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「男女別学」の実態調査 〜男子校・女子校出身者のジェンダー観を探る〜

みなさんこんにちは!#YourChoiceProjectライターのききです!

東京大学には男子校出身者、女子校出身者が多数在籍しています。大学通信ONLINEによると、なんと東大合格者上位20校のうち、7割が男女別学となっています。

筆者自身は地方の公立高校(共学)出身ですが、大学生になるまで別学に通っている知り合いがいなかったこともあり、その世界は本当に想像できません。男女別学の世界においては、性別という枠にとらわれずのびのびと生活できそうで羨ましいと思うと同時に、現実社会とのギャップを感じるのではないかと関心を持ちました。

そこで、今回の記事では、筆者の関心をもとに、#YCPの中で男子校・女子校出身のメンバーにアンケート調査を実施しました!

参考:大学通信ONLINE 東京大学2024年大学合格者高校別ランキング

https://univ-online.com/success/tokyo/u126/

アンケートに協力してくれたメンバー

たけ :男子校出身者。東大理科一類2年。
M.S :男子校出身者。東大理学部4年。
えだ豆 :女子校出身者。東大文科一類1年。
もか :女子校出身者。東大文科二類2年。
まえこ :女子校出身者。東大工学部4年。

質問内容

Q1. 中高生時代、同年代の異性と関わる機会があったか?同世代の異性はどういう存在だったか?
Q2. Q1を受けて今のジェンダー観にどのような影響を与えていると思うか?Q3. 大学(共学)に来て何か驚いたことはあるか?価値観が変わった経験はあるか?
Q4. 男子校 or 女子校特有の文化は何かあるか?
Q5. いつジェンダー観が養われると思うか?
Q6. その他、なんでも教えてください

Q1. 中高生時代、同年代の異性と関わる機会があったか?同世代の異性はどういう存在だったか?

たけ :異性と関わる機会はなかった。同世代の異性は幻のような存在だった。

M.S :関わりは全くありませんでした。塾などにも通っていなかったので、周りは本当に男子しかいませんでした。同世代の異性は異次元の住人みたいに感じていました。

えだ豆 :ほとんどなかったと思います。塾などで会いましたが、まったく話さなかったです。同世代の異性は、はっきり言うとよく分からなかったです。話したこともないからどんな人たちなのか分からないし、小学生の頃、男子が苦手で女子校に進学したこともあり、少し苦手な存在でした。

もか :ごく稀にあったが、しゃべる時すごく気を遣った。慣れない怖い存在というイメージ。

まえこ :ほぼないが、塾で同じ空間にはいた(男子校、女子校、共学で完全に分離していたが)。塾のクラスでは、成績上位者を競い合うライバルのような存在だった。

検討 :共学出身の筆者にとっては、異性の生徒は日常的に見かけ、学校生活を共に過ごす存在であり、「幻」といった捉え方はかえって想像できません。よくわからない存在に対してどう接するのか、どの程度、考える機会があったのかについても関心を持ちました。

Q2. Q1を受けて今のジェンダー観にどのような影響を与えていると思うか?

たけ :女性の考えていることが男性のそれと比べると想像しにくいというのはある。例えば東大のジェンダーギャップの話題に絞ると、そもそも自分が高校時代に一人も女子と関わらずジェンダーギャップも体験していないから、考察にもかなり限界を感じる。

M.S :女性特有の艱難辛苦がわからないので、ジェンダーの議論に入っていけないです。(男子校関係ないかもしれませんが)何か意見を言ったら「あなた女性のことわかってないから」と一蹴されてしまいそうで。

えだ豆 :ジェンダー観にはそんなに影響はないと思います。大学に入って話してみたら普通でしたし、どちらかの性別/ジェンダーを差別するような思想になったことはないです。

もか :男子に対する具体的なイメージがなかったおかげで、彼らに対しジェンダーバイアスを持つことはなかった。個人差があるよね、というスタンスを貫くことができる。

まえこ :「男性だからこう」「女性だからこう」という価値観はほとんど意識することがなかった。私が、英語より数学が苦手だったにもかかわらず理系を選んだのも、「女性は理系に向いてない、マイノリティである」ということを意識しない環境のおかげだったかもしれない。

検討 :共学の弊害は、もっと多様な「個人」がいるはずなのに、「男女」が対になる存在として扱われる可能性があるということかもしれません。別学だからこそ「男子だから」「女子だから」ということを考えずに済んだというよい側面もあるのかもしれないと感じました。

Q3. 大学(共学)に来て何か驚いたことはあるか?価値観が変わった経験はあるか?

たけ :「共学」というふうになってはいるにも関わらず、「男子校」の世界(つまり男クラ)が存在していたこと。どうしたらそんなに偏るのかというのはジェンダー論を履修する以前から感じていた。男子だけの世界から、男女両方いる世界に入ったことで、初めてジェンダー系の問題について考えることができるようになった。そこで初めて男女間での非対称性を知ることになった。高校時代にジェンダーの問題が話題になったことはほぼない。

M.S :価値観が変わったというよりは、そもそもジェンダーに関して価値観と呼べるほどのものを持ち合わせていなかったです。自分の学校ではジェンダーに関して話す機会は皆無でしたので、ジェンダーへの関心も知識も全くなかったです。

えだ豆 :男性にも女性と同じように接していいんだなと思いました。普通に気の合う人・合わない人どちらもいるし、話してみたら楽しいんだなと思いました。

もか :自分が女性として扱われることの多さにびっくりした。「性別」という属性がここまで影響力を持つとは…と複雑な気持ちになった。「女性」という属性を通さず、私自身を見てくれ!という気持ちになる。また、異性の親友ができることは高校時代の私が聞いたら驚くと思う(クラスで一番の親友が男子です)。「性差」よりも「個人差」が重要だと痛感した東大での一年だった。

まえこ :東大のクラス(男女比=9:1)では、女子校時代と比べて、コミュニケーションの仕方が直接的で少し乱雑な印象を持った。例えば、女子校では成績や志望校を公開することに躊躇する風潮があったが、クラス内では成績を曝け出して自虐ネタを言ったり、マウントを取り合ったりする雰囲気があった。

男性に荷物を持ってもらう、多めに払ってもらうという文化に初めて接したときは、驚きと共に少しラッキーだと思ってしまった。ジェンダーを勉強してからは、この価値観は自分のためにならないと気づいた。

また、ジェンダーの観点で自らがマイノリティである環境になったことで、自分が女性として認識されることを意識するようになった。その結果、自分でも気にするようになり、女性が少しでもいる環境に身を置きたいと思うことが増えた。

検討 :別学出身者にとって男女共学の大学に入ることは、男女の差、ジェンダー差を実感として意識する第一歩だったのではないかと想像します。「個人」として接することと「男子・女子」として接することの両方に触れ、そのギャップを感じることになったのではないでしょうか。かくいう筆者も大学に入学し、「女子として」「東大生として」「◯年生として」など、さまざまなラベルを貼られた状態で扱われる経験をして、よりジェンダーや多様性について考える機会を持ちました。

Q4. 男子校 or 女子校特有の文化は何かあるか?

たけ :少なくとも男子校特有の文化はあると感じる。高校時代の同期たちは、「見られている」という感覚がなかったためか制服がだらしなかったり、エナジードリンクの空き缶でタワーを作ったり、廊下で取っ組み合いしたり、かなりやりたい放題な人が多かった。(当然女子が聞いていないので)異性に関する話もかなり性的な内容に偏っていた。流石に大学生になってそのままこのような振る舞いをする人はいないけど、たまに引きずっている人がいる。また、母校でのつながりは強い。」

M.S :文化と呼ぶべきかはわかりませんが、男性だけのコミュニティにいると、女性を別の種族であるかのように考えてしまう傾向にあると感じます。また、自分で勝手に考えた女性に対するイメージがどんどん増長してしまうこともあるかと思います。その結果、必要以上に気を使ったり、逆に蔑んだり、極端な価値観が産まれやすくなるのかもしれません。

えだ :廊下で堂々と着替えをしていました。

もか :先生を推す/BL人気が高い/ボディータッチ多め(特に男子校か?)/恋愛で失敗しがちな印象を受ける(私の母校だけかも)など。

まえこ :いじめはほとんどないと思う。異性の目がない分、ルッキズム的な価値観を意識することもあまりない気がする。

検討 :異性の視線を意識することがない環境が、よい面・悪い面どちらも生み出しているという印象を受けます。筆者自身でこの質問を設定しておきながら、では共学特有の文化には何かあるのか?と振り返ってみると、よくわからないなと反省してしまいました

Q5. いつジェンダー観が養われると思うか?

たけ :中学・高校の段階だと思う。大学に入ってからでも養えるけど、すでに何かしら自分の意見を持っていて、なかなかそれを改めづらいのではないかと思う。

M.S :同じコミュニティに異性がいて、男女の社会的な違いに気づいたとき。

えだ豆 :一般的には分からないですが、私の場合は中高だったと思います。

もか :物心ついたときから形成されていると思う。

まえこ :中高時代が一番大きいと思う。小学校は共学で女の子っぽくないと言われることはあったが、そこまで抵抗感は感じなかった。中高ではこのような言葉を敏感に感じ取ってしまい、傷ついたり、本来の自分を曲げたりするリスクがあると思う。

検討 :筆者の想定よりも多様な回答がありました。異性と日常的に思春期の時代を男子校・女子校で過ごすという同じ経験を積んでいても、ここには個人差が大きいようです。

その他、なんでも教えて

たけ :授業中に下ネタ発言が出たことがある。

M.S :異性と関係を築くこと(特に恋愛)に関しては周回遅れで、それが悩みのタネになりやすいです。

もか :廊下でぐるぐるバットをしたり、林間学校で同級生がBLを音読し始めたりなどは、女子校ならではのはっちゃけ方だったのかなと思う。

検討 :この質問では、思い出や印象深い出来事をなんでも教えて、と聞きました。誰にとっても、二度とは経験することのない中高生の生活。筆者としては、経験するはずのなかったパラレルワールドを見ているようで、とても興味深いです。一方で、よくない側面も見逃せないという印象を受けます。

まとめ

今回は、筆者の男女別学への関心から、#YCPメンバーに簡易的なアンケートを実施し、その結果と検討を記事にしました。

アンケートを通じて感じたのは、性別という属性が持つ意味がいかに大きいかということです。男子校、女子校、共学。どのような学生生活を送っても、いつかはジェンダー的な問題に直面するのだろうと感じます。筆者も、自分とは少し違う視点から、ジェンダー問題について考えるきっかけにしたいと思いました。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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