『認知的閉じ』について
この記事では谷口 忠大先生の著書について紹介しています。
我々はなぜ階段を登れるのか、なぜ自転車に乗れるのか、なぜ犬と猫を区別できるのか。
もちろん、犬や猫を区別できるように、頭をパカっと開けて、犬と猫を認識できるように脳みそのニューロンをいじるなんてことはしないはずです。
成長と共に気づいたら学習しているはずです。
脳みそをいじらずとも、形や毛感触などを通して犬や猫がどういうものなのかを学習し、認識していくのです。
これらは感覚運動系(感覚器官、運動器官)を通していることがわかるはずです。例えば視覚を通して犬の形を認識します。
著者谷口さんはこのようにヒト(を含めたあらゆる動物)の認知システムが自らの感覚運動系に閉じていることを認知的な閉じと考えます。
つまり、
➡︎我々は環境と感覚器官、運動器官を通して相互作用する。
さらに、
➡︎環境から’直接影響’を受けない意味では我々は環境から自律している。
この考えは広義では構成主義の考えに含まれ、ユクスキュル環世界、マトゥラーナ、バレーラのオートポイエーシスに通ずるとされている。
また、この考えが認知モデルを考える際の手掛かりになると考えられています。谷口さんは認知的な閉じを前提にしたモデルを考えるとき、教師なし学習を採択しています。
認知的な閉じにより、ヒトが環境を感覚器官を通して、その情報を内部モデルで変換していくことを行います。観測される感覚(運動)情報は内部で統計的にモデル化されます。このような処理は一般的には確率生成モデルと呼ばれ、教師なし学習を実行する標準的なアプローチなのです。
繰り返しですが、以上から認知モデリングでは教師なし学習を考えています。