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日記、エッセイのようなもの

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#思い出

散りゆく何か。

散りゆく何か。

今年の桜は父が見たがっていた桜だった。

まだ意識があり聞き取れる言葉を話していた時、父は病床で言った。

「来年の桜も見たいなあ」と。

僕は仕事がら海外の人と話す機会がある。この時期になると定型句のように日本は今サクラの季節なんだと説明する。

すると海外の人も「そうそう日本はサクラの季節だな」と言う。たぶん色んな日本人から聞き慣れているのだろう。

この時期にアメリカに出張したことがある。国

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等価値

等価値

父が亡くなったとき、驚いたことがたくさんある。

お葬式の予約の電話がフリーダイヤルだったこと。色んなコースがあること。司会役がいて有料だということ。葬儀場にいる人たちは会社員であること。お給料が支払われていること。

人の死という不可解なものが、立ち止まることも許されず、あらゆるルールに則って進められていく。

それらは父の死を軽んじていると思った。

どういうものなら適切なのかは想像もつかない

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