいって思った瞬間に書いておくようにしてる。何かいいフレーズが思いついたら、スマホに書き溜めておいて、そこから一つの詩に仕上げてく感じ。私は、季節とか天候とかそういうものがすごく体に染みるというか、うん、今日雨降ってるなって、朝、窓開けたら雨が降ってたりすると「 あ、あの時のフレーズが使える」とか「ちょっと今、この朝起きて雨が降ってるこの状況は詩になるな」って思ったら貯めておいたメモからいいフレーズを探して、それをまとめて書いたりしてます。五感にかかわる時が多いなあって感じます。あとは、やっぱり大きな出来事があった時とか、誰かが亡くなったとか、誰かが生まれたとか。何か大きなイベントがあったときですね。
『自分では気づいていなかった部分に気づける』
━ 人に詩を読まれることについて
私は選者の方から「身体性がテーマになっていることが多い」って言われたことがあって、言われてみればそうだから、じゃあ、今度はちょっと違う部分を詩にしてみようかなとか思ったりします。例えば、足の指ってなんかこう見てて、いっつも気持ちが悪いなと思うんです。そんなに動くわけじゃないし、形もなんか気持ちが悪い。今も足の指を見ていたら、ひとつ詩が書けそうな気もしてきました(笑)人に読んでもらうってことは大事なことだし、 やっぱり感想書いてもらったり、読んでもらったりして、 感想もらったりするのが大事かな。
━ 目標で言うと賞を獲ったりとありますが詩を通してやりたいことってありますか?
なんだろう。自分が書いた詩に絵をつけてもらったり、音つけてもらったり、 朗読してもらったりしたら嬉しいかな。例えば、この間「アヴァンガルド勃興ー近代日本の前衛写真」に行ってきたのですが、りんごにねじが刺さってる写真がすごくインパクト強くて、あれでちょっと何か書きたくてしょうがない。自分の詩を読んでもらえて、そこからイメージして、何か他の創作物ができたら面白いかな。これは今、改めて思ったことなんですけど。自分の詩が他の 創作物になったら嬉しいかな。
『自分ってこんなこと考えてるんだっていう新たな発見』
━ 詩を書いて良かったこと、メリットはありますか?
感情の吐露(笑) あと、自分ってこんなことを考えてるんだ っていう新たな発見かな。私はもう感情もろ出しの詩だから、書いていて「あっ、私こういう風に思ってんだな」とか文章にしてみて思うことがある。自分を再発見する感じ。子供の頃から日記を書くのは感情の吐露だったから、多分そっから繋がってるんだと思う。だからやっぱり感情の吐露をしていたいかな。一時は、ちょっとそれで悩んだこともあったけど、 私は感情の吐露でこのままで突き進んでいくつもりなんです。
━ この先、挑戦していきたいことはありますか?
いろんな書き方に挑戦していくつもりです 。散文にしてみたり。とにかくもっと詩を読んで勉強して、 語彙力を増やして、いろんな表現方法をもっと知っていきたいです。 この間、詩の通信教室で「竹」というタイトルの詩を書いたんです。そしたら、詩の先生に「竹と言えば萩原朔太郎の有名な詩がありますね」って言われちゃいました。私まったく知らなくって、後でその萩原朔太郎の竹を読んでみたらテーマが同じで丸かぶりでした。だから、やっぱり知らないって怖いなと思って。もっと勉強していかないと読んでかないとダメだなと思いました。だからまずは現代詩文庫を読破するとかをやってみたい。自分の好きな詩人さんばかりを読むのもいいんだけれども、 あんまり好きじゃないなっていうのも一度ぐらいは読んだほうがいいのかも。私、ラメール時代の女性詩人の詩がすごい好きなんですけど、読んでいてたまにすごく焦る時がある。いや、今これ読んでる場合じゃない。もっと新しくて今流行ってる詩、投稿欄に選ばれている詩も読まなきゃって。だから中原中也、萩原作太郎はもちろん制覇するつもりだし、新しい詩もどんどん読んでいこうと思っています。
インタビューした人/文章を書いた人
「大人C」
補足
noteを始めたら「インタビュー」というものをしたい、と思うようになりました。そういうわけで、今回は詩の教室でご一緒をしている「夜窓の雪だるま」さんにお願いをしインタビューをさせて頂きました。
いつか、まだ面識もないnote詩人さんのインタビューができたらいいな。