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宮古島のトークイベントをレポート!

西由良(94年生まれ 那覇市首里出身)

 さすが、宮古の人は話が上手だ。オトーリのようにマイクを回すと、みんなするすると自分の体験を語る。宮古のイベントでの一幕に、私は心を踊らせた。

  2024年1月4日、宮古島市立図書館で開催した「あなたの沖縄」のトークイベント。平日のお昼のイベントだったが、10名もの方が参加してくれた。 

 イベントのきっかけは、図書館職員のNさん。「あなたの沖縄」の読者で、「イベントをやりませんか?」と声をかけてくれたのだ。イベントの内容も、打ち合わせをしながら一緒に考えてもらった。そして、当日は司会を引き受けてくださり、私が話しやすいようにサポートしていただいた。Nさん、ありがとうございます!(余談だが、Nさん自身も、20代の頃に、宮古のことをコラムに綴った本を出版している。いつの時代も、20代〜30代になると、自分の生まれた土地と向き合って何かを言葉にしたいと思うものなのかもしれない。)

 ちなみに、「あなたの沖縄」には宮古島にルーツのある執筆者が6名もいる。例えば、伊良部島出身のタイラくんは、成長と共に変化した島に対する気持ちについて書いてくれた(「窮屈と言わないで」)。思春期の頃に抱いていた「島は窮屈だ」という気持ちが、島を出て生活するうちに変わったのだという。その様子に笑ったり、うちあたいしたりした。メンバーが書いてくれたコラムを読むたびに、小学生の頃に一度しか訪れたことのない宮古が身近になっていく。宮古へ行ったのは、もう18年も前なのか。また宮古に行きたいという気持ちが強まっていたタイミングでのイベントだった。

 イベントの前半は、「あなたの沖縄」を始めた理由や特に人気の高いコラムを紹介した。後半は、参加者を巻き込んでのワークショップ。コラムに書いてみたい話題や、思い浮かんだキーワードを付箋紙に書き出し、ボードに貼ってもらった。すると、ボード一面にたくさんの付箋紙が集まる。何にも出てこなかったらどうしようと不安だったので、ホッとした。

集まった付箋

 その後、司会のNさんと私で、気になる付箋紙を取り上げ、書いた人にお話を聞いた。どきまぎした人もいたかもしれないが、マイクが回ってくると全員スピーチしてくれた。しかも、みんな話が上手いからすごい。

 まず目に止まったのは、「宮古の人は前に座らない」と書かれた付箋。これは確かに。3月に那覇のOUT PUTでトークイベントをやった時は、前の方から席が埋まって行ったのに、宮古ではみんな遠慮がちに後ろの方に座っていた。読み上げると笑いが起こった。書いた方は「前に座らないけど、みんな何かしら考えはあって、熱い思いを秘めている」という話をしてくれた。他には、「オトーリと音織り」というのもあった。何のことだろうかと聞いてみると、書いた人は「宮古の音」を集めているのだと話す。宮古の民謡や宮古上布を織る音など、「宮古」が奏でる音を集め、曲を作っているという。このように音を織って曲を作る「音織り」と、数々のオトーリを回してきた経験について書きたいと話されていた。どの付箋も面白い内容だった。

 数人に話してもらうつもりが、盛り上がったため、参加者のほぼ全員にマイクが渡る。盛況のうちにイベントは終了した。イベント終了後、何名かの参加者の方とお話ししていると「あなたの沖縄のZINEを、私が宮古島で1番に買いました!」とおっしゃってくれた方がいた。会えるのを楽しみにしてくれていたと聞き、胸が熱くなった。(しかも、イベントの次の日には、全くノープランで来ていた私を、地元の「よしもと南の島パニパニシネマ」や「PALI GALLERY」、宮古で一番美味しい宮古そばの店や伊良部大橋に車で連れて行ってくださいました。本当に、本当にありがとうございました!!)

 今回のイベントを通して、私は宮古との距離がグッと縮まったと思う。宮古に住む人たちと出会い、実際に言葉を交わすことで、「宮古のことを知りたい」という気持ちが強まった。私の中で、宮古を生きる人たちとの繋がりが大切なものになっていくのを感じたのだ。その土地へ足を運んだり、誰かと言葉を交わしたりすることの大切さを実感した。

 こうした繋がりを「あなたの沖縄」でももっと増やしていきたい。インターネット上でコラムを投稿するだけではなく、みんなで集まって沖縄の思いを語り合う。そんな場所を増やして、「あなた」と沖縄との距離が少しでも縮まってくれたら嬉しい。

 また近いうちに、絶対宮古島を訪れよう。実はまだオトーリに参加したことはないので、いつか誘ってほしい。

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