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自由エネルギー原理による認知モデル検討(準備)
近年、生成AIモデルとヒトの認知を統合的に考えるコネクショニズムの研究が多く語られてきています。
その際、自由エネルギー原理の考えを導入していくことは、認知モデリングの大きな橋渡しになるのではないでしょうか。
今回は自由エネルギー原理を用いてヒトの認知(今回は推論と予測における視知覚)のモデルを考えていきたいと思います。
事前準備
知覚と推論の研究の流れとしては、カントの認識論からはじまり、先天的な構造による認識の可能性を探求しました。これに影響を受けた新カント派、特にヘルムホルツは、無意識の推論が知覚過程に深く関わっていると考え、外界の情報を脳がどのように解釈するかについて洞察を加えました。これらの理論は、現代の予測符号化理論に繋がっており、脳が経験に基づいて予測を行い、実際の入力との差異を最小化することで知覚を形成するという考え方を提供しています。
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この予測符号化は、知覚と認識のプロセスを理解するための重要な枠組みです。この理論は、脳が入力される刺激に対して内的モデルを構築し、それを用いて予測を行い、その予測と実際に入力された感覚信号とを比較することに基づいています。この比較から生じるずれ、すなわち予測誤差は、知覚の能動的な創出に役立ちます。つまり、脳は予測と現実の差を継続的に修正しながら、より正確な知覚を形成していくのです。
予測符号化の理論は、推論の過程をベイズ統計の原理になぞらえて説明します。知覚に関する内的モデルは確率生成モデルとして表現され、これを通じて、ボトムアップの感覚入力とトップダウンの予測が絶えず交錯します。このダイナミックなプロセスにおいて、脳は常に予測を更新し、外界の変化に対応するよう調整されています。
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ところで、ベイズはご存知でしょうか。文系出身の心理学系准教授でもあまり理解できていなかったりと、非理系の中では意外と理解に苦しむ方も多いのでは。下にゼロからわかるオススメの解説動画を貼っておきます。
他にもヨビノリさんの動画など、わかりやすく説明されているコンテンツはたくさんありますので、調べて見てください!
一応、ざっくりと紹介
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さて、基本的なベイズの定理についてですが、周辺確率には問題点があります。それは、計算が大変
何故なら、周辺化(式展開)の際、積分が必要だからです。それも多次元、多変数になればなるほど、です。
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ヒトの内部モデルでは一個一個計算をしているのだろうか。
もっと効率的な処理をしているのではないか
こう考えるわけですね
ベイズの世界では事後分布の数的最適化手法にマルコフ連鎖モンテカルロ法や、変分ベイズ法などがあります。
この手法をヒトにも適用することができるかも?
一旦ここで区切ります。